CCUSプロジェクトのCO2仕様ガイドラインが策定
10月にイギリスのエンジニアリング会社であるWood(ウッド)が主導する共同業界パートナーシップ (JIP) グループは、CO2回収・利用・貯留(CCUS)プロジェクトを加速するためのCO2の仕様に関する業界ガイドライン作業を完了したと発表した。
策定されたガイドラインは、CCUSバリュー・チェーン全体にわたるCO2の不純物の影響に焦点を当てたもの。安全性、環境、技術、運用の要件を満たすCO2調整基準を作成することで、CCUS業界のペースと成長を加速することを目指している。
ガイドラインを作成する際に採用されたアプローチの一例として、経済作業パッケージがある。この作業パッケージでは、さまざまな回収および不純物除去技術の CO2削減の均等化コスト (LCOA) を計算するためのガイダンスが提供され、CCUSプロジェクトのLCOAに影響を与える可能性のあるいくつかの要因が特定されている。
経済パッケージでは、脱水、酸素除去、極低温蒸留、排ガス脱硫、選択接触還元、硫化水素除去、水銀除去など、主要な不純物除去技術のいくつかについて、桁違いのコストとLCOA データも提供している。不純物除去のコストと、不純物を許容するCCUSシステムの設計コストとのトレードオフについても説明している。
このJIPにはウッドのほか、サウジアラムコやエクイノール、フラクシス、ガスコ、ハーバー エナジー、三菱重工業、ネット ゼロ テクノロジー センター、OMV、ペトロナス、シェル、トータルエナジーといった世界的なエネルギー関連企業が参加。またヘリオット ワット大学、テュフズード国立工学研究所 (NEL) などの研究機関も参加しており、ここで策定されたガイドラインは、世界的に適用される可能性が高い。
CO2回収・地下貯留(CCS)や回収CO2の利用も含めたCCUSなどのプロジェクトは現在、個別に展開されており、共通した仕様は存在していない。
輸送・貯留するものが100%CO2であれば特に問題はないが、回収CO2には不純物が入ってくる。それは回収技術や回収場所などによって異なってくるため、CCUSプロジェクトでは個別に対応しなければならない。
今回のCO2仕様ガイドラインは、CCUSプロジェクトにとって設計の基盤となりうる。機器や配管なども共通した仕様の下に設計・製作できるため、個別プロジェクト毎の単品製作よりも、低コスト化に繋げていくことが出来る。多くの影響力を持つ企業がこの仕様を適用していくことで、事実上の業界標準となりそうだ。
これも「エナジー・トランジション・アフォーダビリティ」に繋がる動きと言える。
おそらく今後はISO化されていく事になるだろう。