見出し画像

唐 王右丞 竹里館

竹里弾琴図

中国の唐の時代に王維という人がいた。
十代で都の試験で首席となり、二十一才で進士に及第したという。生きた時代が安禄山の乱の真っただ中であったので紆余曲折はいろいろあったが、最終的に尚書右丞というから今でいう官房長官のような役職に就いたという。

役人として成功をおさめた(大成功と言わないのは、王維の弟は宰相に成っている)が、それ以上にこの王維の文化面での活躍は素晴らしいものがある。
詩人としては、李白・杜甫と同じ時代を生き、この二人につぐ詩人として評価が高い。
音楽にも詳しく、絵を見ただけでどの曲のどの部分の演奏を描いたのかを当てたという伝説が残っている。書道にも秀でており、そして絵画では山水画の始祖と目されているほどである。

これだけ才能に溢れる人であったから、王族や顕貴の家から招かれることも多かったが、生活は質素であった(食不葷衣不文綵)と伝えられている。

王右丞 竹里館
獨坐幽篁裏   ひとり、ひっそりとした竹林の中に座って
彈琴復長嘯   琴を弾いて歌を歌っている。
深林人不知   こんなところには誰も知らない。
明月來相照   ただ月だけが来て、私を照らしてくれる。

参考
* 王維    都留春雄  中国詩人選集(岩波書店)
* 王維詩集  小川・都留・入谷(岩波文庫)
* 中国の詩人 小川環樹  (大修館書店)
* 竹里弾琴図は、Stable Diffusion にて作成したものに署名落款を入れた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?