あの日の誤字

僕は、六年間片思いしている女の子がいる。趣味も性格も似ていて、ずっと一緒に居られたらなと思っている。
今はたまに会うくらいの関係で、それだけでももちろん嬉しい。会うと言っても、学校も違うし食事をしたり外で話したりする程度だ。
そんな彼女との馴れ初めは、8年前に遡る。初めて彼女を見たのは、小学4年生の時だ。進級してからも空席のままの机があった。当初は何も気にしていなかったが、1週間程経ったある日、突然彼女が登校してきた。女性には何も興味もなく、ただサッカー漬けの日々を送ってきた僕に突然衝撃が走った。そう、僕は柄にもなく一目惚れをしてしまったのだ。一目惚れをしたのは、後にも先にもこの1度だけだ。そこからはアピールをして彼女も僕のことが好きだったらしい。しかし、僕は思ったようにアタックできず、そのまま何事も無かったように小学校は終わってしまった。最近再び仲良くなった後でしれっと聞き出したのだが、彼女は両思いだった事も覚えていないらしい。自分も当時のことはほとんど忘れていた。そのまま何も関わらず歳月は流れた。
そして中学2年生で再び同じクラスになった時再び物語は動き出した。ある日僕が廊下を考え事をしながら歩いていると、彼女が慌てて廊下を走っていて、僕の肩にぶつかった。彼女は謝ってくれたが、考え事をしていた僕はどうやら当時少し怒っているように見えたらしい。そして当日の夜、急にLINEで彼女が謝ってきた。何も気にしてなかった僕は最初なんのことか分からなかったが、直ぐに理解した。だけど、ただお互い謝っただけじゃこのまままた終わってしまう。そう考えた僕は、わざと誤字をした。自分では分からなかったが、今でも彼女は本当に誤字をしたと思っているだろう。今思えば、この頃から恐らく僕は彼女が好きだったのだろう。
そしたら予想通り誤字に反応してきてくれた。そこからは自然と話が弾み、プライベートまで仲良くなった。周りからも付き合いそうと言われるほど仲が良かった。そのまま進級し、3年生でも同じクラスになった。仲は依然良かったままだった。そろそろ告白しようかなと思っていた時、僕の中に戦慄が起こった。なんと、彼女につい最近彼氏が出来たと本人の口から聞いたのだ。当時僕そんなことを予想していなかった僕は、ただ唖然とした。だが表情に出す訳にも行かず、表では彼女の恋愛を応援していた。最初は相談にも乗っていたが、彼氏の束縛が激しく、次第に話さなくなっていってしまった。まだ好きだった僕は、ずっともやもやが残っていた。約半年が過ぎた頃、彼氏の束縛に耐えられなくなった彼女は別れたという噂を聞いた。しかし、しばらく話していなかった僕は話しかける勇気も出ず、そのまま想いを伝えられずに中学時代が終わった。高校生になったら忘れるだろうと思っていた思いが高校1年生でも残ったままだった。そしてついに決心つき、高校二年生の時、久しぶりに連絡をした。当時の謝罪と、もう一度仲良くしたいという旨の連絡だ。彼女はやはり優しく、空白が無かったかのように仲良くしてくれた。再び仲良くなってしばらく経ったある日、想いを伝えようと思って会った。しかしやはり喉まで来てるのになかなか言葉に出来ず、その日は結局何も伝えられなかった。
そして大学進学の時まで来てしまった。自分は本当に想いを伝えられず情けない思いでいっぱいだ。彼女と一緒に幸せになりたい思いでいっぱいだ。もう二度と手離したくない。次会うとき、思い切って伝えようと思う。もうこの関係を崩したくないと思っていたけど誰かに取られる方が辛い。砕けてもいい。彼女への想いを正面から伝えます。応援よろしくお願いします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?