ポケットモンスター 遥かなる青い空 感想
※画像は全てポケモン公式YouTubeチャンネル からの引用となります。
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〇はじめに
湯山邦彦監督をはじめとするレジェンドスタッフが贈る特別編。JNとは異なるあたりまえで特別な一日の物語。どんなワクワクとドキドキが待っているのでしょうか?
Point1:ファンサービスのオンパレード
今回に限っては本筋に入る前にこれに触れないわけにはいきません。 BGM・作画・ナレーション・小ネタの数々…。短い尺の中でこれでもかと過去作ファン泣かせの演出が施されていました。
【BGM】
まず映像が流れて最初に流れるのは懐かしきSMのBGM!(タイトルがわからずすいません)
水中の映像とこのBGMときたらもうそれは「アローラ!はじめての島、はじめてのポケモンたち!!」なのよ。湯山監督がSMをここまでリスペクトしてくれるなんて…と昇天してました。
【ナレーション】
ナレーションは故・石塚運昇氏。
おそらく過去回のアーカイブからの引用だと思いますが、「この少年マサラタウンのサトシ」という文言を聞いただけでウルっときてしまいましたね。
【作画・キャラデザ】
キャラデザは一石小百合・安田周平氏によるもの。帽子のデザイン的に無印を意識しているのは間違いないですが、背景などの雰囲気は"A Ripple in Time" に近いものを感じました。
【小ネタ】
あたりまえのように小ネタも盛り込まれています。自分が気づいて重要そうなものだけピックアップします
・ピカチュウの群れ…「ピカチュウのもり」
・ひもじいロケット団…DPまでのロケット団像
・帽子を奪うマンキー…サトシのオコリザル
・コロッケ…ママの手作りの象徴
Point2:サトシのパパの接近
「ココ」などでその存在を仄めかされつつも、実在が怪しかったサトシのパパがかなり接近してきました…が姿までは見せず。少なくともかなり忙しい職(?)についているようです。
ただ、今回もそれ自体が重要というよりは…「ココ」のように物語の触媒として機能していました。
Point3:異世界の入れ子構造
冒険の舞台は分かりやすく「異世界」として描かれており、門をくぐってからトンネルを通り抜けてトナリタウンに到着するまでの物語となっています。生者と死者が共存する場所…完全な黄泉の国ではないことに注意すべきですね(ロケット団が入れなくなるので)。
「異世界」なのは門の間だけではなく、「遥かなる青い空」も同じです。パラレルな世界観で現代で無印的デザインなサトシとピカチュウとロケット団の冒険活劇を見届けている視聴者。ハルトはありえた世界の「サトシ」あるいは視聴者の一人なのです。
Point4:あたりまえにあるものに
サエ:「あたりまえにあるものが実はそうじゃない。ただそこにあるだけでなんて幸せだったんだろう」
これは亡くなった息子ハルトに向けられた言葉…というだけではありません。入れ子構造として含められた「アニポケ」に向けての言葉でもあります。
あたりまえにあった「アニポケ」はもうない、そして「ありがとう」といいたい… スタッフの方も私たち視聴者と同じ、いやそれ以上の喪失感があるのかもしれません。作品は作者のもののみならず独り立ちするとはよく聞く話ですが、アニポケほどの大作になればその思いもひとしおなのでしょう。
Point5:「ポケットモンスター」
ハルトがポケモンに触れるためにサトシが自分の手を重ねます。これはサトシを通じてポケモンに触れてきた視聴者のメタファーでしょう。実際に触れなくても私たちはポケモンを感じることができる。
ハルトと別れ、そしてコロッケを食べながら泣くサトシ。郷愁と喪失感とそして新たな冒険。「ポケットモンスター」の物語はまだまだ続くったら続く。
To Be Continued
〇総括
事前告知でも強調されていましたが、「遥かなる青い空」はレジェンドスタッフによるファンサービスがメインの作品でしたね。一つの作品として見るよりこれまでのアニポケの文脈を乗せて観ることが前提になっている…。途中でもいいましたが"A Ripple in Time" に近い位置づけの作品だと思います。
正直、私よりもスタッフの知識がある方が見た方がよりよい感想を出せたでしょうが、それでも私なりのアニポケに対する郷愁を感じることができました。アニポケを愛する全ての人のための―スタッフ含め― 鎮魂歌のような作品でした。スペシャルエピソードとしてふさわしい作りになっていたと思います。
これから始まる「めざせポケモンマスター」も新シリーズも「ポケットモンスター」の物語です。あたりまえにあるものではなく、一期一会の物語の出会いに感謝しながら時を待ちたいと思います。ご清聴ありがとうございました。