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PROCESS Worldwide 24年12月の世界トップ10プロジェクトにカタールのブルーアンモニアプラントなど選定
PROCESS Worldwide誌は、毎月恒例の世界トップ10プロジェクトを選定した。2024年12月のプロジェクトではカタールのブルーアンモニアプロジェクトなどが選定された。
(写真は英国のNet Zero Teesside Powerプロジェクトのイメージ)
https://www.process-worldwide.com/top-10-engineering-projects-of-december-2024-a-4853716dd69520d0cfd0e73be30d4a70/
①カタール・エナジー、12億ドル規模のブルーアンモニア工場を着工
カタール・エナジーはメサイード工業都市でブルーアンモニア工場の定礎式を行った。同施設は、年間120万トンの生産能力を持つアンモニア製造ユニットと、年間150万トンの能力を持つCO2注入・貯蔵用の追加ユニットで構成される世界最大規模のブルーアンモニア工場。現在メサイード工業都市に建設中の太陽光発電所から35メガワット以上の電力をこの新工場に供給し、ブルーアンモニアを生成する。
②ノルウェーのセメント工場で世界初の本格的な炭素回収施設が完成
ノルウェーのハイデルベルグマテリアルズブレビック工場というセメント工場で世界初の本格的な炭素回収施設が完成した。炭素回収プラントは、セメント工場から年間 40 万トンのCO2を回収する。試運転段階に移行し、2025 年までに稼働する予定。
③Nextchem が硝酸プラントのライセンスおよびプロセス設計パッケージを獲得
Nextchem社が、窒素肥料技術ライセンサーである子会社のStamicarbon社を通じて、メキシコのベラクルス州ミナティトランにあるSoluciones Químicas社の硝酸工場に設置される三次削減ユニットのライセンスとプロセス設計パッケージ (PDP) を取得した。同技術は排ガス流から亜酸化窒素 (N2O) を除去する。
④Topsoe Technology、スペインのe-メタノールプロジェクトに選定
Topsoeは、スペインのガリシア州にあるTriskelionプロジェクトの技術プロバイダーおよびエンジニアリングパートナーに選定された。Topsoeは、トリスケリオン社にe-メタノール反応器と触媒技術、およびエンジニアリングサポートを提供する。プラントは年間4万トンのe-メタノールを生産し、約5万6,000トンのCO2を回収して使用する。
⑤米Fluor、ハイデルベルグマテリアルズのゲゼロプロジェクトのFEED契約を獲得
Fluorは、ドイツのゲゼケにあるセメント生産施設に産業規模の炭素回収・貯留ソリューションを統合する Gezero プロジェクトについて、Heidelberg MaterialsとFEED(基本設計)契約を結んだ。Fluor は、Geseke セメント生産施設における複数の脱炭素化技術の設計統合を担当。建設は 2026 年に開始され、3 年後に稼働を開始する予定。プロジェクトは、最先端の酸素燃焼技術を用いて、年間70万トンのCO₂を回収することを目指す。
⑥クラリアント、四川省鹿田花硝酸工場の排出量を削減
クラリアントは、Envicat N2O-S亜酸化窒素除去触媒を四川省鹿田花硝酸工場に供給。正常に立ち上がっている。これにより年間排出量をCO2換算で275キロトン削減すると見られている。同工場はこれまで、N2O除去システムを導入せずに稼働していた。硝酸は肥料の製造に不可欠だが、その製造ではCO2の約300倍の温室効果を持つN2Oが排出される。さらに問題なのは、硝酸製造業者の半数以上が排ガスから N2O を除去していないこと。世界中で毎年 6,600 万トンの硝酸が製造されていることから、N2O 排出量は年間約1億トンのCO2に相当する。Envicat N2O触媒を導入すると、生産排出物から N2O およびその他の窒素酸化物をほぼ完全に除去できる。
⑦スルザーの技術が世界最大のポリ乳酸生産施設に採用
エミレーツ バイオテックは、アラブ首長国連邦に建設予定のポリ乳酸 (PLA) 生産工場にスルザーの技術を採用した。同施設は2期に分けて建設され、生産能力は各年間8万トン。合計16万トンとなり世界最大のPLA生産施設となる。2025年に建設が開始され、2028年初頭までに工場が稼働する予定。
⑧テクニップ・エナジーズとGEバーノバがネットゼロ・ティーサイド発電プロジェクトの大型契約を獲得
GE Vernovaおよび建設パートナーのBalfour BeattyとのコンソーシアムのリーダーであるTechnip Energiesは、英国のNet Zero Teesside Power (NZT Power)プロジェクトの主要契約を獲得した。Shell Catalysts & Technologiesのサポートの元に受注したもの。陸上発電、回収、圧縮契約のEPCパッケージを提供する。同プロジェクトでは英国政府は最近、エネルギー、産業、水素製造からの炭素排出を回収して貯蔵するプロジェクトに217億ポンドを拠出する。受注額は10億ユーロ以上となる。
⑨エア・リキード、NH3から低炭素の再生可能水素を製造するプロジェクトを開発へ
エア・リキードは、ベルギーのアントワープ・ブルージュ港でアンモニア由来の低炭素で再生可能な水素を生産、供給することを目指すEnhanceプロジェクトに対し、欧州イノベーション基金から1億1000万ユーロの助成金を獲得した。大規模な再生可能なアンモニア分解プラントと革新的な水素液化装置を建設、所有、運営する。同プロジェクトは、アンモニアを原料として低炭素で再生可能な水素を生産、供給する欧州初の産業規模のプロジェクト。
⑩Hydrom、オマーンでのグリーンH2プロジェクト開発でThyssenkrupp Nuceraと提携
Hydrogen Oman (Hydrom)と Thyssenkrupp Nuceraは、オマーンにおけるグリーン水素部門の支援で協力する覚書 (MOU) に署名した。Hydrom は大規模なグリーン水素生産のために 2,300 平方キロメートルを超える土地を割り当てている。また規制枠組みの合理化、インフラ計画の強化、人材開発とセクターのニーズの整合を図る取り組みも推進している。Thyssenkrupp Nuceraは膜式水電解設備を供給すると見られる。