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【カジュアルEDH】《インガとエシカ》紹介

はじめまして、主に新宿周辺でカジュアル統率者戦を遊んでいるかやぶきと申します。
EDH歴は1年に満たない程度ですが、良いコミュニティに巡り会うことができ、M;tGをカジュアルに楽しめる場に魅了され、こうして筆を執るまでにハマってしまいました。

さて今回ですが、筆者が最近愛用していて「機械兵団の進軍」におけるイラストアド最強カードである《インガとエシカ》のデッキを紹介したいと思います。

領界路探しと 猫戦車の神 樹の神のコンビ。
楽しそうで何よりです

統率者戦プレイヤーのバイブルだと勝手に思っている「EDHREC」での《インガとエシカ》は横並べ・ランプ路線が主流のようですが、本記事で取り扱うのはそれとは別コンセプトのデッキとなります。
《魔力の墓所》《宝石の睡蓮》《激情の後見》といった高額カードは採用せず、自己評価ではレベル6。人によってはレベル7を付けるかもしれません。晴れる屋基準なら「Battle」での使用が適正でしょう。

noteを触るのは初めてなのでお見苦しい点もあるかもしれませんが、よろしければ最後までお付き合いくださいませ。


統率者解説

《インガとエシカ/Inga and Esika》(2)(緑)(青) 4/4
伝説のクリーチャー — 人間(Human) 神(God)
あなたがコントロールしているすべてのクリーチャーは警戒と「(T):好きな色1色のマナ1点を加える。このマナは、クリーチャー呪文を唱えるためにしか支払えない。」を持つ。
あなたがクリーチャー呪文を唱えるたび、それを唱えるためにクリーチャーからのマナ3点以上が支払われていた場合、カード1枚を引く。

https://mtg-jp.com/products/card-gallery/0000251/607287/

やや直感的でない言い回しをしていますが、要するに
「自軍クリーチャー全員がクリーチャー呪文限定のマナクリになるよ!」
「警戒も与えるから殴った後にマナを出せておトクだね!」
「クリーチャーから3マナ以上使えたら1ドローのボーナス!」

と書いてあります。
さらに簡略化するなら、
「3マナ以上のクリーチャー呪文にドローとマナ加速が付いてくる」
と言えるでしょう。
多少の誇張があることは否定しませんが、強そうに見えてきませんか?

なおドロー条件ですが、マナの発生源がクリーチャーであることのみが参照されます。
《インガとエシカ》に付与された能力を使っても勿論構いませんが、
たとえば《ソンバーワルドの賢者》がいれば自前の能力だけでドロー条件を満たせますし、《水蓮のコブラ》《眷者の神童、キナン》の能力で出るマナでもOKです。いずれもこのデッキにおける強力な加速手段ですね。

真ん中はちょっとパワーが落ちますが

基本戦略

瞬速クリーチャーを多数採用した、構えるタイプのデッキです。
ドローはかなりジェネラルに依存しているため、何はともあれ最低限の盤面を作れないと話が始まりません。3ターン目までにジェネラルを含め3体のクリーチャーを揃えられれば上々の立ち上がりでしょう。
首尾よく並べられたら、多くのスロットを割いている打ち消し・除去呪文で盤面を維持します。

このデッキの最も特徴的な要素がこの打ち消し呪文で、《エリマキ神秘家》など、いわゆるETB能力として打ち消しを内蔵するクリーチャーを多数採用しています。
相手の脅威をピンポイントで弾きつつ自分はジェネラルの効果でドローとマナ加速を行うという、シミックカラーの美味しいところを存分に味わえるカード群ですね。

スタンダード当時は「シミック・フラッシュ」で活躍


最終的には、横並べすることでマナと手札を増やし、潤沢な妨害札で守りながら制圧またはコンボを目指すのが勝ちパターンになります。どちらの場合でも、キャスト数を増やせる《大クラゲ》、干渉能力の高い《船砕きの怪物》あたりがキーカードになります。

自分自身も戻せます
汎用性という言葉の化身
相手を妨害してよし、
自分のETBを再利用してよし

デッキリストはこちら。

デッキ全体のバランスはこうなっています。

クリーチャーに偏重し、《インガとエシカ》のドロー能力を最も効率よく誘発させられる3マナ域を特に厚く取っているのが読み取れると思います。

なお、デッキの価格は晴れる屋で総額4万円くらい(執筆時点)となりますので参考までに。
目立って高い《耐え抜くもの、母聖樹》《緻密》を《森》と《否認》あたりにすれば3万円切りも視野です。

