1998年5月23日(土)
【細川邸:細川 舞美・島津 亮二】
「ちょっと遅くなったけど、合格おめでとう。亮ちゃん」
細川 舞美は18期試験に合格した島津 亮二にこういいながら、合格祝いを手渡していた。
「舞姉ありがとう。これでやっと同じ土俵に立てたってわけだ」
亮二はそういいながら合格祝いを内ポケットに入れ、目の前のご馳走に箸を伸ばした。細川家と島津家は時代をさかのぼると敵対の関係であったが、近年はお互いを認め合い、ちょっとした親戚関係のような間柄になっている。舞美と亮二も幼い頃からの付き合いがあり、兄弟のように仲良く成長してきた。今日は亮二の合格祝いということで、舞美の実家でパーティーが行われている。
「すぐに舞姉に追いついて、俺が舞姉を守れるぐらいに成長して見せるからね」
「そう簡単にはいかないと思うけど、まあしっかり頑張って頂戴ね」
舞美はそういいながら笑っていたが、亮二の幼い頃からの万事に対する才能を考えると、いずれ自分を超える魔術師になるのは間違いないと思っていた。