LPIC Level1 受験体験記と勉強法

LPICの概要

LPIC(エルピック)とは、Linuxの技術者であることを認定する資格である。正式名称は「Linux Professional Institute Certification」で、カナダの非営利団体であるLPI(Linux Professional Institute)が運営している。LPICには、レベル1からレベル3まで存在しており、レベル1がもっとも初級の資格である。全てのレベルにおいて、合格後5年間有効である。LPICレベル1は101試験と102試験の2つの試験によって構成されており、両試験に合格することがLPICレベル1の合格を意味する。101試験/102試験ともに90分60問であり、正確なボーダーは不明だが65%であると言われている。つまり、60問中40問程度正解すれば合格できる可能性が高い。レベル1の合格率は60%程度であり比較的易しい試験と言える。本記事では私のLPIC受験体験記と勉強法を紹介していきたい。(具体的な申込方法等は割愛するので別記事をご参照願いたい)

最短で受かる勉強法(結論)

最短で合格するための勉強法はスピードマスター問題集(今後はスピマスと略す)に掲載されている問題と解答を丸暗記することである。なぜなら掲載されている問題が「そのまま」8割程度出題されるためである。また満点を目指したい場合はメルカリで過去問を入手して解くと良い(スピマスだけでも的中率は高いがメルカリ過去問のみに掲載されている問題も本試に2割程度出題されている印象がある。またメルカリ過去問は英語の原文を無理やり翻訳したような不自然な日本語であるが、実際の本試験も同じような謎日本語であるため、不自然な日本語に慣れておく必要がある)。ITEXAMSやCertLibrary、JPN試験などのサイトには実際の過去問と思われる問題が掲載されているが、それらのサイトを複数検討して問題をまとめたメルカリ教材が2000円程度で売られているため、そちらを購入すると良い。実際に私はスピマスとメルカリ過去問を丸暗記して試験に臨んだが、全ての問題が暗記した問題しか出なかった。(正直Linuxのことを1ミリも理解していなくともスピマスと過去問の丸暗記だけでほとんど満点を取れてしまうのも資格としては意味がないとも思うが、受験者側としては簡単に受かるコスパのいい資格とも言える)


実際に購入したメルカリ過去問(最新版を試験直前に購入するのが良い)

勉強時間とスコア

101試験は57時間(22日間)の勉強ののちに2024/11/25に受験して合格した。また102試験は18時間(5日間)の勉強ののちに2024/11/29に受験して合格した。それぞれの試験の体験記や勉強法については後述する。101試験のスコアは750/800(60問中57問正解)、102試験のスコアは780/800(60問中59問正解)であった。ちなみに受験前の私は完全IT初心者であるためコマンドを打ったどころかLinuxとは何かも知らない状態であった。

101試験のスコア


102試験のスコア

勉強体験記

101試験

101試験は以下の①~④の順番に勉強し最後の方はスピマスとメルカリ過去問を問題ごと暗記した。それぞれの勉強時間はカッコ内に記載してある。
① Udemyのオンライン講座動画の視聴(11.15時間/5日)
② ping-tで問題演習(740問を2周/33.4時間/11日)
③ スピマスで問題演習(255問を3周/9.4時間/4日)
④ メルカリ過去問で問題演習 (160問を3周/3.2時間/2日)
Udemyとping-tのリンクを以下に貼っておく。

まずはLPIC101試験の全体像を把握しようと思い上述のUdemy講座を購入して全動画を視聴し、講義資料内容を暗記した。非常にわかりやすい講義ではあったが、LPIC101試験はコマンド暗記ゲーであるため講義でわざわざ学ぶ必要も少ないと感じた。またその後の問題演習により講義内容の網羅性の低さと試験問題との被りが少ないという問題に気づいた。その後ping-tで問題演習を行なった。以前CCNAを受けた際にping-tの解説が充実していたことを知り、解説ごと問題を記憶することで理解と暗記が深まると考えたためだ。実際に画像にある最強WEB問題集740問を2周し掲載問題をスラスラ解けるようになり、101試験の基本をおさえることができた。その状態でスピマスの問題演習に移行した。事前の調査によりスピマスの問題が試験にそのまま出るという検索結果が出たためである。まず自分の実力を確かめるべくスピマスに掲載されている模試を解いたところ60問中40問正解でボーダー付近の点数であった。よくping-tだけを極めて合格したという体験記があるが、ping-tの問題は簡単なため、本試験の問題とはレベルが乖離しているという問題がある。その後スピマスに掲載されている問題を周回し、解説を読み込もうとしたものの解説が理解できない。ping-tの解説と異なり、ある程度Linuxを実際にいじった経験がないと理解できない解説であったため、諦めてただ問題と解答を暗記するようにした。スピマスの問題を大体暗記し切った後にメルカリ過去問を暗記した。その状態で本試験を受けたところスピマス及びメルカリ過去問に掲載されていた問題がそのまま出題された。問題文も選択肢も選択肢の記号までほとんど一致していた。そのため、余裕で合格することができた。

ping-tの問題選択画面(最強WEB問題集をやるとよい)


102試験

最初は101試験と同様Udemy講義を一通り受けたが、スピマスとメルカリ過去問を暗記さえすれば点数が取れるという事実を知ってしまったために、まともに勉強する気力が完全に失せた。そのため、102試験をLinuxの勉強を全くせずにスピマス及びメルカリ過去問の問題と解答をただ暗記するという作業だけをひたすら回して短期間で受かりに行くというゲームだと捉えるようにした。4日間でスピマスとメルカリ過去問をそれぞれ8周回して試験に臨んだ結果、予想通りほとんど満点を取れた。Linux自体をまともに勉強せずに合格できることが実証された

感想

私はIT初学者であり10/31にCCNA試験に「ギリギリ合格」してから約1ヶ月でLPICレベル1の取得に成功できたが、LPICレベル1は人生で受けた試験の中で一番簡単だったかもしれない。なぜなら本試験がスピマスとメルカリ過去問と同じ問題しか出ないからだ。だが試験問題自体の難易度は高く本当にちゃんと理解しようとしたらかなり難しいのではないかと感じた。またping-tとスピマスとの難易度差が大きく、スピマスの問題や解説をちゃんと理解できるような教材や勉強法があればいいなと感じた。CCNAの時と同様初級資格の勉強を通じて学ぶ分野の基礎を固めて勉強の方向性を決めやすくするために受けてみたのだが、試験に受かるための勉強と実際のLPICレベル1の内容習熟及びLinuxの実践の間には相当な溝があると感じた。今後は試験抜きでほげほげテクノロジーに掲載されている硬派な勉強ルートで手を動かしながらLinuxを学んでいこうと思った。Linuxは英語の勉強に近い部分があり、覚えたことを使っていくことで身体に染み込ませるという訓練が必要不可欠であると悟った。その能力は4択からただ正解を選ぶだけの本試験では身につけることはできない。そのため、この試験自体は試験だと割り切って上述の問題丸暗記作戦でサクッと受かって、その後本質的な勉強に時間を注ぐべきであるという結論を得た。実際、スピマスとメルカリ過去問の問題解答丸暗記だけで101試験/102試験合わせて最短1週間くらいで余裕合格できるだろうし、その作業だけで5年間有効な資格が手に入るというのは非常においしい。しかし、資格を手に入れたのちに腰を据えてLinuxと向き合うことではじめてLPICレベル1を受けた本当の意味がでてくるのかもしれない。


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