『宇宙のかなたに いつまでも響け 地球の音楽よ』
息子が小6の時に書いた作文が、なかなかに夢がある内容だった。
まだ5歳ぐらいのときに、私が近所の小松市立図書館で借りて、読み聞かせしてやった物語に似た箇所もあったので、内容を覚えてくれていたのかと思うと、親としては嬉しかった。
気軽に良い本を借りに行ける我が家の立地、改めて良い場所に住ませてもらっているなと感じる。
作文は下記の通り。
六年生になった僕は、朝から学校で勉強をして、それから習い事をして、夕方には、いつもヘトヘトです。
でも大丈夫です。どうしてかというと、お寺が見える、いつものお気に入りの場所へいけば、ポロン、ポロン、ジャンジャンと、どこからか音楽が聞こえてきて、楽しい演奏で、すっかり元気になれるからです。
きっと世界中の六年生も、いつもヘトヘトでしょう。そんな時は僕のように、楽器の演奏を聞くと元気になれると思います。
日本には、きれいな水がたくさんあって、木がたくさん生えているので、木で出来た楽器が多くあります。
イギリスには、おいしい草が生えていて、羊が多いので、羊の皮で出来たバグパイプという楽器があります。
ブラジルには、昔、奴隷がいて、広い森で拾った、ひょうたんや、つるを使って、楽器を作りました。
どの国の人も演奏するときは、ニコニコしているし、全部、違う音が出て楽しいです。
それをうらやましそうに見ている集団がいました。宇宙人の集団です。
他の惑星には、水がなくて、木もありませんでしたが、地球政府と仲良くなったときに、贈り物として、水と木を少しだけもらいました。その星の宇宙人は木を大切に使っていましたが、楽器を作って楽しい時間を過ごすには、まだまだ量が足りません。もっとたくさんの量を、地球政府から欲しいと思っていました。
しかし、宇宙人の集団では、最近、とても心配なことがあります。
それは、近頃、地球の様子がおかしいのです。たくさんあった水の量が減っていて、木もどんどん切られているそうです。そして何の役にもたたないゴミが増えているそうです。
地球は、宇宙のみんなが大好きな星なので、これからも元気でいてほしいと、宇宙人の集団は願っているのです。
そこで宇宙人の集団は、地球政府に、ある計画をお願いしました。
今度の一月一日午前一時ちょうどに、日本、中国、ロシア、イギリス、インドなど、地球のすべての国で、同じ時間に楽器の演奏を開始してほしいということでした。
いったいどれほど大きくて美しい音が出るのでしょうか。きっと地球人は、その演奏に夢中になって、楽器は素晴らしいものだ、と思うでしょう。そして、楽器の材料になる水や木や草をもっと大切にしなくてはいけない、と思うでしょう。
この計画の名前は、
「宇宙のかなたに、いつまでも響け、地球の音楽よ」です。そして一月一日になりました。一斉に奏でた演奏を聞いて、地球人は夢のような時間を過ごしました。その演奏は、すべての地球人の心に響きました。それまで地球を知らなかった宇宙人も、地球で何か、素晴らしいことがあったらしいと知ることが出来ました。
この地球での演奏の様子を、地球政府が開発したロボットが録画しました。このロボットは、地球と他の惑星をつなげる役目があります。このロボットは、演奏の様子を録画したミュージックボックスと何かの楽器を各惑星に運びました。
それをもらった宇宙人は、驚くもの、不思議がるもの、まわすもの、かじるもの、いろんな反応をしましたが、ミュージックボックスのリズムに合わせて、みんな楽しそうに演奏をはじめました。ミュージックボックスはスイッチを入れると、見えない電波を発信して、ミュージックボックス同士をつなげます。
つながった宇宙人同士は、心がひとつになるのです。
その様子をロボット記者が取材して、地球に帰ってテレビで伝えました。
その素晴らしい様子を見た地球人は、「たくさんの宇宙人のためにも、自分たちが住んでいる地球をもっと大事にしよう」と思いました。
こうして計画通り、地球の音楽は、宇宙のかなたにいつまでも響いて、すべての人たちや宇宙人などが、地球を大切にしようと思うようになりました。
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