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【雑談】ドキメキ創作術推論

ポケポケがルーティーンに入り込みつつある雑談🍂

アニポケでは新章に入っての最初の目標であるブライア、更には六英雄のバサギリの情報を持っているサザレとも出会い、物語が一気に動き出しそうな予感だ。

ブライアとサザレはゼイユと同じく「ポケットモンスター スカーレット・バイオレット」のダウンロードコンテンツ(DLC)の『ゼロの秘宝』に登場するキャラクターだ。こないだの雑談記事でも話したが、DLCキャラは本編キャラ以上に"濃い"味付けがされる傾向にある

ただし、アニポケにおいてはゲームでの描写よりは多少マイルドな味付けの印象だ。本編で強烈な印象を残したレホールやオモダカなどをはじめとして受け入れられやすいキャラとして描かれているように感じる。

ただ、このようなイメージはあくまで相対的なものかもしれない。すなわちHZシリーズが演出する"ドキメキ"な空気感の中であれば多少ぶっ飛んだキャラも受け入れられやすくなるのでは?という推論である。

"ドキメキ"とは、言うまでもなくHZ第一章「リコとロイの旅立ち」のOPである『ドキメキダイアリー』のキーフレーズ。あれから幾度もOPは変遷しているけれども、HZシリーズを象徴するフレーズとしてずっと輝き続けているのではないだろうか。

本記事では改めてそんな"ドキメキ"を感じさせるHZの創作術についてあれこれ「推論」していこうと思う。あくまで「推論」なのでちゃんとした分析ではないのであしからず。


①先が見えない展開

これがHZにおいて最も徹底された演出理念だと感じる。HZではとにかく情報が絞られた状態で物語が展開されていく。リコが自分が旅をする目的であるルシアスについて知るのはなんと12話のこと。通常アニメであれば1クールが終わる頃に初めて主人公の目的が明かされるのはかなりスローペースな展開といえるだろう。

【公式】アニメ「ポケットモンスター リコとロイの旅立ち」ダイジェスト映像(ポケモン公式youtubeチャンネル)

これ以外にも敵対組織のエクスプローラーズのギベオンが姿を現したのは54話とかなり遅い方であり、彼らが求めるラクリウムの情報なども現状ほとんど明らかになっていない。

ポケットモンスター(2023) EP54:永遠(とわ)のめぐみ

リコ達の旅路はちょうどラクリウムのピンク色のもやに覆われたかのように先が見えない。『ドキメキダイアリー』においては「霧」という言葉でこの先の見えなさを表現している。

白い霧ばかりエブリデイ
探したいものさえ探せないよ uh
わくわくしたそうなダイアリ
知らんぷりして放り出すなんて
<中略>
黒い霧覆うエブリデイ
雨に打たれて帰りたくなるの oh
わくわくしたそうなダイアリ
少し浮かれて走り出すなんて

『ドキメキダイアリー』作詞・作曲:Chinozo,2023

先が見えないもどかしさは"ドキメキ"を構成する重要な成分なのは間違いない。ジャンルとしてはミステリーに近い手法だが、これからどう謎解きされていくのかが見どころになるといえるだろう。

②章立て構成によるメリハリ

HZシリーズは20~25話程度のまとまりで一つの章を構成している。これまでに「リコとロイの旅立ち」「テラパゴスのかがやき」「テラスタルデビュー」、そして「レックウザ ライジング」へと続いている。

HZを通して観てきたオーディエンスなら分かってもらえると思うが、これらの章立ては単純な話数の集合というだけではない"色"の違いがある。個人的に章ごとに所感を纏めているせいもあってか、この色の違いはかなりはっきりと感じている。

色に違いがあるといってもそれを言語化するのは難しいが、ざっくりと例示してみよう。

「リコとロイの旅立ち」においては一話で起承転結が完結せず、2~3話の緩いまとまりで話が展開することが多かった。これまでのアニポケとは完全に異なる文法でストーリーテリングする意図が感じられる。

しかし第二章の「テラパゴスのかがやき」編になると一転、一話完結の話が急増する(例:HZ36話)。アニメオリジナルの町に寄り道してそこでのトラブルを解決する…サトシ編と比較してもかなりオールドスタイルなストーリーテリングだ(ロケット団は登場しないが)。

そして第三章の「テラスタルデビュー」編では最新作(SV)準拠の疑似的なジム巡りを主体とした展開になる。ジム巡りは過去のアニポケでもずっと描かれてきたが、それを「テラスタル研修」という形でアレンジしているのが特徴だ。それまで試合形式のバトルがほとんどなかった中でこれも急激な方向転換といえる。

大雑把な所感だが、章ごとに全く異なる色を持っていることがお判りいただけただろうか。この章ごとの色の違いが「メリハリ」となって"ドキメキ"になると推論している。

サトシ時代のアニポケにおいても新作が出て世代が変わる4~5年ごとに、例えば「アドバンスジェネレーション」から「ダイヤモンドパール」へとサブタイトルを変遷させていた。それと同レベルの変化が半年ごとに起こっているのがHZシリーズだ。大袈裟と言われるかもしれないが、一応全話視聴したオーディエンスとしてそこまで外れたことは言っていない自負がある。

色の違いによる「メリハリ」によって先にも述べた「先の見えなさ」はさらに強化される。情報は情報のままではオーデェンスに伝わらず、具体的な色をもって伝えられる。それがどのような色なのかオーディエンスはある程度アタリをつけるものだが、HZではそれを固定化しないことによって外しているのだろう。

③アンチテンプレート/マンネリズム

ここまででHZの"ドキメキ"は「先の見えなさ」と「メリハリ」によって構成されていると推論してきた。最後にこれらに通底する創作術について推論していこう。

それは一言でいえば「アンチテンプレート/マンネリズム」といえるものだろう。HZは型にはめ込んだ展開を極力避けようとする哲学が背骨一本通っている。

先に「テラパゴスのかがやき」において一話完結の話が増えたことを述べたが、それもHZ全体で観ればテンプレート(定番の型)にはなっていない。逆にシリーズの中では浮いてるようにさえ見える展開だ。

これはHZのみならずアニポケ全体の歴史的な流れだが、「日常回」は完全に淘汰されたように感じる。HZにおける「日常回」は物語における停滞であり、それはオーディエンスにも望まれていない。

変幻自在に型にハマらない哲学こそが"ドキメキ"創作術の根幹をなすコンセプトであり、逆にそこは一貫している。HZを途中から観た人にとっては「全然『テラスタルデビュー』と違うじゃん!」と思ってしまうかもしれないが、それこそがHZらしさと楽しんでほしいところだ。

さて、「レックウザ ライジング」がどんな物語を紡ぐのか、例のごとく現状ではわからない。でもきっとこれまでに語られてきたものとは違う色のものになるはず。その輝きを楽しみに”ドキメキ”させられる準備をしておこう…To Be Continued

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