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1996年9月10日(火)《BN》

【戦士鍛錬場:前野 諭子・雨宮 英利香・杉谷 勝之・倉本 憲伸・高倉 蘭馬・塚越 実紗】
「戦力拮抗ってとこですかね」
「キッコーマンってやつやな」
 冷静に発した前野 諭子の言葉を聞いて、杉谷 勝之がつまらないことを口にした。ここは午前中の戦士鍛錬場。本日もたくさんの戦士が鍛錬を行っている。14期生の戦士であるこの歌は星の道しるべ部隊の前野、雨宮 英利香、杉谷と、やっぱりサンデーサイレンス部隊の倉本 憲伸、高倉 蘭馬、塚越 実紗の6人は本日は朝から合同で鍛錬を行っている。そして模擬戦を数回実施する中で、現在の部隊としての実力がほぼ並んでいるとの評価を行ったのだ。この6人はもともと2次試験の段階からレベルが高く、獲得ポイントはここの6人で1位から6位を占めていた。しかも6位と7位のポイントはかなり離れていたので、14期の戦士はこの6人とそれ以外という評価となっているのである。
「1番強いのは憲伸くんだっけ」
「いや、前野さんの方が強いと思うっす」
 全員と模擬戦を行った自分の感覚から、雨宮が感想を述べ、それに対して倉本は軽く否定して自分の考えを述べた。誰が1番強いのかというは非常に判断がつけにくい。もちろん6人で模擬戦を行って常に5連勝出来るような者がいればそいつが1番強いということになる。だが実際に模擬戦を行うとそこまで簡単な話ではない。戦士の戦術は多岐に渡り、その戦術において得手不得手というものが存在する。そうである以上、他の5人に対して楽に全勝する者がいないというのが現実なのだ。
「確かに私と憲伸くんが模擬戦やったら高確率で私が勝てると思うけど、私英利加が苦手なんだよね」
「そうなのよ。私は諭子を苦にしないけど、憲伸くんは相性が悪い」
 先程の倉本の言葉に対して前野が自分の考えを述べ、それを聞いた雨宮も感想を口にする。結論最強を決めるのは難しいということで落ち着くが、この6人で考えると前野と倉本が2強であるということは間違いがないようである。
「てことでこれでこの話も終わり。さあ鍛錬再開しましょう」
 この前野の声を聞いて、全員がのそっと立ち上がり、各々鍛錬場所に向かって歩いていくのであった。

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