欧州でバイオSAFとバイオLNG技術開発へ
脱炭素化のソリューションの一つとして、バイオマス資源からの燃料製造があげられる。日本でもバイオガスへの取り組みは以前からあるものの、大きな規模にはなっていない。藻類からの燃料生産技術開発でユーグレナなどの事例はあるが、国内では実証で終わっており、現在マレーシアでの商用化が進められている。
欧州では廃棄物は基本的に埋め立て処分が行われてきたが、最近ではその資源化への取り組みが進んできた。欧州の場合は、単なる技術開発だけでなく、その世界展開までを視野に入れていく。日本は技術開発の面では決して遅れをとってはいないが、商業化への規模感が欧州に比べると、見劣りする感は否めない。
●Shellがバイオ燃料技術開発で世界展開へ
石油メジャーの一つであるShell子会社のShell Catalysts & Technologiesは、Licella(リセラ)とともに、バイオマス原料を先進バイオ燃料に変換する統合ソリューションを開発する、新たなアップグレード技術でコラボレーションする。
提携では、Shell Catalysts & Technologiesの水素化処理技術と、バイオマスを低炭素バイオ原油に変換する高度な水熱液化 (HTL) であるリセラの Cat-HTR™ (触媒水熱反応器) 技術を組み合わせる。
シェルの技術により、バイオ原油は精製された低炭素燃料にアップグレードされる。契約の一環として、開発が成功すれば、Shell Catalysts & Technologiesは、リセラが所有および運営するユニットで生産されるバイオ原油の独占的な世界的アップグレード業者となる。
この技術は、主にバイオマス原料から持続可能な航空燃料 (SAF) を製造することを目的としている。SAFは航空業界からの需要が拡大しているものの、SAF製造設備の構築は途上となっている。
SAFの原料としては、廃食油や各種バイオマスなど、幅広いものがあるが、それらを収集し、改質して航空機に適用される燃料をできるだけ低コストで大量に製造できる技術が求められる。
今回の件では「低炭素バイオマス」が何なのか、具体的な記述が見られないが、「持続可能な低炭素燃料の商業規模での経済的な生産を促進することを目指す」としている。
https://www.hydrocarbonprocessing.com/news/2024/11/shell-catalysts-technologies-licella-to-develop-global-low-carbon-biomass-to-biofuel-commercial-solutions/
●バルチラ、バイオLNGに技術提供
スウェーデンのバルチラは、北欧のエネルギー企業であるGasumが進める新バイオLNGプラントプロジェクト向けに、バイオガスアップグレードおよび液化ソリューションを供給する。
新バイオLNGプラントは、農業廃棄物や家庭の有機廃棄物から高品質のバイオLNGを生産する。稼働を開始すると、日産25トンのバイオLNGを生産する。
廃棄物の発酵にとりバイオガスを発生させ、それを生成したバイオメタンを液化するというもの。
スウェーデンで2番目となる大規模なグリーンフィールドバイオガスプラント投資プロジェクトとなる。
バルチラは、バイオガスのアップグレードおよび液化システムと、200m3の貯蔵タンクと輸出および充填ステーションを建設する。また将来のシステム拡張の準備と2番目の液化ユニットの設置も考慮される。
新工場は2026年初めに商業生産を開始する予定だ。
http://www.gasprocessingnews.com/news/2024/11/gasum-selects-waertsilae-for-another-bio-lng-project-in-sweden/