多摩川の生き物とヒト その179 水系 秩父 慰霊の登山 ‘23/11/12
急に冷えこんだ日、命日の11月13日よりも一日早いが、用事があるので、亡くられたOSさんの慰霊のため、秩父へ向かう。
三峯神社大輪、秩父湖を経て、栃本を通り、トラウトオンと言う釣り場へ。ここから歩いて遭難現場へ。
冷え込み、パーカや手袋をしていないと、手がかじかむ季節となった。東大演習林の林道を進む。やはり、東大は北海道などに広大な演習林を持ったり、柏の葉などに別のキャンパスがある。私立大とは違う、物持ちの大学であると感心する。
途中で、イロハモミジの赤やダンコウバイの黄色の紅葉が美しい。他の樹々はすでに葉を落としていいる。シロヤマブキが最後まで咲いている。「サワラの森」として、サワラが植林されている。どうして、値段の高いヒノキではなく、水で腐りにくく、風呂桶などに使われているサワラなのだろうか。
この林を過ぎると、川沿いを歩く登山道へ入っていく。登山道には昔、使っていたトロッコ、おそらく、ナローゲージの軌道が残っている。この軌道は東京大学演習林軌道(入川軌道)と呼ばれ、屋久島や木曽などと同じ、木材を運ぶ森林鉄道である。JRなどのレールに比べて、細く、頼りない。軌道が二又になっていて、クロッシングになっている所がある。ここは恐らく、列車交換、つまり、行き違いに利用していたのだろう。
岩場から水が雫となり、落ちている。沢でもないのに、崖の途中から、水が湧いているからである。また、大きな岩が進路をふさいでいる所もあった。上から落ちてきたのだろう。自然の厳しさを知る。
やがて、川原のように少し、川が広がっている所に出た。サワグルミやシオジがあり、巨木になっている。サワグルミはすでに葉を落とし、ひも状の果実をぶら下げていた。シオジは黄色く、葉を落としてい最中だった。
広葉樹の中で、わずかにモミがあり、アセビとともに茶色の枯れ木の中に緑を添えている。
やがて、こんな山奥にも堰があり、地図を見ると、下流の発電所に通じる導水路に水を流す堰だった。川には巨岩がゴロゴロし、その岩の間から滝のように、水が流れている。
落ち葉が積もり、膝ぐらいまで埋まりながら進むと、そこが赤沢谷出合で、荒川起点の碑がある所だった。
この近くで、OSさんが遭難したのだ。大きなカツラがあり、根元が岩に食い込んだだけで、風雪をしのいでいる。このカツラにはうろがあり、うろに家から持ってきた、彼が採り、我が家に分けていただき、栽培しているホソバコンギクを供える。彼が好きなコーヒー缶を開け、木にかけ、飲ませる。線香も手向けたが、火事の恐れもあり、途中で消す。合掌。
対岸には岩棚があり、山のベテランの彼ならば、ツェルトを持っていたり、持っていなくても、ビバークが出来たと思う。どうして、遭難したのだろうか。
また、来年も来ると約束し、帰路に着いた。釣り場に着いたのが4時頃、もう、暮れてきた。
また、春に訪れたい。
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