採用カード解説

マナ加速

マナクリーチャーに非常に偏った構成になっています。
タップでマナを出すものだけで9枚。
《眷者の神童、キナン》《水蓮のコブラ》もマナクリみたいなものなので11枚体制と言っていいでしょう。
ジェネラルが出てしまえば元々持っているマナ能力が腐るのでは? と思う向きもありましょうが、そのジェネラルを早期着地(あるいはリキャスト)させるためにはやはりマナクリが必要ですし、出た後も「クリーチャー呪文以外にも使えるマナ」が出せて助かる場面は多くあります。クリーチャーに寄せているとはいえ、やはり他の呪文にも頼る必要はあるのです。

また、《耕作》《遥か見》に代表される土地加速ソーサリー、いわゆるランパンは不採用としています。
代わりに入っているのは《ウッド・エルフ》《彼方地のエルフ》《エルフの再生者》《装飾庭園を踏み歩くもの》。

要は、ETBで土地を持ってくるクリーチャーたち

クリーチャーの頭数にカウントできる点、3マナ生物なのでドローのトリガーにできる点が《インガとエシカ》においては《耕作》より優先する理由になり得ます。もちろんクリーチャーより土地のほうがずっと除去されにくいので、《耕作》が一方的に劣るというわけではありませんが。
ランパン系呪文の中でもとりわけ《収穫期》は横並べした生物にタップ能力を与えるこのデッキに噛み合っており、うまく回れば3マナで土地3枚以上の加速も望めるため採用の余地は大いにあると思います。

土地・クリーチャーが両方タップアウトするのが嫌なので
筆者は入れてないですけどね

妨害

先述した通り、打ち消しや除去、とりわけETBで打ち消しを行える瞬速クリーチャーがこのデッキの肝となります。

他ではなかなか見ないカードも入ります

打ち消し内蔵クリーチャーはそもそもの数が少なく、またコストも重い傾向にある(ここはジェネラルの能力でカバーできます)ため普通の打ち消しや除去も枚数を取ります。

EDHではよく見るカード群。
比較的安価なものでまとめています

これらはジェネラル由来のマナ能力からは唱えられないため、土地や通常のマナクリから出せるマナの管理が必要です。

バウンス

相手に使えば攻撃を防いだり強化をフィズらせたり、自分に使えば除去を避けたりETBを再利用したり。使い方が多岐にわたるのがバウンスです。
本デッキにおいては主に自分に使うことを想定しての採用となります。先述の打ち消しクリーチャーを使い回せれば当然強いですし、戦場に出たときに自分自身を戻すことのできるクリーチャーもいます。これで「あなたが呪文を唱えるたび~」を何度も誘発させる用途もあります。
もちろん状況に応じて相手にも撃ちます。

コンボパーツとしても重要です

アンタップ手段

《インガとエシカ》がいる限り、自軍クリーチャーのアンタップは直接的なマナ加速であり、間接的なドローとも言えます。
シミックカラーには対戦相手のアンタップ・ステップに自分のクリーチャーもアンタップできるカードが何枚かありますので、これらを採用します。

マナ4倍化(ただし瞬速持ちに限る)

瞬速クリーチャーを手札に抱えていないと効果半減なのですが、《予期の力線》と併せて展開できたときの制圧力は目を見張るものがあります。

0ターン目があるデッキです
M20でのお仲間《豊穣の力線》も採用

《みなぎる活力》のような単発アンタップ呪文は不採用です。
《ハイドロイド混成体》やエルドラージといった巨大生物を唱えるランプデッキ寄りの構築にするなら有力な選択肢でしょうが、それは今回のデッキとは別コンセプトになりますね。

音楽性の違いを感じる

トークン生成

ジェネラルがいれば、トークンからでもマナが出ます。
別にトークン戦略を主眼に置いた構築ではありませんが、並べられるならそれに越したことはないのもまた事実。なので単純に高性能な《星界の大蛇、コーマ》だけ採用することにしました。当初は《若葉のドライアド》も居ましたが抜けています。

