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1999年10月25日(月)

【熊大第3迷宮:だんごだんごだんご三兄弟部隊】
「へい、おいらの車で虹の彼方まで飛んでいこうぜ」
「あ、ウーキー鳥海氏おめー」
 出現したモグラが捨て台詞と共に消滅していくのに気づいた山木 可奈絵が後方から祝福の声をあげ、鳥海 新一は大きく息を吐いてクリアしたことを認識した。ここは熊大第3迷宮。だんごだんごだんご三兄弟部隊は本日も地下1階のボスであるモグラの部屋を訪れている。いつものように鳥海、寺川 紗矢佳、稲嶺 泰葉の順で1回ずつモグラ戦を行い、2周目の鳥海のチャレンジでモグラが戦闘を回避したのである。ちなみにこの部隊の男性は女性から〜氏と呼ばれているが、ある時から鳥海だけはウーキー鳥海氏と呼ばれるようになっている。理由はよく変わっていない。
「ウーキー氏やるねえ」
「流石うちらの隊長っす」
 戻って来ている鳥海に寺川と稲嶺が祝福の声をかける。この後は戦士3人でハイタッチをし、次の順番である寺川を送り出した。
「さて、うちはまだまだだよなあ」
 こう言いながら壁画の口の部分に右手を差し込むといつものように煙が巻き起こり、モグラが出現する。
「すげえ良い女がいるんだよ」
「ここにもいるよー」
 予想通りクリアではなかったので、モグラの定型文に思わず返事を返し、寺川は両手剣を構えて戦闘を開始した。さすがにモグラ戦も当初に比べればかなり楽に戦えるようになってはいるが、まだ圧勝と呼べるには厳しい状況である。ある程度ダメージも喰らっているし、前回の鳥海の戦闘に比べると倒すまでの時間もまだかかっている状況である。
「死ぬのなんて怖くねえやい」
 いつもの言葉を吐き捨ててモグラは消滅していく。これを見ながら大きく息を吐いて寺川は後ろを振り向いた。
「お疲れー、物質回収します」
 元気に声をかけながら大和田 廣が物質回収に向かう。これに軽く手を挙げて返事を返した寺川は、みんながいる場所に移動し、山木に回復を依頼した。
「もうちょっとかかりそうだね」
「まだこれだけダメージ喰らってるしね」
 モグラ戦を見ていた感想を大宮 弘典が口にし、それに回復中の寺川が返事を返す。自分で冷静に考えても鳥海と自分の戦闘を比較した場合、まだまだ甘い部分があるのは認識しているのである。この後、回収と回復を終えて次は稲嶺がモグラを出現させる。これも予想通りモグラは戦闘意欲満々で出現し、寺川と同じぐらいの時間をかけてモグラを倒すのに成功した。この後は、寺川と稲嶺がもう1戦ずつ追加でモグラ戦を行って、本日の探索を終了することにしたのである。

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