KinKi Kidsの笑いの取り方

KinKi Kidsは旧ジャニーズの中でも、関西出身のユニットの先駆者で、赤の他人なのに堂本剛と堂本光一という2人の苗字が一緒、ということでも珍しいアイドルとしてデビューしました。

彼ら2人の初の主演ドラマが「人間失格」。確か猛烈なイジメや虐待をテーマにした超シリアス番組だった覚えがあります。あまりにも深刻すぎて、問題視する視聴者もいたらしいのです。「人間失格」の脚本を手がけた野島伸司がこの番組を期に、世に名を知らしめた人なのです。

私はその番組を毎回楽しみにしていて、主演のKinKi Kidsがジャニーズ所属のアイドルとは知らず、2人とも若手役者だと思っていました。それだけ彼らの演技が上手かったと言えます。特に、イジメを受けている堂本剛の存在感が強烈で、私は彼に好感を持っていました。

その後、KinKi Kidsは山下達郎作詞作曲の「硝子の少年」で歌手デビュー。その頃も私は2人のうちのどっちかを選べと言われたら、堂本剛派でした。光一のほうは、あまりにも美少年すぎて圧倒されるだけでした。ドラマや楽曲でデビューしたての頃は、以前の大谷翔平のときと同じように私の中でKinKi Kids、特に堂本剛に好意を抱いていました。

しかし、やはり私の審美眼がまた外れたのか、堂本剛にがっかりさせられました。彼は関西出身という自覚がありあまっていたのか、なんとも言えない笑うか笑えないかのスレスレのボケをしたり、冗談を言うことが多くなっていったのです。堂本剛は当時あの松本人志に憧れのようなものを抱いていたのかもしれませんが、それを意識してボケたりツッコんだり、アイドルにしては無謀な笑いの取り方をしていくようになったのです。彼は、自分の力量が分かっていないようで、無理矢理笑いを取りに行く場面がしょっちゅうありました。笑えないギャグを見せられる視聴者の身になって考えると、ありがた迷惑とか押しつけがましさという感情が生まれてきます。だから、私は堂本剛を見限ったのです。だったら、美少年すぎても性格がよくまっすぐな生き方をしている堂本光一のほうが、返って好きになりました。2人の関係性は、剛の一方的なボケやツッコミに、お情けで光一が付き合ってあげているように見えましたし、今もそうです。

そして、忘れてはならないのが堂本剛のファッションセンスの変化です。デビューしたての頃は、いたって自然体でそこが彼の魅力でもあったのに、光一にビジュアルが負けていると思ったのか、だんだんと個性的な髪型や服装になっていくのです。個性的といってもそのスタイルが、あさっての方向へ向いているというのでしょうか。本人は最先端を意識しているようですが、私から見たらちょっと残念な仕上がりになっているような気がしてならないのです。だから、光一派になったし、今や堂本剛に苦手意識を持っています。最初の印象と現在の印象が、悪い意味でかけ離れてしまった人物の一人です。

これは私たち一般社会にも言えることで、最初の印象と現在の印象が180℃変化する人との出会いもあります。最初の印象は良かったけれど、後になって最悪だったとか、逆に最初は悪印象だった人が後になって付き合っていくうちに仲良くなる場合もあります。このコラムを書いていて、改めてそれに気づかされました。第一印象が大事という大義名分が必ずしも通用しないのだなと。それに関しては堂本剛のおかげかもしれません。堂本剛、気づかせてくれてありがとう。

いいなと思ったら応援しよう!