多摩川の生き物とヒト その192 水系 大栗川合流点工事の立会い ‘23/12/19
今、行われている大栗川合流点下流右岸の工事について業者から、土砂やコンクリートの一時保管と工事用道路についての相談が来た。国交省と相談して、現状の視察と相談の対応を考える事にした。関戸橋に工事業者の方と国交省と私の3名が集合した。現場まで遠いので、国交省の車に便乗し、移動。
土を固めた仮橋で大栗川を渡り、新しくできた大丸用水取水口へ。一昨年(2022年)できた新しい護岸に取水口があり、周囲は取り入れやすいように取水口付近を下げているとの事。水路は地上から少し見えた後、地中へと入っていく。この新しい取水口は下流の大丸用水堰を無くした後、多摩川から取水するためである。取り入れた水は地中に通した管を流れ、今まであった大丸用水に入る。
モニターを行う監視盤はできるだけ、崖に近づけ、目立たないようにする。新しい堰の事もあり、必要なので設置するとの事。
護岸は穴が空いているもので、一昨年作った護岸ではすでに穴から、草が生えていた。
白い管理用道路が出来ている。上流に新しい堰を作ったので、この道路も必要との事。
大丸用水の魚道や川底のコンクリートやブロックを壊して、河川敷に置いてある。さらにこの先、堰本体を解体する時、破砕したコンクリートが出てくるので、一昨年以来、自然が回復した所において欲しいと工事業者が言ってきた。私たち、自然保護団体が許認可権を持たないのに、同意を求めてきた。これが今回の立会いの目的の一つである。すでに、コンクリート片を積み上げてあり、範囲を広げないように注文を入れて、了解した。
もう一つは工事用道路以外に資材を運ぶ道を大丸用水堰から作りたいと言われた。岸近くの荒れた道を活用すればいいのではないかとの国交省の方から提案があり、私も業者の方も納得した。
さらに歩いていくと、大丸用水堰が見えた。堰の上流では文字通り、堰き止められ、川が干上がっている。堰の下に埋まっているブロックを取り出している最中だった。堰き止めている土はこのブロックが埋まっている川底の土だった。この川底の土を重機ですくい取り、大きなダンプカーに入れ、近くの堰き止用の堰堤に使っている。この堰堤でも、大きな重機を使って、土を固めている。何台ものダンプカーが行きかい、ここが多摩川かと思うほどだった。
まだ、堰本体の工事をしていないので、年が明けて、2024年度から本格的に堰の解体が始まるそうだ。まず、多摩市側の右岸を行い、それから、府中市側の左岸の解体を行うそうで、堰の解体が終了するのは2026年の予定である。
なぜ、大丸堰を無くすのか。
これは2019年の台風19号の時、計画した流量よりも、上まった。それで、水が溜まりやすく、洪水が起きやすい堰を撤去する事にしたらしい。だから、新しく作っている取水口は水が溜まらないように、川底から取水するものに変わっている。一連の工事の意義などがやっと、わかってきた。
しかし、工事に圧倒されて、仮締め堰堤付近に出来た新しい護岸に生えてきた植物について、どんな植物なのかを確認しなかった。一体、何のために工事現場に入ったのか。
最後に、崖沿いに生えているオギなどの在来の植物が生えている河川敷についてはそのままにして欲しい事を業者や国交省に伝えた。
同時に、工事が終了した河川敷をただ、平らにするのではなく、凸凹にし、水が溜まったりし、生物が回復しやすいようにしてほしい旨を伝え、了承していただいた。
対岸の府中市でも、護岸工事が始まり、植生や地形が大きく変化している。これからも、大栗川合流点付近や府中市側でも、変化を見続け、生態系保持空間が壊されたという事実を重く、見ていきたい。
夕暮れが迫る中、郵便局などに寄り、、帰りはもう暗くなっていた。