電脳世界に住む夢(2022/5/7)
近未来、地球は荒廃していた。
電脳が主流の世界になっており、人類はほとんどの時間を電脳世界で過ごすことが普通になっていた。いろんな電脳世界を作る作家というものがいて、皆がそれぞれ好きな作家の世界を選び、大半の時間をそこで過ごしていた。
その頃は中村圭一という人気電脳作家の新作の電脳世界が流行っており、みんなそこに住んでいた。
私も例にもれずその世界に住んでおり、新宿のビル街のようなネオンが光るきらきらピコピコ系の世界がお気に入りだった。
ある日普通にそこで生活していると、急に電脳世界がショートし、現実世界に投げ出された。地面に叩きつけられたので身体が痛い、周りを見渡すと今は夜のようで、あちこちでボヤが起きていた。真っ暗な中にぼんやりと赤い火の手があちこちから上がっている。
周りの人々も急に現実世界に引き戻されたので何が何だかわからずぼーっとしているが、とにかく消化しなければならない。
そばに寝ていた医者を叩き起こして「ほら!火事!消火して!!」と促す。
起きた別の人がそばにあった温泉からお湯を汲んで渡してくれたから、それを方々にパスしてバケツリレーで消化した。