ボージョレ解禁
ボージョレヌーヴォ。
今年は11/16に解禁だったらしい。
年々盛り下がっている気がする。一時期はコンビニにも置いてあったというのに。いや、今年も置いてはある。が、コンビニで買うにはいささか高いのだ。
お祭りだからと購入していたが、最近は円安の影響か、やたらと値段がする。それなら他のワインを買う。そんなこんなでわたしの中でも盛り下がっていたのだが、帰宅時に見かけた彼のせいで今年は購入することにした。
彼は見ず知らずの中年男性で、信号待ちをしていた。信号待ちをしながら、コンビニでよく見かけるペットボトルタイプのヌーヴォを、あの首のところにつけられたタグを外さぬまま、ラッパ飲みだ。
盛り上がっている!!
春の花見の時期ならまだわかる。わたしも20代の頃にやらなかったとも言えない。
しかし、よく考えてみると、だいぶ秋も深まって寒寒しい夕方、会社帰りの人たちが多少行き交う中くらいの交差点で、タグも取らずにワインを煽る。
一緒に飲みに行く人はいなかったのか。家まで待てなかったのか。
どうしても今、帰り道に酒を飲みたかったのか。缶ビールや酎ハイじゃ足りない、日本酒やウイスキーでは瓶も重い、そこそこのアルコールをラッパ飲みするのに適していたのがヌーヴォだったのか。好きで飲んでいる感じでもなかった。これは、パーティータイムじゃない。やさぐれているんだ。
なんだか寂しい気持ちにはなったが、このようなきっかけでとりあえずヌーヴォを手に取ることになった。
なんでもいいんじゃない。
今年とれた新しいお酒を、フレッシュな気持ちで爽やかに飲まなくては。
そう思って、ペットボトルではない、瓶のヌーヴォを買った。季節のイベントを大事に思いながら。
と思ったら、購入直後に店内で割った。
入れていたビニール袋が裂けたのだ。他にもつまみやらなにやら買って重量オーバーした結果だった。
自分の後ろで、買ったばかりのワインボトルが滑り落ち、とても華奢な、繊細な音を立てて破れた。
ワインボトルってあんな綺麗な音がするんだなあと、あんまりびっくりしてぼんやりしていたら、あっという間に店員さんが集まってきて、あれよあれよと片付けてくれた。
こちらの不注意だというのに、新しいボトルも持ってきてくださり、怪我やシミがないことを喜んでくれた。
人の優しさに触れた。
今年のボージョレヌーヴォは、こんな形でした。
わたしも、今年はおそらく家で1人飲む。
1人で飲むのは好きだけれど、来年は仲間と飲めたら楽しいな。
お祭りは、そんなふうに過ごしたい。
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