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250221 NU Q4
収益: 29億9,000万ドル(予想: 34億3,000万ドル)🔴; 前年比+58%増(為替変動調整後)
純利益: 5億5,260万ドル(予想: 5億9,670万ドル)🔴; 前年比+85%増
粗利益: 13億6,000万ドル(予想: 16億ドル)🔴; 前年比+44%増
粗利益率: 45.6%(予想: 46.7%)🔴
運用指標
総顧客数: 1億1,420万人; 前年比+22%増
第4四半期の新規顧客数: 450万人
月間平均収益(ARPAC): 10.7ドル; 前年比+23%増(為替変動調整後)
月間アクティビティ率: 83.1%
アクティブ顧客1人当たりのサービスコスト: 0.80ドル
15~90日延滞率(NPL比): 4.1%(前期比30ベーシスポイント低下)
90日以上延滞率(NPL比): 7.0%(前期比20ベーシスポイント低下)
流動性と融資のハイライト
利子を生むポートフォリオ: 112億ドル; 前年比+75%増(為替変動調整後)
融資ポートフォリオ: 61億ドル; 前期比+22%増(為替変動調整後)
クレジットカードポートフォリオ: 146億ドル; 前年比+28%増(為替変動調整後)
総預金額: 289億ドル; 前年比+55%増(為替変動調整後)
純利息収入: 17億ドル; 前年比+57%増
純利息マージン(NIM): 17.7%(前期比70ベーシスポイント低下)
リスク調整後純利息マージン: 9.5%(前期比60ベーシスポイント低下)
国際展開
メキシコ: 顧客数1,000万人達成(前年比+91%増)、預金額が前年比+438%増の45億ドル
コロンビア: 250万人の顧客、「Cuenta Nu」商品が牽引
ブラジル事業
担保付き融資ポートフォリオ: 14億ドル; 前年比+615%増
ウルトラビオレタ(高所得者向けセグメント): 70万人の顧客(前年比+132%増)
ウルトラビオレタ購入額: 18億ドル; 前年比+106%増
新商品の展開
NuTravel: 多通貨口座を利用した旅行予約サービス
NuCel: Claroとの提携によるMVNOモバイルサービスを開始
CEO デビッド・ベレス氏のコメント
「2024年はNuにとって変革の年となりました。純利益はほぼ倍増し、顧客基盤は1億1,400万人以上に拡大し、エンゲージメントも大幅に深まりました。持続可能な成長と商品の多様化に注力することで、ラテンアメリカのデジタルバンキング分野におけるリーダーシップをさらに強化しています。」
① 決算とガイダンスを含めた結果のインパクト
結論: 🔴小
解説:
NU Holdings の Q4'24 決算は、成長は堅調であるものの市場予想を下回る結果となり、インパクトは「小」と判断します。
収益($2.99B、予想 $3.43B): 前年比58%増(FXN)と成長は顕著ですが、予想を約13%下回りました。これは市場が期待した急拡大がやや鈍化した印象を与えます。
純利益($552.6M、予想 $596.7M): 前年比85%増と大幅な改善を見せたものの、予想比で約7%下振れ。利益率の改善は進んでいるが、投資家の期待には届かず。
粗利益($1.36B、予想 $1.60B): 前年比44%増も、予想比で15%未達。粗利益率(45.6%)も予想(46.7%)を下回り、コスト管理や収益性の向上が期待ほどではないと捉えられます。
運用指標: 顧客数(114.2M、+22% YoY)や ARPAC($10.7、+23% YoY)は好調で、特にメキシコ(顧客+91%)やブラジルの高所得者セグメント(+132%)など国際展開が強み。ただし、ガイダンスが明示されていないため、市場はこれ以上の成長加速を織り込む材料に乏しいと見做す可能性があります。
資産の質とマージン: NPL比率の低下(90日以上 7.0%、前期比-20bps)はポジティブだが、NIM(17.7%、-70bps QoQ)やリスク調整後NIM(9.5%、-60bps QoQ)の低下は収益性への懸念を示唆。
総じて、成長は継続しているが、市場の高い期待値に届かない結果であり、株価への即時的なポジティブインパクトは限定的と考えられます。
② 短期的な投資判断
結論: 🔴売り
解説:
短期的に「売り」を推奨します。その理由は以下の通りです:
市場期待との乖離: 収益、純利益、粗利益が軒並み予想を下回り、特に収益の13%未達は投資家の失望を招きやすい。決算発表後の初動で株価が下落する可能性が高いと見ます。
マージン圧力: NIM とリスク調整後 NIM の低下(それぞれ-70bps、-60bps QoQ)は、金利環境や競争激化による収益性低下を示唆。短期的にはこれがネガティブ材料として作用します。
ガイダンス不在: 将来の成長見通しに関する具体的なガイダンスがないため、市場は保守的な見方を取る可能性があり、買い手が慎重になる状況が予想されます。
テクニカル要因: 決算前の株価が成長期待を織り込んで上昇していた場合、ミスした決算による調整売りが強まるリスクがあります。
ただし、顧客数の増加(+22% YoY)や国際展開の進展(メキシコ預金+438%)は底堅い成長を示しており、下落幅は極端に大きくならない可能性もあります。それでも、短期的なリスク・リワードを考慮すると売りが適切と判断します。
③ 長期的な投資判断
結論: 🟢買い
根拠と解説:
長期的に「買い」と判断します。その根拠を具体的な数字と共に詳しく説明します:
顧客基盤の拡大とエンゲージメント: 総顧客数 1億1,420万人(+22% YoY)、月間アクティビティ率 83.1% は、ラテンアメリカのデジタルバンキング市場における圧倒的なシェアを示します。特にメキシコ(1,000万人、+91% YoY)やコロンビア(250万人)の成長は、新興市場での浸透が進んでいる証拠です。ARPAC が $10.7(+23% YoY)と上昇している点も、顧客1人当たりの収益性が向上していることを示し、スケールメリットが期待できます。仮に ARPAC が年率20%で成長し、顧客数が同様に20%成長すると、2026年には収益が $60億超に到達する可能性があります。
資産ポートフォリオの成長: 利子を生むポートフォリオ($112億、+75% YoY)、クレジットカードポートフォリオ($146億、+28% YoY)、総預金額($289億、+55% YoY)は、収益源の多角化と資金調達力の強化を示します。特に担保付き融資($14億、+615% YoY)は高成長分野であり、今後数年でさらに拡大する可能性が高いです。
コスト効率: アクティブ顧客1人当たりコスト $0.80 は業界内でも低水準であり、スケール拡大に伴う利益率改善が見込めます。仮に顧客数が 1億5,000万人に達してもコストが $1.00 に上昇する程度であれば、年間営業費用は $15億程度に抑えられ、粗利益率が50%を超える可能性があります。
新商品のポテンシャル: NuTravel や NuCel などの新サービスは、既存顧客のエンゲージメントをさらに高め、クロスセルによる収益増加を期待できます。特に旅行や通信は高頻度利用が見込まれ、ARPAC をさらに押し上げる要因となり得ます。
マージン低下への対応: NIM の低下(17.7%)は短期的懸念ですが、預金拡大(+55% YoY)と低コスト運営により、リスク調整後収益は安定化する見込みです。金利環境が落ち着けば NIM も回復し、長期的な収益力は維持されると予想されます。
目標株価
短期(1週間)目標株価: $11.5
長期(5年、DCF法、20%成長想定)目標株価: $25
Buy the Dip: $10