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【EDH】海賊をやめた《メアリ・リードとアン・ボニー》

こんにちは、かやぶきです。
統率者の紹介、今回は《メアリ・リードとアン・ボニー》をやっていきます!

いきなりマジックらしからぬ画像が出てきたなオイ

メアリ・リードとアン・ボニーは両者とも18世紀初期「海賊の黄金時代」に活躍した実在の人物で、いわゆる「カリブの海賊」の一員です。
海賊船の多くが女性の乗船を禁じる掟を定めていた中での女海賊は非常に珍しいということで名を知られていますが、別に歴史上重要な役割を果たしたとかではないので学校の教科書には出てきません。
日本では Fate/Grand Order のキャラクターを思い浮かべる人のほうが多そうですね。

MTGにはアサシンクリードの登場人物として収録されており、同期には《レオナルド・ダ・ヴィンチ》《アテナイの教師、ソクラテス》《追放されしファラオ、クレオパトラ》がいます。
うーん他の3人が(知名度的に)強すぎる。

赤髪のほうがアンらしいです(未プレイ勢)

ゲーム上での能力ですが、手札から島か海賊か機体であるカードを捨てたときに宝物を生成できます。ここでいう島は基本土地の《島》以外でも、土地タイプとして島を持っていればOKです。

注:
本記事内では島と《島》を使い分けます。
前者は土地タイプとしての島もしくはそれを持つカードの総称、後者はカード名が「島」「冠雪の島」であるカードのみを指すのでご了承ください。

自前でルーティングできるのでそれを使ってもいいですが、他の手段で捨てても問題なく誘発します。というか、せっかく統率者として使うのであれば一巡する間に宝物最大1個で満足せず積極的に捨てに行きたいところです。

引いて捨てる能力「ルーティング」、その使い手「ルーター」。
いずれも《マーフォークの物あさり》の英語名が語源。

様々な方法でアプローチ可能な「捨てる」という行為をトリガーに、マナ要求や回数制限等も特になく、タップ状態とはいえ宝物を生成できる、と書いてあることはなかなか不穏です。
実際に固有コンボはしっかり存在し、コンボ適性を有する統率者であることは間違いありません。

もちろんコンボ寄りで構築してもまったく問題ないのですが、本記事ではそちらを主眼に置かず、宝物をたくさん集めて勝利する、というコンセプトで組んだ場合をメインに紹介していきます。
コンボについても記事後半で解説しますので、興味のある方はそちらもご覧ください。


基本戦略

先に述べた通り、大量の宝物を作るのが勝利への道筋です。
海賊と機体で盤面を作り、戦況的に不要なものは捨てて宝物に変えていきます。
唱えるか捨てるかを状況に応じて選択していけるので、多少汎用性に欠けても「ハマれば強い」カードを多く採用できる、一風変わった部族デッキといえるでしょう。


……と、言いたいところなのですが。
捨てることを念頭に、強く使える場面でだけ戦場に出すという前提で考えるなら、実は大体の海賊より《島》のほうが強いんですよね。最初から記事タイトルでネタバレしてますけど。

そう考える根拠、およびそれによって導かれる構築方針について、ここから語っていきます。


本当の基本戦略

MTGのゲーム性として、(特に序盤に)土地をセットできずターンを渡してしまった場合、大きなテンポアドバンテージ損失が発生します。
かといって土地が多すぎても、一度に置ける枚数は制限されているうえ呪文の数が土地の分だけ減ってしまうためよろしくありません。
そう、みんな大好きマナスクリュー・マナフラッドのことです。

しかし《メアリ・リードとアン・ボニー》は違います。

ルーティングで要らない手札を入れ替えられ、しかもその「要らない手札」が島ならボーナスまで付くのです。
したがって、「大量の島を採用し、セットしきれない分はどんどん入れ替えていく」という構築が許容されます。マナスクの危険性は極端に下がりますし、十分にルーティング手段があればマナフラも防止できます。

それに対して、海賊(と機体)を積極的に採用しようとする場合。

島を入れるよりマナスクが起きやすいのは当たり前ですが、それを織り込んで構築するのは他のデッキでやっていることと同じなのでよいでしょう。
問題となるのは、メアリとアンは戦場の海賊に対して何の効果も与えない点、そして唱えて戦場に出すことと捨てて宝物に変換することは両立できない点です。

唱える前提なら、クリーチャータイプが海賊であろうとなかろうと変わりません。単純にカードパワーが高かったりシナジーが大きかったりするものを採用したほうがデッキとして強くなります。

そして捨てることと唱えることを両睨みするような場合、どちらを選択するかの判断がきわめて困難になります。

対戦中に「出現頻度の高くない特定の状況に限って刺さるが、その状況を自分で作り出せるわけではないカード(サイクリング付き)」を引いたとして、あなたはそれをいつまで抱えておきますか?

