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海外CCS(CO2回収・貯留)プロジェクトで日本企業が次々参加

発電所やコンビナートなどから排出される高濃度CO2を回収し、枯渇油田などに貯留するCCSは、脱炭素の重要な手段の一つとされています。
 そもそも日本ではCCSに適した地質構造が不足しているのに対して、CO2発生量は大きい。そのため回収したCO2を海外に輸送して貯留するというプロジェクトが活発化しています。またCCS設備への日本の関与も増えてきました。
 日本企業による直近の案件3つを紹介します。

●横河電機、アラミスCCSプロジェクトで、制御・通信・SIのFEED業務を受注

 横河電機株式会社の子会社であるヨコガワヨーロッパは、北西欧州最大の二酸化炭素回収・貯留(CCS:Carbon Dioxide Capture and Storage)プロジェクトであるAramis Transport System(アラミス輸送システム:Aramis)の制御、通信、全体的なシステムインテグレーションに関する基本設計 (FEED:Front End Engineering Design)を受注した。
 複数の大手エネルギー企業が協力するAramisプロジェクトは、CO2(二酸化炭素)輸送を提供して、貯蔵容量を拡大可能にすることで、削減が困難な業界の CO2 排出量の削減に貢献することを目指す。CO2は北海の枯渇した海底ガス田に貯留される。
 ヨコガワヨーロッパは、YOKOGAWAグループ会社KBCおよびフランスのエンジニアリング会社Ekiumと共同で、Aramisプロジェクトの中央管理室、CO2パイプラインと、CO2配分用海上プラットフォームを対象とする統合制御安全システム、通信、およびシステムインテグレーションのFEED調査を実施する。CO2輸送システムはさまざまな産業の企業から回収したCO2を各圧入プラットフォームや枯渇したガス田に輸送するために必要な大規模インフラを提供するもので、FEEDの設計は2024年に完成する予定。
 Aramisプロジェクトでは、立ち上げ段階において年間で約500万トンのCO2を輸送・貯蔵し、2030年以降の段階的な拡張により最終的な容量を年間で2,200万トンとする。
 同プロジェクトはロッテルダム港に位置しているため、さまざまな産業クラスターにCO2輸送・貯蔵サービスを提供することが可能。また、CO2輸送・貯蔵プロジェクトであるPorthosや液体CO2のオープンアクセス貯蔵ターミナルであるCO2nextなど、ロッテルダム港の他のCCSプロジェクトとも連携していく。
https://www.yokogawa.co.jp/news/briefs/2024/2024-10-30-ja/

●三井物産、テキサスでCCS鉱区リース契約
 三井物産は、米国テキサス州南部コーパスクリスティ沖にてCO2の回収・貯留(Carbon Capture and Storage:CCS)の事業化検討を進める。現地子会社を通じて、スペインのエネルギー大手Repsol(レプソル)及び米国のCCS開発事業者Carbonvert Inc.(カーボンバート)と共に、地下貯留用鉱区のリース契約をテキサス州土地管理局(Texas General Land Office、:GLO)と締結した。今後、貯留の評価作業やCO2回収元となる企業との協議を進める。
 三井物産は、100%子会社のMEP Low Carbon Solutions :MEPLCS)を通じて、Repsol、Carbonvert夫々の子会社と、米国に合弁会社を設立。持分比率は、Repsol 45%、Carbonvert 45%、MEPLCS 10%。
 GLOはコーパスクリスティ港に隣接するPort Aransas North及びMustang Islandの地下貯留用鉱区リースの入札を実施し、上記合弁会社は2023年8月に同地域で唯一の落札者となった。両鉱区は、14万エーカー(約570km2)以上の面積を誇り、有望な地質構造から、合計6億トン以上のCO2を貯留できると予想されている。
 同事業は、CO2貯留サイトから100マイル(約160km)以内に年間3500万トン以上の既存CO2排出量があり、加えて、2035年までに年間2000万トン以上の新規排出量が予想される産業集積地の近くにも位置する。このような地理的優位性を活かした、世界的に競争力のあるCCS事業の創出を目指す。
https://www.mitsui.com/jp/ja/topics/2024/1250184_14382.html

●アラスカCCSプロジェクトで住友商事、K-Lineなどが実現可能性調査
 ヒルコープ・アラスカ、住友商事、川崎汽船株式会社(K-Line)は、アラスカで炭素回収・貯留(CCS)の実現可能性調査を行うことに合意した。3社は、日本でCO2を集め、大型液化CO2船でアラスカに輸送し、貯留するCCSバリューチェーン構築の実現可能性を調査する。
 アラスカ州政府は、このプロジェクトの総貯蔵容量が50ギガトンになると予想。これは日本の50年間のCO2排出量に相当する。
 K-Line社によると、アラスカは石油・ガス開発を通じて蓄積されたデータをCO2貯留に活用できるだけでなく、LNGターミナル、港、パイプラインなどのインフラも整っているため、CCSプロジェクトの有望な拠点として認識されている。
 共同研究協定は、米国と日本の政府間のCCS作業部会の一環として10月11日に調印された。両国はアラスカでのCCSの実現可能性を研究している。
URL:https://www.ogj.com/energy-transition/article/55236354/hilcrop-sumitomo-k-line-to-study-alaska-ccs-project


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