【アニポケ雑談】進化って実はとんでもない!?
梅雨の気配を肌で感じる雑談☔
最近のアニポケは進化ラッシュだ。前シーズンの終わり際の45話でリコのニャオハがニャローテに進化したのを皮切りに、新章に入ってからは52話でロイのカイデンがタイカイデンに53話でリコのミブリムがテブリムにそれぞれ進化を遂げている。
ここに来て急に進化ラッシュが始まったのは、HZのストーリー進行がシリーズの中盤に差し掛かったことの証拠だろう。キャラの顔見せや世界観の説明が終わり、手持ちのポケモン一体一体を掘り下げる段階に入ったのだ。
「進化」はポケモンのゲーム性の根幹を支えるシステムだ。小さくか弱い相棒が強く頼もしくなった経験はプレイヤーなら誰しもが味わったことがあるだろう。
ポケモンの派生コンテンツであるアニポケにおいても当然「進化」は重要だ。ただし、そのシステムはゲームと同じように機能するわけではない。アニメという物語を表現する媒体において独特な役割を果たしている。今日はこのことについて考えてみよう。
ポケモンにおける進化には様々な種類があるが、包括的な定義としてポケモンWikiにあるものを参照しよう。すなわち「進化(しんか)とは、特定の条件を満たすことによってポケモンの種類が変わる現象」*1のことを指す。
*1 https://wiki.xn--rckteqa2e.com/wiki/%E9%80%B2%E5%8C%96 参照
「特定の条件」に相当するものとしてはレベルアップ・道具・通信交換などが代表的なもので、これらが複合的に混ざることもある(例:アイテムを持たせて通信交換)。
進化する条件は各ポケモンそれぞれに設定されているが、共通しているルールが一つある。それは「一度進化すると元の姿には戻れない」という不可逆性の定理だ。
進化する途中でBボタンを押すことでキャンセルしたり、「かわらずの石」というアイテムを持たせることで進化を拒否することは出来るが、進化した後は取り返しがつかないというのが基本的なルールとなっている。
ポケモンが進化するというのは、最初の定義で確認した通り別の種類のポケモンに変わることを意味する。ポケモンの「進化」は我々が親しんできた進化論的事象よりも「変身」や「変態」に近い事象というのは巷にも膾炙している知見だろう。
ある条件をきっかけに唐突に別種になる…というのはゲーム上では当たり前のこととして受け入れられているが、実際に存在する世界として考えたら中々に衝撃的でとんでもないことだ。
アニポケにおいてはゲーム上のデータを一つの世界として立ち上げる都合上、この「衝撃」に向き合う必要性が生まれた(グッズ展開などの"大人の都合"も含まれる)。すなわち「進化」を物語の中で意味が通るシステム/イベントとして位置づけなければならなかったのだ。
代表的な例としてサトシのピカチュウの進化拒否を考えてみよう。ピカチュウの進化条件は「かみなりの石」に触れること。クチバジムのマチスのライチュウに勝つには有効な方法だ。しかし、ピカチュウはこれを拒否する。
ニャースの弁によると、「ライチュウをピカッとやっつけるなら、このまま(進化しないまま)じゃないとダメだ」とのこと。
ピカチュウは本能的にピカチュウとライチュウは別種のポケモンだと理解している。見た目だけではなく中身≒精神性までもが変質することを知っているのだ。だからこそ、ピカチュウで受けた雪辱はピカチュウとして果たさなければ意味がないと主張したのである。
実際、この後温厚なヒトカゲがリザードに進化してサトシの言うことを聞かなくなるという重大な問題が発生する。トレーナーとしてのサトシの未熟さの象徴するイベントとも捉えられるが、進化の「衝撃」に焦点をあてた展開といえる。
先にネガティブな側面に触れてしまったが「進化」自体にネガティブな意味はなく、むしろポジティブに捉えられることの方が多いだろう。直近のカイデンとミブリムの進化はそれぞれに抱える課題を乗り越えた結果として進化したように見える。
カイデンは不安定な状況で安定して飛ぶ自信をミブリムは昂った感情を黙らせるパワーをそれぞれ進化によって手に入れた。両者に共通してるのは現状を打破するための衝撃的な力。それは地道な努力や根性で身に着けられるものとは似ているようで異なる。
ミブリム→テブリムでは特に顕著だが、進化のエネルギーは唐突で衝撃的だ。ミブリムがこれまで蓄えていた力を10とすると一瞬で100まで到達するジェットコースター的感覚。
物語は連続的な性質を持つのでもちろん進化も地続きなイベントとして置かれているはずだ。ただし、進化の花火のような突発性が物語に華を添えているのも否定できないだろう。
シンオウのポケモンの進化の権威であるナナカマド博士によればポケモンの90%は進化に関係するという。今後展開されるリコロイドットの物語においても進化が関わってくる可能性は高い。その時打ちあがる花火がどんなものか今から楽しみにしておこう…To Be Continued.