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1999年10月14日(木)

【罠解除士鍛錬場:大塚 仁・森下 翼・前島 瑠衣】
「いや、森下くんとか宮本くん、前島さんあたりもそろそろ出来るようになって欲しい」
「そうっすね。検討します」
 鍛錬の休憩中に大塚 仁が発した言葉を聞いて、森下 翼が返事を返した。ここは午前中の罠解除士鍛錬場。本日もたくさんの罠解除士が鍛錬を行っている。現在21期生の採用試験期間であり、昨日2次試験が終了し、明日合格発表が行われる。また、来週の月曜日には合格者全体に対してのオリエンテーションと、罠解除士、僧侶、魔獣士の合格者に対する能力解放の儀式が行われる。この儀式は潜在能力を解放することにより、手のひら球の発現までの約3ヶ月の期間を短縮できるというものだ。これは1期生の元冒険者の富田 剛により5期生入隊時から開始されたものであるが、その後大塚がこの能力を習得し、現在は沖本 蓮香が基本的に能力解放担当になっている。富田はすでに冒険者を引退しているので、能力解放業務は大塚と沖本で行っているが、今後のことを考えれば、能力解放ができる人材を増やしておきたいと考えているのだ。
「俺が3期で沖本さんが7期、そしてもう次は森下くんたち13期だからね。頼むよ」
「出来るかなあ」
 本気で出来るようになって欲しい願望を大塚が伝え、それを聞いた前島 瑠衣が疑問の声を発した。自分たちが13期生として合格した際に、大塚から能力解放を行ってもらったが、指先光しか発現できない状態から手のひら光を発現できるようにする仕組みが全く理解できないのである。
「出来るよ。俺も初めは意味わからんかったからね。ちょっと時間はかかるけど、罠解除士なら誰でも出来るようになる」
「そうなんですか。じゃあやってみようかな」
 難易度について説明した大塚の言を聞いて、少し安心したような表情で前島が返事を返した。この後は今後のスケジュールなどを少し話し合い、13期生の森下、宮本 紳、前島の3人が能力解放のスキルを身につける指導を受けることになったのである。

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