統率者戦において、自分の番から一巡する頃にはまったくの別局面になっていることは日常茶飯事。今は役に立たなくても次の手番では使えるかもしれない。あるいはその次? もしかしたらゲーム終了までずっとダメかも。

これを抱え続けるべきか、捨てるべきか。
手札に腐らせているカードは実質無いも同じ。持っている期間のぶんだけ損をすると考えると、どうせ捨てるなら早いほうがいい。でも本当に捨てていいのかな。

……判断するの、難しくないですか?
しかもそれが、デッキに10枚も20枚も入っているとなったら?
それをやるくらいなら、海賊の代わりに《島》やドローやルーティングを入れて、毎ターン確実に土地を伸ばしつつ手札をガンガン回して、自分の強い動きを叩き付けるんだと割り切ったほうが良くないですか。

というわけで、《メアリ・リードとアン・ボニー》のデッキにおいて海賊・機体であることはあくまで加点要素のひとつという程度の位置付けになります。
他の部族サポート系ジェネラルのそれと比べると遥かに優先度が低いですね。
こう見えて、実はそもそも海賊デッキに向いていない統率者なのです。まあ史実のメアリもアンも船長になれてないしなあ

念のため注:
この統率者で海賊デッキを組むこと自体にまったく問題はありませんし、レベル5以下に留めるならむしろそのほうが良いでしょう。
あくまでそれ以上強化する場合の話です。

勝ち手段は、宝物由来のビッグマナによるX火力、または特殊勝利を採用します。
基本的には宝物を大量に準備する必要があるので危険度が相手から見えやすく、カジュアル卓で使っても理不尽感は抱かれにくいかなと思います。それでもレベルにして6、考え方によっては7になるとは思いますけどね。

さすがに無限マナでもないX呪文でライフ40点を持っていくのは厳しいため、事前にある程度削る意味でも自分のライフを守る意味でも、戦闘に長けたクリーチャーはそれなりに用意します。

採用(候補)カード解説

土地

この統率者のデッキで最も特徴的なのがここでしょう。
島を大量に採用するのは先述した通りで、本記事投稿時点の筆者のリストでは《島》33枚、土地の合計が49枚となっています。

これだけ《島》があれば青マナに困ることはまずありませんが、赤マナの供給が悩みどころになります。
一度統率者が出てしまえば色マナなど宝物から何とでもなるとはいえ、その統率者を唱える赤マナが確保できないのは当然マリガン案件です。

となると、重要になってくるのが島タイプを有する二色土地。序盤の赤マナを供給しつつ中盤以降は宝物に変換できる良いことずくめのカードなのですが、青赤の組み合わせにはバトルランドもサイクリングランドも存在せずラインナップが貧弱です。
あまりに高価すぎる《Volcanic Island》を別にすれば、候補はショックランド《蒸気孔》と諜報ランド《轟音の滝》。ボルカと並べると感覚が麻痺してきますが、これらも十分高額カードです。(それでも欲しいカードではあります)

そこでオススメしたいのが《溶鉄の支流》《移り変わるフィヨルド》。

島タイプを持つ青赤土地はここまでに挙げた5枚しか存在しません(2024年末時点)

確定タップインは確かに小さくないデメリットですが捨てる場合は関係しませんし、序盤からロケットスタートできないと困るタイプのデッキでもありません。デッキの安定に寄与しますので、積極的に採用してよいと思います。

一方の島でない土地ですが、採用しすぎると中盤以降手札でだぶつくとはいえ、ターンに1枚までならセットランドで問題なく処理できます。
よって過剰に絞りすぎることは得策ではなく、特に中盤以降でアンタップインできるものを中心に選択するとよいでしょう。
具体的には、ほぼ確定アンタップインの《統率の塔》《訓練施設》《シヴの浅瀬》《滝の断崖》《蝕む池》、中盤以降アンタップインの《嵐削りの海岸》《硫黄の滝》あたりが優先度の高いところです。


ルーティング

余剰の島をたくさん捨てて宝物ひゃっほいしよう、がこのデッキの趣旨だということはお話ししました。
しかしそのためには、十分な量のルーティング手段が必須となります。島は確かに宝物に変換できるのですが、捨てきれない島はただの死に札なのです。島を増やすなら同時にルーティング手段をより多く仕込む必要が出てきます。
そして一口にルーティングといっても様々に種類がありまして、ここでは大きく3つに分類します。

