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アルセロールミッタル、ポーランド・クラクフに水素製造プラント

欧州の製鉄グループ、アルセロールミッタルのポーランドの事業会社アルセロールミッタル・ポーランドは、同国クラクフの拠点に、水素プラントを開発すると発表した。

https://poland.arcelormittal.com/en/media/news-1?tx_news_pi1[action]=detail&tx_news_pi1[controller]=News&tx_news_pi1[news]=1324&cHash=6c4dce324429dab462537789a5b95baa

 同社はリンデ・ガス・ポーランドと協力して、クラクフに水素製造プラントを建設。2つの亜鉛メッキ工場にプロセスガスを供給する。早ければ2026年中にも水素の供給を開始する。

 リリースによると、アルセロールミッタル・ポーランドのクラクフ拠点は、2018年以来石炭を使用していないという。同拠点の設備である熱間圧延機と冷間圧延機、亜鉛メッキおよび板金塗装ラインは現在、天然ガスのみで稼働している。さらに水素炉をを建設し、焼鈍工場のアンモニアを排除した。
 今回、リンデとのプロジェクトにより、亜鉛メッキ工場への水素の安定した供給を確保する。水素プラントは亜鉛メッキ工場の近くに建設され、天然ガスから水素を生成するという。
 これによりプロセスからアンモニアを完全に排除し、工場のプロセス安全性のレベルを向上させるという別の環境効果も得ることになる。

 水素製鉄はまだ検討段階である。クラクフ拠点には、高炉はなさそうなので、水素製鉄が出来ようとしているわけではないが、鉄鋼製品の製造工程の脱炭素化を進めていることは評価される。

 高炉製鉄を水素化することは殆ど不可能に近い。日本での研究開発でも高炉のコークスを水素転換できるのは20%程度が最大とされている。
 一方、直接還元鉄(DR)であれば水素DR技術は既に完成している。水素DR-電炉の組み合わせで水素製鉄は可能となるが、現状のような多品種少量の鉄鋼製品を需要に合わせて製造出来るかどうかは、未知数だ。
 ダウンストリームの転換可能な部分から脱炭素化を進めていく、というのも一つの方向性かもしれない。

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