SM語り特別編 エーテル家族語り リーリエ編
※画像は「ポケットモンスターサン&ムーン」及び「ポケットモンスター」からの引用となります。
©Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku ©Pokémon
SM語り特別編としてエーテル家族語りということで三回にわけてお届けします。一人目はエーテル家族のお姫様、リーリエについての語りです。
〇概要
リーリエはスクール組の一員であり、アニポケSMの中核的なヒロインを務めた人物です。今回はスクール組の一員という側面も大事にしつつ、エーテル家族の一員としてのリーリエにフォーカスして語ります。
〇家族構成
リーリエは父にモーン、母にルザミーネ、兄にグラジオを持ちます。モーンとルザミーネはウルトラホールの研究者であり、エーテルパラダイスの創業者です。作中基準で裕福な家庭であり、リーリエが暮らす屋敷ではジェイムスという執事やメイドもついています。
〇時系列整理(SMシリーズが始まるまで)
本題に入る前にSMシリーズに入るまでのエーテル家族の時系列を整理してみましょう。ストーリーで語られた時系列とは異なるので注意が必要です。
一番重要なのはSMストーリーが始まる四年前に「6、UBパラサイトがラボに出現」が発生したことです。
〇リーリエのパーソナリティ
リーリエは一見分かりやすく印象つけられたキャラです。清楚なお嬢様、ポケモンに触れない、「論理的結論」、「本で読んだことがあります」etc
しかし、その実リーリエの本質とは何か?と言われると難しい。恐らくリーリエ自身も答えに窮すると思われます。
・喪失と再生
なぜかと言えば、リーリエはSMシリーズにおいてパーソナリティを描く途中のキャラだったからです。リーリエのストーリーの大部分はもともと持っていたが喪失したものを再生することに拠っています。ポケモンとの触れ合いも、家族も、リーリエが本来既に持っていたものでした。
それでは、SMシリーズでリーリエはマイナスからゼロにしただけなのでしょうか?
違います。リーリエはSMシリーズでポケモンと共に「強く」なりました。リーリエはシリーズを通して大きな「一歩」を踏み出したのです。
〇リーリエとポケモンの関係
リーリエは手持ちとともに…というよりポケモンとどう関わるかというところからストーリーが作られるキャラです。過去のトラウマによってポケモンが触れない…という問題をどう乗り越えたのか振り返ってみましょう。
・シロン(アローラロコン)との関係
手持ちだけの問題ではないと言いつつもやはり一番重要なのはシロンでしょう。シロンはオーキド校長の特別授業で預かったタマゴの世話からの付き合いです。孵ったときからリーリエに懐いており、逆に他のポケモンやトレーナーとはすぐに打ち解けませんでした。
リーリエを想う気持ちは人一倍強く本来苦手なバトルやZ技の特訓も頑張ってくらいつきます。進化系に対する憧れは持っているようですが、同時に恐れも抱いているようで氷の石による進化は拒否しています。(新無印ではどうなるか…?)
リーリエとシロンは歩幅を合わせて成長しているように見えます。
・ククイの授業による成長
リーリエのポケモンに触れない状態は自然と解消されたわけではありません。 人為的な作用としてククイ博士の授業はかなり大きな影響を与えました。タマゴ→シロン→ピカチュウ→ライドポケモンと少しずつ触れ合えるポケモンの範囲が広がっていきました。
・リーリエのトラウマ
しかし、根本的な問題はリーリエが抱えるトラウマにあります。四年前、ザオボーが開けたウルトラホールからUB:パラサイト(ウツロイド)がリーリエを襲ったところをシルヴァディが助けました。
しかし、リーリエはそこでシルヴァディが自分を襲ったと勘違いしてしまいます。
・シルヴァディとの邂逅
奇しくも四年前と同じ状況でシルヴァディに助けられたことで、リーリエのポケモンに対する恐怖心は完全に払拭されました。これまで触れることができなかったポケモンにも触れることができるようになったのです。
・「家族の再生」のピースマギアナ
触れ合いの問題解決後のリーリエにとって重要なポケモンといえばマギアナです。マギアナはモーンのリーリエへのプレゼントです。モーンの発見以来動かなかったマギアナを起動させるために試行錯誤する過程で、今まで自覚していなかった父への想いが膨らんでいきました。
マギアナはお姫様のお世話をするためのポケモンということで、本来はリーリエの介助をする立ち位置でしたがマギアナに出会ったときのリーリエは既に「強く」なっていました。
マギアナは羅針盤としての役割を得て今もモーンを探し続けています。そして来週には…。
〇リーリエが得た強さ
リーリエがSMシリーズ中で「強さ」を得たと言いましたが、それはどんな強さでしょうか。もちろんバトルの腕前ではありません。
「ポケモンに触れない」という恐怖を克服した強さ?
それだけでは説明できない「強さ」があると私は思います。
・困難に向き合う強さ
リーリエにとって強さの象徴は母・ルザミーネでした。自立した大人であり、夫を失うきっかけとなったウルトラホールの研究を続ける強さ。だからこそ、リーリエはウツロイドに捕らわれたルザミーネをこう喝破します。
お母様なんて、大っ嫌い!!
自分の足でしっかりと立つこと―「自立」こそがリーリエの「強さ」の根幹といえるかもしれません。
・弱さを許せる強さ
一方で「自立」だけが強さではありません。モーンのポケモンの行方を聞いた時、自らを責めるルザミーネにリーリエは声をかけます。
リーリエは「強さ」の理想形をルザミーネに投影するのではなく、自立した大人としてその「弱さ」を受け入れる「強さ」を獲得しました。この「強さ」を手に入れたからこそ、家族全員でモーンを捜索するという選択をとることができたのかもしれません。
〇論理を超えた感情による論理的結論
リーリエにとって論理とは自立するための方策であり拠り所でした。
しかし、ルザミーネがピッピの進化の件で揶揄していたようにそれは自らの感情をコーティングするものでしかなかった。自立した「強さ」を手に入れたリーリエは相手の感情に思いを巡らせます。
出会ったことのない父への想い、そのぬくもりを忘れられない兄の想い、喪った心をなんとか埋めようとした母の想い。感情を受け入れ前へと進むリーリエには広大な未来が広がっていることでしょう。
論理的結論として!
(了)