多摩川の生き物とヒト その219 水系 多摩川自然観察会 関戸から是政まで ‘24/05/19
5月の観察会は関戸橋から是政橋まで。参加者5名。各停ぐらいしか停まらない中河原駅に集合。
関戸橋に向かおうとしたが、「釣り堀はどうなったのか?」との声で急遽、駅近くの釣り堀へ。訪れたが、すでに釣り堀には水が無く、いけすの跡が残っているのみ。しかし、水がどこから来て溜まっているのか、水辺に生えるオギやガマが生えている。水が溜まっている奥のいけすには何やら、クロモかもしれない水草の花があった。このいけすの道を挟んで反対側にもいけすがあり、ホテイアオイやオランダガラシが大量に浮かんだりしていた。これらのいけすは今年(2024年)6月以降、更地にすると看板にあった。このいけすの将来や大量の水はどこから来ているのかなどを持ち主の方とお会いできれば、話を聞いてみたい。
関戸橋に出る。橋脚架け替え工事は一段落し、ブロックなどは無かった。だが、橋脚はできているが、橋が架かっていない。これから、完成まで何年までかかる。見守っていきたい。
大丸用水堰工事により、川辺に入れないので、府中市のグラウンド跡を堤防沿いに進む。元、林だったハリエンジュの小さな樹々を見たり、土手や草原を青く染めているナヨクサフジを見つつ、進む。
足元にはコマツヨイグサ、クスダマツメクサ、コメツブツメクサがカーペット状に咲いている。紫と白のニワゼキショウに混じり、美しいセッカニワゼキショウもあった。河川敷ではクワが実り、のどを潤す。
堤防の斜面には薄い土壌の中でカワラサイコが生えていて、懸命に花を着けている。それ以上にたくましいのは特定外生物のオオキンケイギクで、土手を一面に黄色く染めている。中には、誰かが抜いてあるものもあるが、完全に根が地面と離れていないと、枯れないくらい、丈夫。
中間にある小段を進む。草むらの中を進んでいくと、昔の水勢近くにクララがあった。噛んでみると、本当に苦い。薬用だと言い、「では、どんな薬などに使われているの」の問いがあった。「龍角散に使われているのでは」と言ったが、調べると、使われていない。苦いので、ウジなどのムシ退治に使われているようだ。適当で、今まで「良薬は苦し」と憶測で説明していた。
白いクララの次はきれいなレンリソウだ。保護区として草刈りを遠慮している所の一面に濃い紫のレンリソウが咲いている。観察会に間に合い、良かった。保護区の手前にはカワラナデシコがあり、工事現場への通路付近に生えていた。これからの草刈りなどの時には気を付けてもらうよう要望するつもりである。
これほど美しい花を見た後、一面何もない工事跡に出た。昨年(2023年)、大丸用水堰工事に伴い、河川敷の幅が足りないという理由で護岸工事が行われた。川辺は白く、穴が開いたコンクリート護岸で被われ、河川敷は固められ、草木が無い、殺風景な所になってしまった。ここは川辺へなだらかに入られ、アシ原が広がっていた場所。見る影もない。この辺で昼食。
新しくできた護岸が堤防に向かう所は30年前、バブルの頃に出来た巨岩が残っている。一部、古い護岸では割れ目もある。整合性はどうなっているのか。
護岸作りに使った工事用道路を歩く。府中市のバーべキュ場はモウモウと焼き肉の臭い。中洲に釣り人がいる。中洲から戻り、渡っていく釣り人がいるが、意外と浅い。この中洲も大丸用水撤去に伴い、水位が下がると思う。水鳥達や中州はどうなってしまうのか。
範囲外までタープなどを張ってあるヒトを横目に、排水路の橋を渡り、サッカー場の脇の小道を入る。工事用道路跡の脇にはクジラタケが付いている大きなエノキの朽木があり、ムシ屋が喜びそう。その傍らにはカワラケツメイが生えてきて、一応保護されたので、一安心する。しかし川原にはアメリカネナシカズラが広がり、油断できない。目を転じると、大丸用水堰を撤去している重機が休日にも関わらず、せわしなく、動いている。
武蔵野線近くの丘陵では山を削り、土砂をならしていた。大雨が降れば、土が流れてしまうと思う。ヒバリがくたびれたのか、メマツヨイの枯れ木の上でさえずっている。
コンテナ列車が美しい武蔵野線や南武線鉄橋をくぐり、南武線沿いに堤防を目指す。オオヨキリやセッカなどが鳴くオギ原を見ながら、是政橋へ。この辺はブロック製作場があった所。もう、工事が終わったのに、オギなどが覆ていない。これからを期待したい。橋の手前で土手に上がる。往来の激しい道路を横断し、橋下をくぐり、左手に進むと、ポツンと西武是政駅があった。この線は本当に独立していて、やっと、白糸台で歩いて連絡している。
初夏の一日を堪能した観察会だった。
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