SM語り特別編 エーテル家族語り ルザミーネwithモーン編
※画像は「ポケットモンスターサン&ムーン」及び「ポケットモンスター」からの引用となります。
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とうとう最後のエーテル家族語り。第三夜ではエーテル家族を形成したルザミーネ・モーンについて語ります。語りの都合上視点を固定した方がやりやすいのでルザミーネwithモーンのような配分でやっていきます。
〇概要
ルザミーネは現エーテル財団の責任者であり、エーテルパラダイスの運営、ウルトラガーディアンズの指揮官、マナーロスタジアム建設などに関わっています。夫にモーン、長男にグラジオ、長女にリーリエを持ちます。
〇時系列確認(定期)
本題に入る前に恒例の時系列確認。今回は特に5→6の間の出来事に注視します。この間に以下の事柄が発生したと考えられます。
・リーリエの幼少期の思い出が作られる
・ウルトラホールの研究再開
・ピクシー進化事件
ここで確認したいのは、
・リーリエが生まれて間もなくモーンが消失したこと
・リーリエ・グラジオ・ルザミーネの三人で作った思い出があること
・凍結しようとしたウルトラホールの研究を5→6間に進めていたことです
〇ルザミーネのパーソナリティ
ルザミーネはエーテル財団の責任者であり、ウルトラホール及びUBの研究者であり、そしてエーテル一家の母です。バイタリティに溢れた「強い女性」として周囲からは見られていることでしょう。(実際リーリエは「強い人」だと評価しています)
しかし、この「強い女性」像はSM44話から登場したルザミーネのものです。逆にルザミーネは「強く」見せる理由があったと考えることもできます。
この語りでは私見を交えながらルザミーネのパーソナリティの源泉を探り、エーテル一家がどのように形成され、喪失し、再生していくのかを語っていきます。
・神話への憧れ
ルザミーネの根本には父から聞いたアローラ創造神話への憧憬があります。アローラの守り神たちがウルトラビーストと激しい戦いを繰り広げたり、かがやき様が光をこの地に満たした伝説。そしてルザミーネもグラジオ・リーリエにこの伝説を読み聞かせています。
レジェンズアルセウスでウォロが神話を知ることは、世界の成り立ちを知ることだと言ったのは記憶に新しいところです。世界の成り立ちを知ること、すなわち自分のルーツを知ることにルザミーネは興味があったのかもしれません。
※画像は「もこうの実況」https://youtu.be/gWi-mZYNALc より引用
・モーンとの出会い
そんな神話に憧れたルザミーネは、研究者のモーンと出会いウルトラホールの研究チームを組みました。(ザオボーやビッケともこの頃からの付き合い)
…ルザミーネはモーンに強く惹かれていきました。
・家族の形成
やがて二人は結婚しメレメレ島に居を構えグラジオとリーリエという二人の子どもをもうけます。この頃モーンは島キングのハラから認められZリングを授けられています。またリーリエのプレゼントとしてマギアナを手に入れたのもこの頃です。
・モーンの消失
しかし、そんな中ウルトラホール研究の事故によりモーンが消失します。ルザミーネは打ちひしがれ、モーンの相棒のゾロアークの行方にすら気を配れない状態に陥り、ウルトラホールの研究の凍結さえ考えました。
・喪失感を埋める「強さ」
ここからは例のごとく本編では詳しく語られていない妄想パートです。
ルザミーネはモーンのいないことの喪失感を埋めるために、「仕事」と「家族」にのめりこみました。ルザミーネには「強く」なって前に進むしか道がなかったのです。
・無自覚のキャパオーバー
子どもの前では精一杯「良き母」として振舞う一方で、モーンが遺したウルトラホールの研究にも再度着手しはじめます。
しかし、そんな激務ではいずれキャパオーバーしてしまう。ザオボーの計略やリーリエの異変に気づかなかったのはこの無自覚のキャパオーバーに起因しています。
・解体される家族
ウツロイド襲撃事故が発生してから、エーテル一家の綻びは急激に大きくなります。リーリエはエーテルパラダイスからメレメレ島に移って生活するようになり、グラジオはしばらく思い悩んだ後に家を出ました。
しかし、そのことにルザミーネは気づいていませんでした。
・すれ違う想い
