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2024年9月9日(月)《GB》

《失恋の歌と聞くと今だに失恋レストランが浮かぶ。他に何かありますっけ?プリプリの“M”も名曲》
【戦士鍛錬場ラウンジ:富田 正継・原田 祐一・大塚 陽菜・高山 学・工藤 清次・竹内 舞衣子】
「納得行きません。芽衣奈と話をさせてく・・・」
 スマホを耳に当てて電話をしていた富田 正継であったが、相手が電話を切ったらしく、言葉を途中で止めてしまった。ここは午前中の戦士鍛錬場ラウンジ。鍛錬場の中ではたくさんの戦士たちが鍛錬を行っている。先週の火曜日から何かの用事で黒髪を離れている新熊 芽衣奈であるが、予定では本日の午前中の鍛錬から復帰することになっていた。だが、本日の朝から魔術師鍛錬場に新熊は現れておらず、携帯電話への連絡も全く通じない状況なのである。何かが起こっている可能性を心配し、富田が以前連絡先を確認していた新熊の母親に連絡をしたところ、もう芽衣奈のことは忘れるようにと言われて電話を切られたのである。富田はすぐに電話をかけ直したが、これ以降電話が通じることはなかった。
「忘れろってどういうことなんだろう」
「もしかして冒険者としても戻ってこないってことかな」
 同じ部隊の高山 学が疑問に思ったことを口にし、竹内 舞衣子が最悪の可能性を言葉にした。母親の言葉から読み取れる最悪の状況は、新熊が今以降もう姿を表さないということであり、それは秀知院学園生徒会部隊にとって魔術師がいなくなることを意味する。全く予想をしていなかったことであり、動揺を隠すことは出来ない。
「ごめん。俺先に帰る」
 茫然自失となっている富田がこのように言葉を漏らし、フラフラと更衣室の方向に歩いていく。足元がおぼつかないような状況なので、原田 祐一が一緒に付いていくことにし、そして家に帰るまでは大塚 陽菜が付き添うことにした。
「正継さんもショックだろうね」
「意味がわからないもんね」
 大きくため息をつきながら工藤 清次が言葉を漏らし、竹内も感想を口にする。富田と新熊が付き合っていることは冒険者組織内では周知の事実であり、仲睦まじいベストカップルとして認識されていた。まさかこのような形になろうとは富田本人もそうであるが、周りの誰も予想しなかったことである。
「とりあえず俺たちもどうするかは話し合わないといけないな」
「ちょっとお昼に集まりますか」
 今後のことを考えた高山の言葉を聞いて、竹内は返事を返し、スマホを操作して罠解除士の石井 稜と僧侶の藤井 穂奈美に連絡する。そして鍛錬終了後、新熊を除く部隊全員で集合し、『南食レストラン』で今後のことについて話し合ったのであった。

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