1.手札の一部を入れ替える

《胸躍る可能性》を代表とする、数枚引く・数枚捨てるがワンセットになったタイプの呪文です。
引くのと捨てるのではどちらが先か、解決後の手札枚数は唱える前と同じか1枚減るか、といった辺りでさらに分類できますが、ここではひとまとめにします。

2.すべての手札を入れ替える

代表と呼ぶには少々マイナーですが、このタイプとしては《トレイリアの風》が挙げられます。
手札の現在枚数を問わず一枚残らず入れ替えてしまうタイプの呪文で、派手なイメージのわりにマナコストは比較的軽い傾向にあります。

3.手札を7枚にリセットする

かの《Wheel of Fortune》を祖とする、全員が現在の手札をすべて捨てて7枚(例外あり)にリセットするタイプです。価格等を考慮すると《災難の輪》《意外な授かり物》あたりが候補でしょう。


さて《メアリ・リードとアン・ボニー》にとって、以上の3パターンのうちどれが適しているでしょうか?

むろん組み方次第ではあるのでしょうが、本記事の路線で組んだ場合の正解は1、一部入れ替えタイプです。

そうなる理由を端的に言えば、「捨てたいカードと捨てたくないカードがはっきりしているから」です。

フィニッシャーたるX呪文は捨てたくないカードの筆頭で、採用枚数を多く取れないうえ先置きすることもできません。ゆえに、準備が整う前に引いた場合はそのまま抱えておく必要があり、この状況下では2.3.の全交換呪文は価値を大幅に減じてしまいます。

さらに全交換呪文のうち2.のタイプはもう一つ使いづらい理由を抱えています。それは、撃った時点での手札枚数が多いほど掘れるカード数も増え、大きな効果を発揮するということ。
メアリとアンが行うのは所詮ルーティングなので自力では枚数を増やすことができません。派手に手札を回す印象に反し、ドローエンジンを引き込んで稼働させるまでの間はハンドが枯渇しがちで、全交換を撃ったところで2,3枚程度しか引けないのです。

以上より、全交換呪文は強く使える場面が限られ過ぎており採用しづらいと結論付けました。3のタイプは1枚くらい仕込んでもいいかもしれませんが。

では本節の最後に、一部入れ替えタイプのルーティング呪文で特に有用なものをいくつか挙げることにします。

《マグマの洞察力》

マナコスト半額の《苦しめる声》です。
捨てるカードが土地に限定されていますが、むしろ望むところですね。

《交易路》

こちらも捨てるカードが土地に限定されている代わりに高性能です。
1マナだけで繰り返し使えるルーティングということで、高速で手札を回すことができます。

《蒐集家の保管庫》

起動コストが微妙に重くタップも必要ですが、こちらも継続的にルーティングできます。
ルーティングはそもそも宝物を作るためにやっているので、追加で確実に1個手に入る点が素晴らしいですね。同じ理由で、ルーティングと同時に宝物生成する《戦利品奪取》《海賊の略奪》《大勝ち》《プリズマリの命令》も価値が高いと言えます。

《答えの要求》

《胸躍る可能性》の上位互換で、手札1枚のかわりにアーティファクト1つを追加コストに充ててもよいようになりました。
元の呪文の時点で結構優秀なのに、宝物を手札に変換する選択肢も取れるようになり柔軟性アップです。捨てたいカードを多く抱えていないときは宝物を使って手札の量を確保すると動きやすいでしょう。

《フォモーリの宝物庫》

やや変則的ですが、1枚捨てて1枚手札に加えているのでルーティングに分類しておきます。
宝物が5個あれば5枚、10個あれば10枚からの濾過ということで期待値はとても高いです。


ドローソース

メアリとアンがいるときのルーティングはマナを増やしますが、手札枚数は増やしません。むしろ減るものが多数あります。
よってドローしていく手段も必要なのですが、デッキに入れる枚数がなかなかの悩みどころです。ルーティングの過程で自然にデッキを掘れるため多少減らしてもいいというところまでは判るのですが、では何枚が適正なのかとなると……。
島とルーティングとドローのバランス、これが本デッキ構築の一番難しいところではないでしょうか。

