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NO67 智美 誠の家に


誠は、智美と由衣を家族に会わせるべく、

空色のトヨタ ルーミーに乗って、家に帰った。

我が家ではあるが、一応、ピンポンを鳴らして、ドアを開けてもらった。
母が智美と由衣を見て、笑顔で家の中へ誘導する。
座っていた父が立ち上がって、
どうぞどうぞと、座敷に座るよう言っている。
母が座布団を出してきた、智美は由衣を抱いて恥ずかしそうに挨拶をした。

「いらっしゃい、可愛いねぇ、この子の名前は・・・」

「由衣です 自由の由に衣装の衣です」
ゆいがここはどこだろうと云う顔をして、
まわりをキョロキョロ眺めている

「由依ちゃんか、いい名前だね」

「のびのびと自由に、優しい衣をまとって生きて欲しいなぁって・・」

「そう、智美さんが名前をつけられたの」

「きっと、やさしいいい子に育つわ」

「誠から、未婚だと聞いたが・・・」

「はい・・・・」

「親父、そんな酷な事、聞くなよ」

「そうだな、それで、誠はなんだ、智美さんと上手くやっていけるのか」

「うん、こんな事を言ったら、また、親父に馬鹿にされるけど
ゆいにね、ある時、
パパって抱きつかれたんだ・・・

俺はあの時、この子を守りたいと思った。
生涯、この子を大切に育てたいと思ったんだ」

「あらまぁ それじゃ、智美さんがかわいそう、
あんた、智美さんをどう思っているのよ」

「スキに決まっているだろ、
おふくろも、いやらしいな~恥ずかしいだろ」

「すみません・・・どうか、どうか、どうか、よろしくお願いします。」

「ほら、智ちゃん、恐縮しているじゃん」

「智ちゃん ケーキを食べて、由衣ちゃんは食べられるのかしら
牛乳、少し温めてこようか」

「そんな、気をつかわないでください」

「ゆい おいで パパとケーキを食べよう」
由衣は誠の所に走ってきて、誠の膝に腰掛ける。

「なんだ、もう、立派なパパじゃないか、よく、それだけなついたもんだな」

「そうなんです、ゆいは、すごく人見知りをする子なのですが、
まこちゃんには特別なんです 本当に不思議なんです」

「お父さん、大丈夫よ、この子たちなら、しっかり、生きていけるわよ」

「まぁ、がんばれ、智美さんの家族は誠の事を、どう思っているんだ」

「はい、母は喜んでくれていますが、父は海外出張が多いので、
今度、帰ってきた時に伝えます」

「智美さんに会う前は、ちょっと心配をしていたんだが、
これからは、ちょくちょく遊びに来なさい」


香奈子 智美 コメダへ


香奈子からメールが入った。大曽根の喫茶店で駄弁だべろうかって書いてある
香奈子はそれを誠に見せると、家を後にした。

ナゴヤドーム前のイオンモールのコメダで落ち合う約束をした。
赤坂町からコメダまで車で10分もかからない。

香奈子と智美と信二と誠が4人で顔を会わせる事は初めてなのだ。

「まこちゃんたち、早かったね、この辺に居たの」

「俺の家が茶屋ヶ坂駅から、歩いても5分もかからないから、
ドームから2駅だろすぐだよ」

「智ちゃん、ゆいちゃんを連れて、まこちゃんちに行ってきたんだ
じゃ、もうすぐだね 結婚!」

「来年 春には、もしかしたら、もしかするかも・・・」

「私たちも、もしかしたいね、シン」

「俺は、いつでも、女王様の仰せの通り」

「信ちゃん、まだ、奴隷やっているんだ」

「ぇえ、どういう事、何 いったい・・・」

「まこちゃん、何も知らないんだ、智ちゃん、何も言っていないの」

「そう、話していなかった、だって、言っていいのか、どうか・・」

「智ちゃん、やさしい ありがとう・・・まぁ、いいね」

「なんだよ、それ・・・」

「それよりさぁ~ママたちって、どうなっているのか・・知っている?」

「どうなっているって!」

「だから、なんて言うの マスターはママの旦那でしょう、だったら、稲留あかねじゃないの、それに、春樹さんも、中西?」

「あぁ、その事ね、香奈ちゃん、知らなかったっけ!
マスターはママの所へ婿養子に入ったの、だから中西修平 
で、春樹さんとれいちゃんは結婚をしてから中西家に養子に入ったの・・
つまり、4人は義兄弟ってわけ、4人一緒に中西家に住んでいる」

「れいちゃんって上野さんじゃなかったっけ?」
「それは泉さんと結婚する前だろ、
じゃ、何、上野から泉になって今は中西なんだ。」

「複雑だね なんなんだろう!」

「そのうちに分かるわ、そんな詮索せんさくをしないで私たちは、黙ってマスターについていけばいいと思うな・・・
あの人たち、私たちの事もしっかり考えてくれているもの、
信じていけると思う ねぇ、まこちゃん」

「春樹さんも優しいし、れいちゃんも好きだし、俺は着いて行くよ」

「俺も・・・色々、あったからな、れいちゃんは、ちょっと恐いけど・・」

「そうか、信ちゃんはれいちゃんの事、知らないんだ。
この事は、4人は知っておくべきだと思うから、話すけれど、
口外はしないでよ、
れいちゃんは事故に遭った事になっているけど、
本当はちがうの、本当は平和公園で3人の客に強姦をされたの、
辛いはずよ・・・
でも、れいちゃんが、いや、れいちゃんなんて失礼ね!
玲香さんは何事もないような顔をして居られるのは、
マスターやママや春樹さんがしっかりガードをしているからだと思う。

だからね、あの時、香奈ちゃんが強姦だ~って騒がなかったら
玲香さんも、あんなに信二に強く当たる事もなかったのだろうけれど、
強姦と聞いた時、信ちゃんも同じ強姦魔だと思ったのよ、
だから、阿修羅みたいになったけれど、
本当はすごく、優しくて、思いやりのある人なの。
信ちゃん そこだけは分かってあげてね!」

「知らなかった、トラックとぶつかったのだと思っていた!
そうだったんだ、本当に強姦をされたんだ。知らなかった・・・」

「どういう事、香奈ちゃんは信ちゃんに強姦をしていないのに、
玲香さんに強姦をされたって言ったの」 誠が聞いた

「あのね、私がシンに強引に口をふさがれて犯されたの・・」

「それ、やっぱり強姦だろ」
誠が信二を見る。信二はうつむいている

「だけどね、本当は・・シンが好きだから、
普通にしてくれたら、何も問題なく していたはずなの・・・
シンはそう言う事がヘタだから強引になるんだと思う ねぇ シン」

「ごめん ごめんなさい、いつも、行動が先に出て失敗するんだ。
本当に反省しています。  
でも、ほんとうに玲香さんに悪い事をしたな」

「そうだったんだ、色々 大変だったんだ、俺は何も知らなかった
頭の中はゆいの事で一杯だったかな~」

「ねぇ、私たちもママたちみたいに、強いきずなを作ろうよ」

「そうだよね、今日、会えて良かった これからも4人で会おうよ」

「俺も誠とあんまり話をした事がなかったけど、
これからはよろしく頼むな」

「そうだね、話をしてみると、
俺の思っていた信二とはちがうんだと思った、本当に仲良くしよう」
4人は結束を固くして、別れた。


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泉 春樹
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