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江戸の庶民はふわふわが好き?
江戸の料理書の中でよく登場する【しんじょう】。
柔らかいはんぺんのような食感で、日本料理の【椀物】では主役の椀種としても使われます。
歴史を遡ると1690年(江戸中期)に書かれた料理書【茶湯献立指南 ちゃのゆこんだてしなん】
には、魚のすり身に山の芋をすりまぜて形どり、茹でたり蒸したり揚げたりしたものとして、しんじょうの歴史の中では最も古い文献として紹介されているようです。
江戸料理研究家の松下幸子さんの本を読んでいたら急に作りたくたったので、今日は1764年に発刊された【黒白精味集 こくびゃくせいみしゅう】という料理書の中から白身魚と山の芋だけで作る【糝薯吸物/しんじょすいもの】を作ってみることにしました。
①鯛、アマダイ、きす、ヒラメなど、白身魚の身を1/3と長芋2/3をすり鉢ですり、水や出汁を加えながら固めのとろろにする。
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弾力のあるやまと芋で代用しました
②鍋に湯を煮立たせ、金杓子で種をすくい沈まないように入れる。湯を上へ汲みかけながらゆっくり弱火で固める。
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ごく弱火で…
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③別の小鍋に出汁を温め、塩で薄味に調味する。
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④別の小鍋に出汁を温め、塩や醤油で薄味に塩梅し、つみ菜とともに椀に盛る。
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味わいは、ほぼとろろを食べている感じです。
箸でちぎって口に運ぼうとしてもつなぎが無いので崩れて汁に溶け出してしまい、最後は汁ごとすすって食べることに。
もう少し魚の割合を多くするか、卵白などをつなぎに加えれば固まると思いますが今日はレシピになるべく忠実に作ってみました。
江戸の卵料理【たまごふわふわ】が大人気だったように、この時代の人々は柔らかくてふわふわのものが好きだったのですかね?
それにしても魚が鯛やアマダイ、ヒラメなんて当時でもかなりの高級魚を使うということは庶民的な食べ物というより料理屋などで供されていた料理だったのだろうと思います。