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1996年8月19日(月)《BN》
【新迷宮:黒髪てへトリオ部隊】
「はい、回復終了」
回復を行っていた原田 公司の肩をポンと叩きながら中島 一州がこのように口にした。ここは新迷宮。黒髪てへトリオ部隊のメンバーはいつものように地下6階の鏡の部屋を訪れている。ここまで2回鏡の罠を解除したが、出てきた亜獣は出典が良くわからない亜獣であった。ただ、強さはそこそこあるものの、倒せないレベルではなかったため、現在の中島の回復能力でも全回復できているのである。
「物質回収しましたー」
そうこうしていると大塚 仁が物質回収から帰ってくる。回復も終わっているので、戦闘を継続するのであれば大塚に罠解除を依頼することになる。
「どうします?まだやりますよね」
「まだまだ元気一杯っすよ」
全員に目配せしながら前田 法重が確認し、それに代表で原田が返事を返す。他のメンバーを見てもまだまだ戦う気満々の様子である。
「ということで大塚頼む」
この前田の指示を聞いて、大塚は鏡に向かい罠解除を開始する。そして程なく解除に成功し、鏡から距離を取った。鏡からはいつものように煙が立ち上がり、煙が消えるのに合わせて亜獣の姿が少しずつ判明していく。その亜獣の姿はシルクハットを被った一見紳士のようであり、不適な笑みを浮かべて近づいてくる。
「あれ、これ誰だっけ」
「絶対知ってますよね」
亜獣を見つめながら思わず前田が言葉を漏らし、それに中尾 智史も考えを述べる。そして戦闘開始のタイミングに合わせて本田 仁が呪文の詠唱に合わせて、その亜獣の出典を述べる。
「その時カゲマン少しも慌てず取り出しましたるTNT爆発」
「あ、怪人21面相か、無効」
出典がわかったことによって全員のモヤモヤ感が解消し、戦闘に集中する。さすがに怪人と呼ばれるだけはあり、かなり強い部類の亜獣であったが、さすがに1体でこのメンバー相手ではなすすべなく、静かに消滅していった。
「懐かしいっすよね。昔読んでました。物質回収します」
こう話しながら大塚が物質回収に向かい、前田、原田、中尾は喰らったダメージを中島に回復してもらう。この後はいつものように回収と回復を待って戦闘の継続について話し合いをするが、中島の回復魔法が厳しくなって来たので、本日の探索はこれで終わることにしたのである。