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ランダム単語ガチャで出た単語をテーマに短編小説書くチャレンジ⑤
ランダム単語ガチャというその名の通りランダムな単語を三つ生成する神サイトを利用し、出た単語をもとに短編を書いて小説力(造語)を鍛えようという試みです。今回は『修行僧』『人質』『定年』でした。
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某県某市の某由緒ある某寺院にて強盗事件が発生した。
この寺院には国宝級の仏像などがわんさか奉納されているため、一定周期でこのような事件が起きる。
そして今日、我々二人は寺からの通報を受け現場へと急行した。
しかし、逃走前に到着したため犯人が激高し、あろうことか住職を人質にとり立てこもってしまった。
「……シゲさん、定年直前に大事件とは災難ですね」
「まぁ、最後に良いモン見れるだろうし結果オーライだ」
「良いモン?強盗事件に良いも何も……」
「お、出てきた出てきた」
「あ!!奴が犯人……」
ヤケクソになっているのか覆面すら脱いでいる彼は、右頬に大きな2つの傷を×の字につけており、いかにもな悪人面だ。右手にナイフを持ちながら住職の首をロックし、我々を威嚇している。
「てめぇら一歩でも動いてみろ!!この坊さんを真っ先に仏にしてやるぜ!!」
「なんて罰当たりな脅しなんだ……!!」
「………よし、大丈夫だな」
「え」
「引き上げるぞ」
「は?はぁ!?ちょちょ、ちょっと待ってくださいよシゲさん!!まだ犯人人質とって立てこもり中ですよ!!?」
「アイツの顔見りゃ分かるよ。もう大丈夫だ。よし、帰って孫とツイスターゲームだ」
「孫がかわいそう!!!ってかシゲさん!!シ、シゲさー--ん!!」
「お、おいお前ら!!俺今立てこもり中だぞ!!どこ行くんだ!!おー--い!!!」
~30年後~
「……ノリさん、定年直前に大事件とは災難ですね」
「あぁ。……それにこれは、俺の因縁の事件でもある」
「因縁?」
「30年前、まったく同じ状況の立てこもり事件が起きたが、俺の上司は事件現場を前にしてその場から逃げちまったんだ。俺は何度も上に吠えたが相手にされず、事件は放置。人質の住職が死んだというニュースはないがきっと何か隠蔽されてるに違いない」
「ごくり」
「おい立てこもり犯!!!さっさと人質を解放して降伏しろ!!」
すると、ヤケクソになって覆面を脱いだ犯人が、人質の住職を連れて出てきた。右手にはナイフを持ち、その腕で住職の首をロック。……あの日と同じだ。
「今度こそ逃げないぞ。おとなしくその住職を………ん?」
「………ノリさん?」
「…………行くぞ。引き上げだ」
「はぁ!!?ちょちょちょっと!!ノリさん!!どこ行くんですか!!」
「もう大丈夫だ。顔見りゃ分かる」
「か、顔!!?」
「お前は右の方をよく見とけ。………修行僧の方をな」
「はぁ!?僧侶は住職だけでしょ……って、ノリさー--ん!!!」
なるほど。あの日シゲさんが見た顔、立てこもり事件なのに増援もなかった事、引き上げた意味。やっと分かったぜ。
「良いモン見れたな、定年前に」
振り返ると、右頬に大きな×を携えた住職が、仏の様な笑みを浮かべていた。