【1クマ目】吾輩は白クマである。〜雨ニモマケズ〜
四季とは、と問いたいほどの気温が高い春と初夏を経て、
遅めの梅雨に突入し今度は湿度かと、、覚悟を決めていた今日この頃。
やっぱり暑いでないか。
雨ニモマケズ 風ニモマケズ
偉大なる宮沢賢治先生、
負けるどころか僕らはエアコンが効いた部屋にいます。
雪と夏の暑さとの勝負にご期待ください。
湿気全く感じられない程の晴天を見て
これはチャンスだと、主人はアウトドア用品、
登山靴やらリュックなどを
まとめて洗浄しメンテナンスで忙しそうであった。
金具や付けていたキーホルダーを外し、ブラシで埃を落とし、
漬け置きをした上で洗剤を使った手洗いをとても丁寧に。
普段はズボラな主人だがこういったことに関してはバカ丁寧にやる。
要は典型的な【変な所にこだわる人】なのだ。
少しでも普段の生活や仕事に活かせないものか。
そして、そのバカ丁寧にやっている作業の時間は
本来は就業時間内である。そう、仕事の時間なのだ。
それでいて夕食を取りながら残業しているのだから本末転倒である。
あの感染症が人類を混乱させて以来、
主人を雇っている会社はハイブリット勤務という形態になったらしい。
ハイブリット。その灯油みたいな名前の説明を受けたが、
要は家で仕事する日と会社で仕事する日があるようだ。
最初こそはちゃんと仕事が出来るかどうか本人も不安で、
僕自身ももう何十年、平日の昼間に主人と過ごすということが無かった。
付き合いが長いので気まずい事はないのだが、
何だか妙な感じがしたのを覚えている。
まぁそこは主人という人間だ。
三日もすれば味を占める。
思い立ったら台所にあるスパイスをかき集めてはカレーを作り始め、
時にはコーヒーメーカーの洗浄をし、
手放す小説達を選別したりしている。
主人の顔を立てる為に言うが、
仕事が落ち着いてる時間帯にもちろんやっていると思う。
しかし、在宅勤務というのは、
主人にとって【変な所にこだわる人】が炸裂するシステムだと思っている。
どうかそのこだわる性格を理解してくれる優しい人達が
なるべく多く主人の周りにいてくれる様にと、
僕は願う。
それでも、主人が家にいる時間が増えて
もちろん良い事もある。
部屋は綺麗に保てるし、自炊する時間があるので余計な食費抑えられている。
何よりも主人のストレスが減った事が大きい。
笑顔も増えた気がする。
能天気な主人もそれなりに社会の洗礼を受けていると言う事だ。
ノンカフェインのコーヒーを飲みながらの生産性のない会話。
ペディキュアの色の相談。
小説の貸し借り。
丁寧な歯磨き。
僕にとっても大切な時間だ。
とても楽しい。
それらは在宅勤務があるからできる事である。
主人を雇ってくれる会社には感謝を述べたい。
そして僕が責任をもって会社に貢献させましょう。
こうしている間に主人はスマホを見て呟いている。
『電気代高けぇ。出社しようかな。でも雨かぁ。どう思う?』
どうやら、雨ニモ、夏ノ暑サニモ だけではなく、
電気代ニモマケズ も必要のようだ。
そういう者に、主人にはなってもらいたい。