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幕間のリアリズム-新無印107話「助けて、ワンパチのアニキ!」感想-
※画像は全てポケモン公式YouTubeチャンネル からの引用となります。
©Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku ©Pokémon
〇概要
今回のタイトルは「助けて、ワンパチのアニキ!」
てっきりワンパチがパーク内の問題を解決して「アニキ」になる話かと思いきや…、実はすでに「アニキ」として頑張っていたワンパチをトレーナーたちが後追いで知っていく回でしたね。
〇新無印のリアリズム
今回は新無印らしい「行間を読ませる」ロジックがよく利いていました。ワンパチがどのようにして「アニキ」と慕われるようになったのかの経緯はコハルたち含め視聴者は全く知りませんでした。
アニメで描かれていないところでもキャラクターたちは動き生活し、成長している―これが新無印のリアリズムです。
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〇ワンパチのリーダーシップ
ワンパチはサクラギパークで起こった問題を今回より前から解決し、ポケモン達から信頼を得ていました。
どのポケモンもワンパチの言うことなら聞こうという姿勢が一貫していたのは興味深いです。オーキド研究所のフシギダネですら最初は苦労していたというのに…。
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ワンパチは優れた状況判断と具体的かつ適切な解決案を提示していました。超音波に超音波をぶつけて音を消すことも、これまでにも同様の事例があり解決したことがあるのでしょう。
引き合いに出すのは可哀そうですが、人望がありつつもゴルーグが「アニキ」になっていない理由はこのあたりにありそうです。
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〇スイクンの承認
そしてトラブルの原因のベトベターの住処を新たに用意する段になって、かつてゴウが捕まえたきり姿を消していたスイクンが現れます。
今回のスイクンの役割は汚れた水を浄化すること…ではなく「アニキ」として頑張ってきたワンパチを認めるためにやってきたと考えられます。(SMのカプに似た仕事ですね)
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ゴウ:「離れ離れでもお互いの思いが強ければ強いほどつながるんだ」
サクラギパークではポケモン達自身がコミュニティ=生態系を形成してきました。スイクンはそのような生態系を制御する役割を担っています。そしてワンパチもスイクンから離れたところで同じ役割を果たしていたのです。
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〇総括
コハルたちが知らなかった「アニキ」としての役割を全うしていたワンパチ。離れていてもサクラギパークの生態系を見守っていたスイクン。
視聴者の知らないところでもポケモンとトレーナー、そして世界は思いによって繋がっていく。
新無印で伝えたいメッセージが込められたいいお話でした。
(了)
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<追伸>
今回のスイクンの「雨ごい」は前回のサクラギパーク回でのゴルーグの「雨ごい」と対比されていました。
ゴルーグの雨ごいが止めるべき災害として描かれていたのに対して、スイクンの雨ごいはコハル曰く「優しい雨」。シリーズ内でオマージュができるほど物語が蓄積していったのは感慨深いですね。
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