1周するごとに4体増えます

勝ち手段

  • 《活力を穢すもの》による全体強化

  • 《ラムホルトの勇者》による相手ブロッカー排除

逆に言うと、こいつらが出ていないときはたいてい殴れません
せっかくの警戒付与は持て余しがち

この辺りでライフを削り切るプラン。どちらにしても何度も呪文を唱えてカウンターを稼ぐ必要があるので、時間がかかります。

  • 《船砕きの怪物》or《潮吹きの暴君》+自己バウンス可能なクリーチャーによる盤面掌握

クラゲならば3マナごとにバウンス(+1ドロー)が可能。相手の脅威を排除してもいいですし、自分のクリーチャーのETBを使い回すこともできます。なお、クラゲの代わりにヴェンセールであれば1マナ重いかわり瞬速持ちで取り回しが良く、ドレイクであればドローはできないもののなんと1マナバウンスになります。
これだけでは勝利に至るほどの決定力とは言えませんが、《予期の力線》やアンタップ手段と合わさるとそう簡単には崩されない態勢を築くことができます。

  • 《侵入警報》+《大クラゲ》による無限コンボ

《インガとエシカ》では最メジャーなコンボ

《侵入警報》により、クラゲが出た時点で全クリーチャー(=マナ)がアンタップ。そして自身を戻します。
召喚酔いしていないクリーチャーから3マナ出るなら無限にクラゲを唱え直すことができるので無限ドローが成立。4マナ出せれば無限マナも。あとは《千年霊薬》《跳ね橋》を引いてきて全体速攻付与、そのターン中に殴って勝利まで行くことができます。
クラゲはもちろんヴェンセールでも構いませんし、盤面に《船砕きの怪物》《潮吹きの暴君》《ティムールの剣歯虎》のいずれかが居るならその他の適当なクリーチャーでさえ無限が成立し得る、かなり融通の利くコンボです。
ですが《侵入警報》だけは替えが利きません。大事に扱いましょう。

  • 《金切り声のドレイク》+《潮吹きの暴君》+《千年霊薬》による無限コンボ

《潮吹きの暴君》は普段は《船砕きの怪物》より弱いですが
土地も戻せる点で優っています

ドレイクが戦場に出た際、自ら手札に戻る前に《千年霊薬》《インガとエシカ》の能力によって1マナ出すことができるので、無限キャストが成立します。
場にさらに《潮吹きの暴君》がいるなら、対戦相手の全パーマネントをバウンスすることが可能。即座に勝利条件を満たすわけではありませんが、土地すら全滅した状態になるので全員に投了を促せば大抵受け入れられることでしょう。
なお《潮吹きの暴君》の代わりに《シルバーバックの古老》であれば、ライブラリーの土地を全部出したうえで無限ライフと置物全破壊になります。

普段は置物対策枠として使います

コンボを主要な勝利手段として位置付けたデッキではありますが、勝利までに必要なターン数はたいてい10ターン前後です。理論上は3ターンキルが可能ですが、まあ非現実的にも程があるという確率ですね。
無限コンボ搭載であれば最低でもレベル7である、とする基準があることも承知していますが、レベル5-6の卓であれば適度に勝ったり負けたりする(やや勝率高めかな?)ので、レベル6と自称しています。
EDHのレベル談義は趣旨から外れるのでこの辺で。

サーチ

よく見かけるサーチカードとして《俗世の教示者》《むかしむかし》を採用しています。まあクリーチャー主体ですし入りますよね。他のカードを見ていきましょう。

《激情の共感者》

マナ総量6以上のクリーチャー・カードを手札に加える

たいてい《船砕きの怪物》を持ってくるのですが、状況によっては後述する《森林の怒声吠え》も選択肢に入ります。

《森林の怒声吠え》

マナ総量3以下で伝説でない緑のクリーチャー・カードを
そのまま戦場に出す

サーチ候補は《再利用の賢者》《ラムホルトの勇者》《永遠の証人》《激情の共感者》辺りになります。共感者とは相互にサーチが可能ですね。なお《大クラゲ》は色の制限に引っ掛かるので不可。残念。

《幻の漂い》

マナ総量3のカードを手札に加える

エルドレインの王権で復帰した筆者には馴染みの薄い「変成」なる起動型能力を持つ、実質サーチカードです。こいつ自体はクリーチャー・カードですが、戦場に出ることはまずありません。コンボパーツである《侵入警報》をサーチできる唯一の手段なので狙えそうな状況ならこれが第一候補です。もちろん《森林の怒声吠え》で挙げたカードを持ってきても構いません。
ただ変成は「起動型能力」であるためジェネラルの能力は適用されませんし、《予期の力線》があってもソーサリータイミング限定です。

