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スーツに萌えない

若い時には男性のスーツが好きでした。
若い時というのは高校生くらいまでのことです。
腐女子だったので(現在も腐女子ではある)、漫画のキャラクターのスーツ姿などに興奮することが多かったです。


大学生になり、風俗店でバイトするようになると、客の7割がスーツだということに気付きます。
平日の18時以降を中心に出勤していれば、仕事帰りのサラリーマンがメインの客層になるので当然です。


現在の私にとってスーツとは客が着ているものという認識です。
特に大衆店に来るような客のスーツは安い化繊で、薄くざらついた手触りのスーツやシワッとしたYシャツを纏った腕に触れてスキンシップを取っていると、この手触りは客の手触りと脳が記録します。


スーツは男の戦闘服などと言われますが、あくまで仕事上きちんと見えること・舐められないことを目的としたものです。
「仕事をしている姿に惚れた」という女性は愚かです。
男にとって仕事はONの状態なので、生きているうちで一番かっこいい姿で当然です。男のかっこよさのピークを好きになったら、仕事以外の姿で減点方式に恋が冷めるだけでしょう。
ちなみに仕事ですらOFFの状態の男はろくでもない奴です。


どのような状況でも、初対面の男と話して仲良くなりそうという雰囲気になった場合、相手がスーツ着用者ならば「客としてアリかナシか」という選択肢しか持てません。イケメンでも年下でも。


私服姿しか知らなかった大学生の彼氏が、就活生になりデートの待ち合わせやバイト先にリクルートスーツで馳せ参じるようになると、急速に恋心が冷めていったのを思い出します。


客がスーツで来店すること、店外デートの時に仕事中なのかスーツで待ち合わせること、などは何ら問題ありません。
客には期待も失望もしないので、「お仕事帰りですか?」と会話の突破口になるのでむしろ助かります。


一方で、彼氏やセフレが何らかの理由でスーツで現れたとしたら、すごく萎えます。
生理的に嫌悪感を持ちます。「うわっ・・・」と言ってしまうかもしれません。


ジャケットを脱ぐとか、ネクタイを緩めるとか、二次元のキャラクターには萌えを感じていた仕草を性的なパートナーにされると「うわっ」と顔を顰めてしまいます。
男の中にあるであろう スーツ=かっこいい姿 という価値観が気持ち悪いのかもしれません。
バイト先にリクスーで現れた元彼の、何となく誇らしそうな態度は鼻につきましたね。ずっと目をそらしていました。


スラックスが臀部にぴったり引っ付いているのもおぞましくて嫌いです。
特にグレー系のスーツは、こなれ感を出そうとして老化して見え、多分欲情できなくなります。
今は少なくなりましたが、ホストにスーツが多かった時代は最悪でした。
営業終わりのホストが酒・タバコ・香水全部で臭いテカったスーツで家に遊びに来ると、仕事でもスーツの相手をして、帰宅してからもスーツが来て、気持ちの切り替えができません。
基本的にスーツというのは独特の生活臭が染みついているのも嫌です。


もしスーツを着た好きな人と抱き締め合い、スーツ越しの肩に頬を摺り寄せるとしたら、鼻が無意識に何らかの異臭を探すと思います。
化繊自体の匂い、柔軟剤の匂い、タバコ、ほこり、汗・・・
それらがざらっとした感触で頬に当たると想像すると、好きな人すら好きではなくなりそうで恐ろしいです。


カジュアル服がオーバーサイズやダボッと感に振れて流行しているのに対し、スーツは細身でピタッとしたサイズ感がおしゃれというのは何なのか。対比させてフォーマルさを強調しているのでしょうか。


付き合っていた当時大学生だった元彼と飲みに行く約束をして、待ち合わせ場所に仕事帰りのスーツ姿で現れた時には、今日はホテルは行かずに解散だなと思いました。


ゆるだぼ服が基本のセフレが「じいちゃんの葬式行くんだ」とハンガーに掛かった喪服を見せてくれた時は「いい、やめて、見せないで」と露骨に嫌がってしまいました。
セ「俺スーツ似合うのに」
私「私、スーツ萌えしないから。スーツ嫌い」
悲しい会話です。


・スーツ=客 という等式が価値観に刻まれていること
・自分が性的パートナーに求める人間性が、若さ・軽薄さ・(人間関係における)だらしなさ であることと、スーツに相応しい人間像が真逆であること

が原因になり、スーツ萌えしないという残念な嗜好になっています。


男には「男は仕事でこそ輝く」という共通認識があります。
それは男から女への欲求にも似たものがあって、男が最終的に「女性が着ていると興奮する服装」は事務服に帰結します
30代後半以降、男は総じて女の事務服コスプレに最も関心を持つようになります。
スーツを纏ったONの状態で接する、こちらもONの状態(仕事中)の女性が、いざOFFの時間になるとどうにもエロく感じるようになるのでしょう。
※個人評


仕事で輝いていたとしても、私が長年見てきたのは、仕事後に一発抜いて寝たいと考える男の輝きの残滓だけです。
残りの人生、だらしなくてかわいいセフレたちがスーツ必至の仕事に転職しないでほしいものです。


夫はスーツ通勤ですが問題ありません。性的パートナーではないので。



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