ほしぐもの出現により、ルザミーネはリーリエに再び接近しようと試みます。しかし、そのやり方はあまりにも一方的でリーリエは不満を抱えています。
「お母さまの都合にばかり合わせるなんて不公平!」
「いつからこうなっちゃったのかな…」
一方ルザミーネもすれ違いに悩んでいました。
・グラジオの激昂―すれ違いから衝突へ―
そんな中ザオボーの策略により、シルヴァディが奪われたグラジオがルザミーネにその関与を詰問します。
しかし、ルザミーネは全くこのことに関知していない様子。グラジオはそんなルザミーネに激昂しました。
激昂の詳細はグラジオ語りで触れているので省きますが、ここではじめてルザミーネはこの家族が壊れていたことに気づきます。
グラジオやリーリエと距離が離れ続けるのは激務のせいではなく、それに伴って自分が見過ごしてきたもののせいだと。
・「前に」立つ母
その後ザオボーの計略により再びウツロイドが襲撃してきます。あの時のような間違いは起こさないとリーリエを守るグラジオの「前に」ルザミーネは立ちました。原作とは異なり、ルザミーネは母として子どもを「守る」ための行動を選択しました。
・マザービースト―「赤ちゃんかえり」
ウツロイドに意識を乗っ取られたルザミーネは幼児退行―「赤ちゃんかえり」を起こしてしまいます。
ウツロイドの神経毒が原因ですが、グラジオは根本にはルザミーネの本音があると分析しています。
家を出るまでの間ルザミーネを見定めてきた所見なのでしょう。
・「お母様なんて大嫌い」―リーリエの声―
マザービーストは追ってくるリーリエたちを撒こうとしますが、仲間たちの力によっていよいよ追いつきます。最後はリーリエの説得の力に拠ることになりました。
そんなリーリエの第一声は
お母様なんて大嫌い!
ルザミーネにとってはグラジオに続き赤ちゃんだと思っていたリーリエからの激昂。大きなショック…であるからこそ、ここから家族をやり直したい…そんな想いがルザミーネを正気に引き戻します。
(その後もいろいろありますが)救出された後、ルザミーネはリーリエの言葉は響いたことを告白します。
・ウルトラガーディアンズ結成
ウツロイドから救出された後、ルザミーネはサトシたちスクール組にウルトラガーディアンズのメンバーになるよう要請します。
もちろんそのメンバーにはリーリエと(非常時に)グラジオも。一人で抱えるのではなく頼ることの大切さをルザミーネは学びます。
・かがやきさまの伝説
ウルトラガーディアンズ編で最も重要なミッションであるかがやき様編ではルザミーネが幼少期に父から聞いたアローラ創造神話であるかがやき様の伝説に迫ります。
『かがやき様…この地に現れ溢れる光で世界を満たした』
『光は不思議な力に満ち我らがアローラは誕生した』
・マナーロ―私たちは共に生きていきます
幼少期から憧れていた伝説は、日々の生活の根幹を説明する神話でした。ポケモンと人々がお互いに分かち合い(アローラ)、共に生きていく。(マナーロ)
神話は私たちのルーツであり指針。子どもたちが取り戻した光によってルザミーネの抱える不安は氷解しました。
・モーンが生きている―欠けていたピース
研究者として親として家族の問題に向き合ったルザミーネ。
しかし、一つ見落とした、もとい見ないようにしていたピースがあります。…消失したモーンです。
108話で明らかになったモーン生存の報せ。ルザミーネにとっては吉報である一方、向かい合うべき現実でした。
・子どもに頼れる母
モーンが消失してから、ルザミーネは一家の大黒柱としてひたすら「強く」前を歩き続けました。そうしないと二人の子どもを抱えて生活することができなかったからでしょう。
しかし、子どもたちにちゃんと頼ることができるようになり、後ろを見るキャパシティができました。
・エーテル一家再生の時
マギアナの光によってモーンへとたどり着くことが判明したとき、ルザミーネは出発することを即決したとはリーリエの談。エーテル一家が共に生きていく最後のピース・モーン 彼らの物語は今ここに始まります。
〇総括
長い長い三日間の語りもここで終わりです。「モーンとリーリエ、雪原の再会」に向けての予習になれば幸いです。
最後に一言添えるならば、エーテル一家の物語はモーンの再会で終わるのではなく始まるということです。20日の放送を楽しみに待ちましょう。
ご清聴ありがとうございました!
(了)