《忘却の偶像》

トークンデッキ御用達のドローソースです。
最大でも1巡1枚と引けるペースは遅いですが、軽く確実性も高めであり問題なく運用できます。

《常智のリエール》

ターン1回ですが捨てたカードの補填をしてくれます。
相手ターンでも誘発するのがポイントですね。

《テフェリーの永遠の洞察》
《アルハマレットの書庫》

通常ドロー以外のドローを倍化します。手札が増えない代わり低コストに設定されているルーティングですが、これがあればメアリとアンの能力を起動するだけで2枚引いて1枚捨て、手札を1枚増やせることになります。必須カードです。

リエールやこの辺のカードが定着できるとだいたい手札が溢れますが、《聖遺の塔》など手札上限を無視するカードを無理に入れる必要は無いように思います。クリンナップ・ステップに手札を捨てても宝物は作れますし。

《宝船の巡航》
《時を越えた探索》

ルーティングを多用するので、当然墓地が溜まります。どうせなら探査で有効活用してしまいましょう。

《煌めくドラゴン》

宝物2個につき1巡1ドロー。呪禁も持ち、ドロー効率は非常に良いです。
重さ相応のサイズもあり、戦力としても期待できます。


海賊

だいたいの海賊は《島》より優先度が低い。
確かにそう言いましたが、大抵の場合で《島》より強いであろう海賊も居ます。
それが《衝動的なこそ泥》《深海艦隊の剣術屋》。

捨てた後に再演能力により再利用でき、しかもそれがメアリとアンの戦略に噛み合っています。《衝動的なこそ泥》なら4マナで宝物3個生成、《深海艦隊の剣術屋》なら宝物の数ぶんの直接火力でフィニッシャーも担えます。

これ以外の海賊をどの程度採用するかは好みでよいと思いますが、宝物生成を盤面強化に直接変換できる《コズミュームの略奪者、風雲船長》、打ち消し内蔵の《セイレーンの嵐鎮め》、疑似除去内蔵の《帆凧の窃盗犯》あたりが有力でしょうか。


マナ加速

このデッキでは《太陽の指輪》以外のマナファクトは採用しておらず、通常の意味でのマナ加速はほぼ行いません。3ターン目にジェネラルを出してすぐに宝物を作り、以降も継続的に生産できる、となるとあえてデッキの枠を割く必要性が低いためです。ソルリンはほら、シナジーがどうとかも全部ねじ伏せるレベルで強いから……。
ここで言うマナ加速とは、宝物からより多くのマナを出すこと、そして宝物を繰り返し利用することです。

《黄金架のドラゴン》

宝物からマナが2倍出ます。赤ダブルシンボルが土地から出ないケースもありますが、宝物を使って出しても殴ればすぐ回収できるのが良い所です。

《ゾーン》
《無愛想なアナグマザウルス》
《うろつく玉座》

宝物の出る数が2倍になります。黄金架とアプローチは異なりますがこちらもマナ2倍のようなものです。
コンボパーツとしての側面もありますが、単体で見ても十分採用圏内といえるでしょう。

部族デッキではなくなりましたが、統率者の誘発を増やせるだけでも《うろつく玉座》は採用検討できます。指定は海賊・人間のどちらが良いか悩ましい場合も多々ありますね。

《錬金術師の才能》

こちらはレベル2で《黄金架のドラゴン》と同等の加速、レベル3で直接火力を得ます。
レベル3ならばX火力のダメージが実質2倍になりますので、レベル2のマナ倍化も合わせればこれ1枚で火力4倍と称しても過言ではありません。
なんならXドローでも必殺技になり得ます。
それまでに累計11マナをつぎ込む必要があるのでお手軽ではありませんが、得られるものが勝利ならまあこれくらいで適正でしょう。

《ガラゼス・プリズマリ》

ここから先は、宝物を使い捨てではなく継続的に使えるようにするカードです。
ガラゼス学長は用途限定でそれを可能にします。この構築でのインスタント・ソーサリーの採用数は多くなりがちで、宝物消費を恐れずに打ち消し等を構えられるこのカードは有用と言ってよいでしょう。

《最高工匠卿、ウルザ》

ガラゼス学長の上位互換……と言ってしまって良いかと思われます。
強いて言えば、赤マナが出ないところだけ負けているでしょうか。
おまけのように出てくる構築物トークンのサイズも頼もしく、何もかもが強い。

《宝物庫襲撃》

戦闘ダメージを与える機会はそれほど多くないため表面はどうでもよく、本命は裏面になります。変身条件は障害になりません。
裏面《カトラカンの宝物庫》の性能は、かの有名な《トレイリアのアカデミー》とほぼ同等。
アーティファクトの数だけマナが出るということは宝物を消費せずマナを出すのと似たような結果になるためここに分類します。

