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【これは嫌】ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人【ネタバレ】

マリー・アントワネット周辺のフランスが好きです。
坂本眞一先生の「イノサン」「イノサンRouge」が教科書なのですが、キャラクター造形が美しく、史実とフィクションのバランスが素晴らしいです。


そうなると映像化されているフランス革命前後も観てみたい、となり「ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人」もけっこう楽しみにしていました。

映画全体でみると別に悪くないのですが、
やっぱりどうしてもデュ・バリー夫人がコレジャナイ!

別の作品と比較することはナンセンスだとしてもです、私の中のデュ・バリー夫人は坂本先生のこちら。

綺麗系で豊満な身体の色白美女。色香が溢れ出ている感じ。
肖像画でもデュ・バリーはブロンドヘアのむっちり色白。

わりとタヌキ顔


「ジャンヌ・デュ・バリー」のデュ・バリー夫人は、とにかくおばさんです。

25歳の設定のはず・・・

監督兼主演のマイウェン、撮影当時45、6歳?
痩せすぎです。肌もやたら健康的な日焼け具合で、出っ歯なので口元に品がない…横顔が野暮ったいのですこの人は。
マイウェンが不美人だという話ではなく、フランス貴族に見えるか?という(まあ美人ではないです)。
鼻の下のほくろも嫌ですね、色気ではなく下品です。
ルイ15世に見初められるというシンデレラストーリーに根拠がないのです。
デュ・バリー夫人の武器は「マイウェン版」のような快活さ・貴族っぽく無さ ではなく若さと色香だと思うのです。
とにかく25歳に見えない!苦労してる感が出過ぎです!

この”王室の伝統に反して現代女性的な振る舞いをする奔放な女性”という設定をデュ・バリー夫人にのっけるのはなんなのでしょう。
せめて外見に説得力を持たせてほしかったです。
ここまで魅惑的な傾国の美女なら、こんなに奔放でも国王に寵愛されているのも頷けるわ~という説得力。


更に比較、ソフィア・コッポラの「マリー・アントワネット」に登場するデュ・バリー夫人。

官能的ではある・・・

映像化すると暗色の髪になるのは何でなの?
マリー・アントワネットを輝くブロンドのお姫様として目立たせ、デュ・バリーは陰、悪役、という立ち位置にするためなのか…

デュ・バリー夫人の髪はアントワネットを凌ぐ美しいブロンドだったそうです。
アントワネットを「赤毛のチビ」と罵るほど。

ベルサイユのばらではブロンドです。


ちょこちょこ史実と違う(というより意図もなくズレている、簡略化されていると感じる)ストーリー運びも嫌でした。


【映画】ジャンヌを公妾にするためにはジャンヌが既婚者にならなければいけないので、急遽デュ・バリー伯爵(実際は子爵)と結婚し、デュ・バリー夫人となる。

【史実】デュ・バリー子爵は既に既婚者だったため、子爵の弟とジャンヌが結婚した。

これは映画の時間短縮が目的でしょう。


【映画】アントワネットが無視し続けたデュ・バリー夫人に、周囲の圧力もあり、宮廷内の庭で遭遇した際に「今日は大変な人出ですこと」と声を掛ける。

【史実】アントワネットが声を掛けたのは宮中の新年祝賀会で。

別に大した人出でもないのに、変な場面でした。


この映画、ヴェルサイユ宮殿で撮影されたようですし、服飾品はシャネル監修、ヨーロッパ貴族の慣習の教科書としては大変面白いです。


コッポラの「マリー・アントワネット」でも思いましたが、王族は朝の支度から大変だなあとか、ルイ15世の娘のルイーズの存在は初めて知りましたし好感の持てる人物だなあと思いました。
アントワネットもキルスティン・ダンストの猫っぽい感じより14歳らしくふっくらしてて好きでした。

かわいいしちょっと肖像画に似てる


(デュ・バリー夫人を初見で)「あの美しい方はどなた?」なんて言わせるのはどうかと思いましたが…


じゃあデュ・バリー夫人を演じるのに適した俳優は誰?ということになると、身体はスカーレット・ヨハンソン、

顔はノラ・アルネゼデール

が完璧だと思います。


いろいろ文句を垂れましたが、映画全体での個人的評価は★3.5です。面白いです。主演が違えば★4.5だった気もします。


王室の華やかさを主題に置いている映画には仕方ないのですが、革命さなかの彼女たちまで描いてくれたらめっちゃ面白いのになあと期待しています。
ギロチンで斬首されるデュ・バリー夫人を映像にした映画ってあるのでしょうか?
やっぱりシャルル=アンリ・サンソンを主人公にした映画が観たいものです。



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