多摩川の生き物とヒト その216 水系 新緑の海沢へ 24/4/16
東京都奥多摩町にある海沢(うなざわ)へ。ソメイヨシノは散ったが、所々でヤマザクラが咲き、新緑が眩しい。素掘りのトンネルを抜け、ゲートを越え、海沢へ。ゲート付近にはいつもカモシカがいるが、今日は出会えなかった。どこかへ行っているのか。林道は冬季などの影響もあり、いくつもの穴が開き、落石も多く、一般道ではなく、作業用としての林道という事を改めて実感する。
海沢園地に着く。この先の大楢峠方面へは崩落のため、通行禁止になっていた。イヌナズナやアメリカスミレサイシンが出迎え、サワグルミやフサザクラの新緑が美しい。サワグルミは花の形がオニグルミと同じ花を付けている。堰堤を越えると、ワサビ田へと通じている作業用のモノレール近くにニホンカモシカがいた。ジッとこちらを見ている。角はなぜか、片方しかなかった。ニホンシカみたいに抜け落ちることはない。どうしたのだろう。
道は荒れている。うまくトレースしていかないと流れを渡れない。アズマイチゲはすでに終わっていたが、コチャルメルソウ、ニリンソウ、ハシリドコロは花盛り。やがて、三ツ釜ノ滝に着く。私はここからネジレノ滝へと向かう。
大滝へは崖崩れなどで通行禁止になっていた。しかし、ネジレノ滝からトラバースして行けるなど、山は自己責任で行けばいいと思ってしまう。お節介と思うが、訴えられると大変なので、通行禁止にしているのだろうか。
ヨゴレネコノメ、ナガバノスミレサイシンなどの花々を見ながら、ネジレノ滝へ。久しぶりの訪問だが、本当に滝の流れる向きが左から右へとねじれている。以前も見ていると思うが、地層が褶曲していて、見方が変わると、面白い発見がある。白い花などを見つつ、引き返す。川や道をふさいでいる倒れているスギがある。また、至る所に沢があり、海沢は水が多く流れる所だと知る。
旧農林高校の海沢演習林の看板がある。青梅総合高校へと変わり、林業科が廃止されたが、この演習林はどうなっているのだろうか。林業が廃れた今、林業科と言う学科を残していく選択は無かっただろう。ついでに、自然破壊の大元、林野庁も無くして欲しかった。
三ツ釜の滝に戻ると、ミソサザイが鳴いていて、木株の上などで盛んにさえずっていた。カツラの新緑、滝近くの崖に生えるイワタバコ、ホトトギス、ダイモンジソウの芽吹きが美しい。ゆっくりと園地に戻る。夏になったら、もう一度来たい場所。
帰り、奥多摩駅近くの海沢のカタクリ山へも寄った。ここは地元の方が手入れをしている場所。道の傍らに車を停め、発電所の太い水道管をくぐる。途中では、ニリンソウが白く、被さり、美しい。カテンソウやマムシグサなどが文字通り、花を添えている。傍らにはイカリソウがある。
カタクリは春植物の名の通り、すでに花が終わり、実を着けたり、葉だけになり、すでに枯れ始めているものもあった。見渡すと、山々はスギやヒノキに混じり、新緑が美しい。
帰りはワサビ漬けを求めてから戻った。