デッキにはXドローとX火力が入っていますので、《精神力》も投入すればMTG史上最も著名なコンボデッキ「MoMa」を一部再現することも可能です。
6マナ+速攻性のない4マナ+αが必要になる都合上、EDH的には特別強いわけではないですが風情はありますね。


親和・即席全般

親和(アーティファクト)、親和(トークン)、および即席も宝物を戦場に残したままマナとして使える手段です。
採用を検討し得るのは上記の10枚でしょうか。いずれも強力で、取捨選択に悩みます。


捨て札の再利用

《陰謀の理論家》
《隔離用構築物》

捨てたカードを、そのターン中に限り使用できます。
「唱えてもよい」「プレイしてもよい」の差により、どちらか1枚であれば《隔離用構築物》のほうを優先すべきでしょう。土地を捨てる機会が多いですしね。

《両替機》

初期投資1マナで宝物や熊を継続的に供給でき、自分でルーティングを行うことまでできます。

《ドレイクの安息地》

マナは都度必要ですが、カードを捨てるたびにドレイクを生成できます。
ドレイクなので当然飛行を持ち、ブロッカーとしての信頼性は高め。
数が増えればライフを攻めることもでき、盤面を維持するうえでとても都合の良い一枚です。


勝ち手段

《機械化製法》

宝物8個以上で1ターン凌げば勝利です。
勝つために必要な宝物の数は緩いですが、アーティファクト破壊とエンチャント破壊のどちらも効くため妨害はされやすいです。

《ヘルカイトの暴君》

こちらは20個。アーティファクト奪取能力もありますが、デッキ的に速攻付与手段は入りにくいと思うのでロマンの域は出ません。

《弾ける力》
《ヤヤの焼身猛火》

多人数戦で止めに使えるX火力となるとこの辺りが最適でしょう。
《弾ける力》は3人にダメージを飛ばさなければならない関係で原則X=3以上で撃つのですが、そのダメージ量は11マナで15点、14マナで20点、20マナで30点、32マナで50点。
残ライフ量に大きく依存しますが、だいたい20マナあたりから即死圏内になります。


宝物生成

このデッキにおいてルーティングは非常に重要ですが、真に必要なのはルーティングそれ自体でなく、宝物生成することです。
過程がどうであれ、結果的に宝物があって《機械化製法》なりX火力なりが撃てるならそれで問題ないのです。
したがって、効率的に宝物生成できる手段があるならルーティングが関係なくとも入れる価値があります。
統率者が《ドライアドの歌》《ケンリスの変身》等で封じられた場合の対策にもなりますしね。

《悪辣な略奪》
《マグマ用ガレオン船》
《輝光の推進力》

左はカード名より「焼肉鉤虐殺事件」の愛称のほうが有名かもしれません

除去枠を兼ねるのがこの3枚です。採用の可否は、重さをどの程度許容するかによるでしょうか。

《金脈発見》

7マナで10マナ得られる、コスパの高い呪文です。
とはいえ激重ソーサリーで隙を晒し、親和や探査といったハズレ枠があるのでギャンブル性は高いです。


その他

コンボパーツを含め、他にデッキに入りそうなカードを紹介します。

《降り注ぐ富》

宝物シナジーを重視した場合の候補です。とはいえX呪文とか打ち消し呪文はハズレになってしまうので、構築バランス次第では抜いたほうがいいかもしれません。

《撃退》

ピッチカウンターですが、《撃退》自身を含めて手札を3枚も使います。基本的には《意志の力》の下位互換に近いとはいえ、代替コストが追放ではなく捨てる、なのでこのデッキであればデメリットはある程度軽減されます。あと安いです。

《ギラプールの霊気格子》

宝物タップでany target火力を飛ばせます。
盤面に低タフネス生物の存在を否定するのでヘイトは高いです。

《神秘の聖域》

インスタント・ソーサリーを墓地から回収できます。誘発条件はまったく多色ジェネラル向けでないのですが、デッキがデッキなので達成は容易です。
《弾ける力》《ヤヤの焼身猛火》が墓地に落ちてしまった際のリカバリーを念頭に置いているとはいえ、それに固執せず柔軟に運用してよいかなと思います。
これ自身島タイプを持っているので、捨てて宝物にしてしまうことさえ選択肢のひとつです。(さすがに積極的にはやりたくありませんが)

