失恋墓地

クリスマスの夜、僕は妹の眠る墓地、通称失恋墓地にいた。
叶わぬ恋心を抱いたまま、永遠の眠りについた彼女のもとに、今宵歌が届けられるという。

He's got a ticket to ride
And he don't care

最初に聴こえてきたのは『涙の乗車券』
賛美歌じゃないのか？

好きだよと言えずに初恋は
ふりこ細工の心

次は『初恋』だ。
そうか、二曲とも失恋ソングでリードボーカルは故人。
失恋した妹に相応しい曲を歌い、天国に迎え入れてくれるという事か。

ポッカリあいた胸の奥に
つめこむメシを食べさせる
そんな失恋レストラン
いろんな人がやってくる

三曲目はおかしい。まだ存命なはず。
いや、確かク〇リで六回パクられている。
"天国に行った気分になった人”だからか？
でも、不思議と涙が出てきた。
きっと彼女も今頃は、天国の失恋レストランで七面鳥でも食べているだろう。
「ホワイトクリスマスか……」
夜空から真っ白な雪と、真っ白な粉が舞い落ちてきた。

(410文字)

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