「プリンのうた」を語る会
〇はじめに
3月9日は図鑑番号になぞらえて「プリンの日」に制定されています。それにちなんで今日はポケ物語り特別編「『プリンのうた』を語る会」を開きます。公開から1年以上経ちますが今もなお色あせない魅力について深堀りしますので良ければお聞きください。
〇概要
「プリンのうた」は「ポケモン Kids TVチャンネル」で公開されている「POKÉTOON」シリーズの一つで、2021/12/28にyoutubeで公開されました。
「POKÉTOON」シリーズはアニポケ本編とは独立したシリーズで、身近にポケモンを感じられるのが特徴のアニメ作品群です。
Point1:モモとプリンの出会い
物語は泣いているプリンとモモが出会うところから始まります。モモはプリンが泣いている理由を詮索せず、「一緒に遊ぼう」と声をかけ友達になりました。いきなり友達になる導入がモモの天真爛漫さを表現すると共に、プリンの抱える問題を視聴者に印象づけています。
Point2:アンズの揺さぶり
しかし、モモとプリンの平穏な日常を揺さぶってくるのがアンズというキャラクター。自分の連れているプリンとの「違い」から「なんか変」とマウントをとってきます。差異をもってマウントをとろうとする心理は子どもらしいプリミティブな嗜虐心ともいえます。
アンズによって語られるプリンの「普通」。それはプリンが「歌が大好きな」ポケモンであること。それを知ったモモは当然自分の友達のプリンの歌を聴きたいと望みますが、プリンは悲しそうな顔をして逃げ出してしまいます。
Point3:プリンのトラウマ
実はプリンには歌についてのトラウマがあったのです。群れの仲間のプリンの合唱に混ざろうとしたときに、自分の声が周りと「違う」あまり驚かれてしまったこと。その驚きに拒絶を感じたプリンは群れから逃げ出してしまいました。
歌を歌うポケモンにとって、自分の声が周囲と違ったらどれだけ心細いことでしょう。プリンにとってこれは重大な心の傷となってしまいました。泣いているプリンをみてモモはプリンが歌を歌いたくないことを理解し、それを矯正しようとはしませんでした。
Point4:「違い」の承認、そして爆発
そして翌日、モモとプリンは再びアンズと出会います。アンズはモモのプリンが歌わないのはプリンがアンズのことが好きじゃないからではないかと誹ります。あえてアンズを擁護するのであれば、アンズは自分の常識の中で目の前の事象を解決したいのだと考えられます。
当然アンズの言葉をモモは否定しますが、自分とプリンの友情を傷つけられたと思い泣いてしまいます。プリンはその涙をみて歌うことを決心…アンズにはひかれてしまいますが、モモは「素敵」と絶賛 プリンは完全に吹っ切れます。
Point5:プリンのうた
BGMはロックミュージックがかかり、プリンの固有領域が展開。笑顔で歌い切ったプリンにモモは「プリンの大好き伝わったよ」と一言。
それからプリンは毎日歌を歌うようになりました。アンズもプリンの歌が気に入った様子。でもプリンの歌には相手を眠らせる効果があるようで…というところでfin
〇総括
ということで以上、「プリンのうた」語りでした。僅か6分という短い尺に詰め込まれたテーマ性はポケモンコンテンツの中でも相当に深い部類に入ります。その理由はプリンにとっての「歌」の重大さに寄り添った話作りが基盤にあります。
違いを大事にというのは多くの創作で語られるテーマですが、安易に取り扱えばただのお題目です。プリンにとってみんなと「違う」ということは生存する上で重要な障害であり深い傷でした。それを乗り越えられたのは自分を承認してくれたただ一人の友達を傷つけたくなかったからです。
ポケモンというコンテンツがなければ、恐らくこのテーマには迫れなかったことでしょう。人間ではなく動物でもない、不思議な不思議な生きものたちが私たちに教えてくれること。
プリンの日、おめでとう! 興味のある方は是非ご覧ください! ご清聴ありがとうございました。