オシャレ枠

EDHRECではジェネラルごとの採用率上位カードが確認できるわけですが、ここにランクインしていない(執筆時点)ものを何枚か紹介します。
ランク外ということもあり劇的に強いというわけではありませんが、どれも個人的にオススメするカードたちです。

《大樫の守護者》

普通に使えばクリーチャー付き全体強化インスタント

全体強化とアンタップ。
コンバットトリックとしての用途が重視された瞬速持ちです。このデッキの瞬速は何だかんだ偉い。
アンタップ効果により、使用感としてはフリースペルに近いものとなります。(元が重いので大抵は多少マナが減ります)
自分以外のプレイヤーも対象に取れるので、対戦相手同士の攻防に介入することもできます。

《隠れ潜む捕食者》

こんな名前でもエンチャントです

相手の呪文キャストに反応するという誘発タイミングが素晴らしい1枚。《エリマキ神秘家》あたりがめくれると、相手の呪文をそのまま対象にとって出落ちさせられます。
《師範の占い独楽》などトップ操作の類は特に積んでいませんので、純粋にガチャを楽しむ用です。勝ちを目指すなら抜けるカードなのは否定しません。

《心を一つに》

インガ(人間)とエシカ(神)だけで
コスト軽減になりませんか?(なりません)

ジェネラルが人間で、デッキにいる人間以外は37枚です(人間は6枚)。ほぼほぼ1マナ2ドローですね。正直、もっと使われてていいカードだと思います。

《誘惑蒔き》

戦場の最強クリーチャーを奪ったうえ2マナ加速します
(※自身が除去されるまで)

TCGにおけるコントロール奪取といえば、除去と戦力強化の2枚分の働きをする強力な効果、というのはよく言われるところです。
このカードは自身もクリーチャーとして戦場に残るため、自分は都合2体のクリーチャーを得る(=2マナ増える)ことになります。
取り返されるリスクが高いとはいえ、守る手段も多いこのデッキであれば十分に採用を検討できるラインでしょう。

運用上の注意

クリーチャーが並ばないと基本何もできませんし、そのほとんどはタフ1か2で脆弱です。統率者戦に来てまで「鳥は見たら焼け」が通用してしまう系女子、それが《インガとエシカ》。
軽量除去を警戒して展開しなければ普通に負けるだけなので、対処しようのない部分はありますけれど。
幸いと言うべきか、単体で脅威になるパーマネントはあまり入っていないため、序盤~中盤でヘイトを稼がない立ち回りはやりやすい方だと思われます。

また、戦略のほとんどをクリーチャーのETB能力に依存しているため、ETB封じが刺さります。
《倦怠の宝珠》《機械の母、エリシュ・ノーン》《静寂をもたらすもの》など、同効果を持つカードは結構な枚数があり統率者戦でもそれなりの頻度で見かけるため除去対象としての優先度は高くなります。

天敵たち

封じこそしないもののある意味それ以上に厄介な相手もいます。

天敵であると同時に、
このデッキにも普通に入り得ます

そしてもう一つ、重要カードである《船砕きの怪物》に係るスタック処理がかなり繁雑になることにも注意です。
打ち消し合戦をはじめインスタントの撃ち合いになったときを考慮し、《船砕きの怪物》のモードと対象は誘発した時点で明言し、相手の対応があった場合はそのタイミングを確認し……と、丁寧な処理が絶対に必要です。
非公開情報の兼ね合いから、巻き戻しをやると後味の悪いゲームになりかねませんよ! 統率者戦をやる以上、それは避けたいですよね。

おわりに

当初予定していたよりずっと長文になってしまいましたが、ここまで読んでいただきありがとうございました。

なまじビートダウン適性もあるばかりに、EDHRECの《インガとエシカ》のページはランプ・トークン戦略に向いたカードが多く表示されています。
《大クラゲ》すらランキングに入っていない現状、コンボ路線を目指す場合に全面的に信頼できるとは言い難いのは事実でしょう。
こういった、EDHRECのデータからは読み取れない《インガとエシカ》の戦い方を見て、へえ~と思ってくれたなら幸いです。

次回記事については未定ですが、このデッキをレベル7にアップグレードするか、もしくは他の手持ちデッキを再検討するか、というときに書くかもしれません。
こうして記事にまとめることで筆者自身、デッキへの理解度が深まるというのは確実にありますのでね。

それでは、また。

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