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続カミカクシ

地元の人にお話を聞いたその日の夜。お酒が入っている事もあり、用意して頂いた寝床のある2階にあがり布団の上にごろんと横になるとすぐに眠ってしまった。

・・・・・・・・ん・・・

どれぐらいの時間が経っていたのか。私は何かの物音で目が覚めた。うっすらと目を開けると窓の外はうす明るい。手元に置いてあった携帯に手を伸ばすと午前5時前だった。

何の音だろ・・・こんな朝早い時間に・・・

かぽん かぽん かぽん かぽん かぽん

木製のお椀を逆さにして地面に当てているような、それでいて大きな水滴が水面に落ちる

ちゃぽん ちゃぼん

と言うような音にも聞こえる。どちらにしても聞いたことが無いような奇妙な音だった。その音が周回するように家の前の庭をぐるぐると歩いて回っている感じだった。まるで馬が歩いているような歩調で。

私は耳を澄ましてジッとその音が何なのかを探っていた。私がいる二階にまではっきりと聞こえるぐらい音はそれなりに大きい。そしてその音は確かに馬が硬い地面の上を歩いているような感じにも聞こえてきた。しかし、そんな馬が歩けるようなスペースもないし確かこの島に馬などの大型な動物はいないはず。この家の持ち主である地元の人かな?と思ったがそれにしてはずっと単調に何かを鳴らしながらこんな早朝に歩いているのもおかしい。何よりこんな奇妙な音、今まで私は聞いたことがない。

!?

その時なぜか突如今まで感じたことのない爆発的な欲求が不自然なぐらい内面から急に込み上げてきた

今すぐあの音のするところに行ってみたい

と。私はいてもたってもいられなくなった。早く布団から出ていますぐ靴も履かずに家を出て見にいきたいと。

しかし

その突如過ぎる不自然な欲望の込み上げ方に恐怖を覚えた。

おそらくこれは罠だ・・・

私は内側から込み上げるものをグッと抑えて頭から布団をかぶった。そして目をギュッと閉じてその音の事を考えないようにした。

おそらくそこに行ってしまってはまずい。直感で見に行ってしまえばここに帰って来れない気がした。そして、これがカミカクシの要因の一つなのかもと。

気がつくと、いつの間にか眠っていたのか朝の9時になっていた・・・

地元の方になんとなく朝方どこかに出かけられてました?

と聞くと

3時ぐらいから釣りに出てて8時ぐらいに帰ってきましたよ

と返答が来た。

では、あの朝方の音は何だったのか?

私はなぜだか触れてはいけないような物事のような気がして.その話を地元の方にする事なくその島を後にした・・・

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