《作り直し》
《ガフが歴史を書き換える》
《不屈の独創力》

《混沌のねじれ》系の、パーマネントをライブラリー内の他呪文に変身させる呪文です。簡単に沸く宝物を他の優良なものに変え、後者2つについては相手の厄介なパーマネントも除去してしまおうというわけですね。かえって状況が悪化することがあるのもこの手の呪文のお約束。

元の《混沌のねじれ》自体も優先度は比較的高めです。
遭遇頻度の高い《息詰まる徴税》がとても苦手なのに、色の都合上エンチャントを割る手段がそれくらいしか無いのです。

《天才速製職人》
《空泳ぎの鯉》
《移植の理論家》

宝物が出ればルーティングが誘発します。ここで島を捨てれば統率者が宝物を出し、またルーティングが誘発し……と連鎖させることができます。
手札に溜まった島を処分でき、あと1枚組み合わせれば無限宝物も達成可能です。

《無謀な炎織り》
《巧妙な砲術家》
《光り角の海賊》

こちらは宝物生成を本体火力に変換します。このデッキでは宝物生成はだいたいルーティングとイコールなので、《光り角の海賊》も扱いとしては同様となります。
コンボの場合のフィニッシュ手段ですね。
《光り角の海賊》は別口で《鋭い目の航海士、マルコム》との2枚コンボも有するため、併せて採用するのも良いでしょう。


コンボ例

ここからは《メアリ・リードとアン・ボニー》の絡むコンボを紹介していきますが、できるのは基本的に無限宝物です。そこから実際に勝利するためには、すぐ上の《無謀な炎織り》系クリーチャーを使うとか、宝物がアンタップしてからX火力を撃つとか、もう一手必要になるので注意です。


右の《レンの書庫》は手札上限がなくなり、カードを墓地ではなくライブラリートップに捨てることができます。したがって、
島をトップに捨てる⇒トップにある島を引く⇒宝物が出る⇒ルーティングが誘発⇒島をトップに捨てる
の無限が成立します。

……と思っていたのですが、トップに捨てる場合は(ライブラリーが非公開の領域のため)カードを公開しないので、それが本当に島であっても「島を捨てる」を満たせなくなってしまうようです。なんてこった。
本記事公開当初にこれをお読みになった方、誤情報を広めてしまい誠に申し訳ございませんでした。 (2024.12.30修正)


《ゾーン》で宝物生成が増えている、《テフェリーの永遠の洞察》でドローが増えている、などのサポートがあれば連鎖を続けられる可能性があります。島と海賊と機体を合わせて50枚投入すれば、期待値的にはライブラリーを全部掘れることになるでしょうか。


宝物生成もルーティングも両方2倍なら、島を絞らない限り大体繋がると思われるので、コンボ型で組む場合《うろつく玉座》は人間指定が安定です。


《金の突撃車》を捨てる⇒宝物が2つ出る⇒ルーティングが2回誘発⇒宝物2つ使って突撃車を回収⇒ルーティングのうち1回で《金の突撃車》を捨てる
これでもライブラリーを掘り切ることができます。
余ったルーティングで適宜島を捨てれば宝物も十分な量が手に入ります。


このデッキの《精力の護符》はメアリとアンと《天才速製職人》等による大量宝物を即時使用できるときが最も輝く瞬間であり、これ自身がパーツとなるコンボは案外ありません。
なので無理に採用する必要はないのかなと感じています。

メアリとアンのコンボは、必要パーツ数が多いかわりにその大半は代替が利くのが特徴といえます。
《ギャンブル》で失敗してもリカバリー可能、という言い方もできますね。


おわりに

非海賊型の《メアリ・リードとアン・ボニー》、いかがだったでしょうか。

いや、自分も最初は海賊軸で組もうと思っていたのです。
ところが実際に動かしてみるとどうにもうまく回らない。原因は何だろう? と追求していったら、海賊要らんと結論付けるほかなかったと。

オラクルには海賊をサポートすると明記されているのに、強化しようと思うとどうしても海賊は抜けていってしまう。
この不思議な感覚と、なぜそうなるのか理解していく過程を共有したくて、今回記事の題材に選んでみました。

今後もこんな感じで、自分が使っている統率者の、カードを一読しただけでは見えてこない部分を語っていきたいですね。
次回何を書くかの目星も付けていない段階なのでいつになるやらという感じではありますが、よろしければまたお付き合いくださいませ。
それではよいお年を!

2024.12.27 かやぶき

2024.12.30 コンボ部分の記述の誤りを修正


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