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新無印(JN)の話作りの難しさについて-94話感想より-

※画像は全てポケモン公式YouTubeチャンネル からの引用となります。
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〇概要

今回は第94話「ヘラクロスロス、恋するカイロス」を見て感じた新無印の話作りの難しさについてお話ししていきます。

最初に言っておくと、私はこの話がかなりよくできていると思っています。ただ、それは難解なパズルのピースがたまたまうまくはまったという話であって常にそのピースを埋めるのは難しいのではないか、というのが私の見解です。

〇新無印(JN)の話作りが難しい理由

①「焦点」を合わせにくい舞台設定

新無印(JN)はクチバシティを拠点にした全地方を舞台にしたアニメです。さらにサトシ・ゴウ・コハルは一瞬で別の町・地方へ行くことができます。

よって話を作る際に「どこで」その話が展開されるかを考えなくてはなりません。お話としてなぜそこで物語が展開されなければならないのかという説明がないと不自然になってしまいます。

今回の場合は「気に病んでいるカイロスを好きな花によって元気づける」という理由づけをして、タマムシジムで話が展開されるのを自然なことだと視聴者に意識付けています。

②回収されなくてはならない過去要素

タマムシジムが舞台ならそこにはサトシと面識のあるエリカがいます。エリカはぽっと出のキャラではないため、新規視聴者のために過去にどんなことがあったのかを簡単に説明する必要があります。全地方舞台ならではの課題ですね。

③多すぎるフォーマット

新無印(JN)は大別して次の四つのフォーマットで構成されています。

・サトシ軸(WCS) 
・ゴウ軸(プロミュウ・手持ちエピ)
・コハル軸(ブイズ巡り)
・リサフェロ軸(日常回)

それぞれのフォーマットごとにパターンが組まれていて、ストーリーの展開も異なります。昔のシリーズのロケット団フォーマットと比べるとかなり複雑なのは間違いありません。今回はコハル軸とゴウ軸のハイブリッド。フォーマットでいうとブイズ巡りの型で物語が構成されています。

ブイズ巡りのフォーマットでは必ずブイズが登場してイーブイがそのブイズのわざをまねっこするという一連の流れが組み込まれています。さらに言えば、そのブイズとの交流の中でコハルとイーブイが何かしら成長しなくてはならないというストーリー上の制約もあります。

今回は生け花教室というイベントを中心にロケット団乱入のハプニングを経てカイロスの抱える課題を解決するという構成で、話はきれいにまとまっていました。

しかし、その結果コハルとイーブイの成長に関しては十分に描けていなかったのではないでしょうか?話の中心はあくまでゴウのカイロスにあって、イーブイは触媒の役割しか与えられていません。これは尺の問題もありますが、そもそも一話の中で取り扱うには軸が多すぎて焦点が絞れていないのが原因です。

話の構成としてはゴウの手持ちの物語にコハルのブイズ巡りのフォーマットを組み込んだ形になっています。ブイズ巡りのフォーマットの主張が薄かったからこそゴウのカイロスの話としてはブレずにまとまったという皮肉でもあるかもしれません。

〇総括

まとめると話としてよくできているこの話でさえ、これまでのシリーズの日常回とは比べ物にならないくらいの情報量があり、それを制御するためにパターンがあります。それを一話完結にしようとするものだから無理が生じる。無理が起きて当たり前なんだと思わなければいけません。前提が難しいのだから。

こうしてみると新無印(JN)は本当に難しいシリーズだと思います。脚本家の方々には頭が上がりません。視聴者としてもリスペクトを持つのを忘れないようにしたいですね!

ご清聴ありがとうございました!
(了)



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