静岡県西部の看板建築1
第一回は昭和の時代のお店といえばコレというべき看板建築について紹介させていただく。
看板建築とは、日本家屋の正面部分を一枚の看板のように装飾した建物のことであり、関東大震災からの復興期に生まれた様式であるといわれている。この装飾をファザードと呼ぶ。因みに「看板建築」という言葉は1975年(昭和50年)に建築史家の堀勇良らによって名付けられたという。今回は筆者の生れ育った静岡県湖西市にて撮影した看板建築をいくつか紹介したい。
村田屋(静岡県湖西市鷲津)
まず第一号は筆者である私にとって非常に思い入れのあったお店、静岡県湖西市鷲津にあった「村田屋」だ。二階建て、切妻屋根の立派な看板建築で業態は日用品メインで、軽食(うどん、ラーメン、おでんetc…)に加え、夏場にはかき氷もやっていたお店で、鷲津に住んでいた頃はよく通ったお店だった。残念ながら店主のおばちゃんが高齢となって2015年頃に閉店、現在は両隣の建物もろとも取り壊されて味気無い建売住宅に変わってしまった。
やまや商店(静岡県湖西市鷲津)
上述の「村田屋」から北へ数百メートル進んだところにある食料品店「やまや商店」。いつ頃まで営業していたのかは定かではないが、少なくとも2010年頃からこのようにシャッターが閉ざされたままの状態であった。近くにスーパーやホームセンターが出来て地域の個人商店やご当地の小規模なチェーン店が次々と姿を消して行ったような事象が地元でもご多分に漏れず多数起こっていたことが窺える。因みに、奥の駄菓子屋「三河屋」は2022年冬の時点ではまだ営業を続けられていた。
池きストアー(静岡県湖西市鷲津)
こちらは上記の2軒とは雰囲気を異にする青果店「池きストアー」。こちらも昭和の時代から永く続いて来たお店であることがひと目で分かるたたずまいである。表側から見ると平屋に見えるが実は2階建て。
残念ながら、この建物も周辺の道路拡張により2021年冬頃に取り壊されたが、お店自体は今も場所を移動して営業中である。近くにはスーパーもあるが、地元の古くからのお客さんに支えられて今も頑張っているのだろう。
業態不明(静岡県湖西市鷲津)
JR東海道本線、鷲津駅の南側、「みのわ通り」にあった業態不明の建物。ファザードが建物の半分だけある。写真左手が住宅、右手の看板建築部分が店舗だったのではないかと思われるが定かではない。街灯の下の看板に店舗の名前か屋号でも記されていただろうが、すでに消えて判読不能だった。お隣の建物は衣料品店「キヌヤ」さん。
こちらは2023年1月現在、営業中。
元書店(静岡県湖西市鷲津)
上記写真の撮影された「みのわ通り」から一本奥へと入った場所にあった建物。昔の記憶だとこの建物は書店だったと思うが、グーグルマップにて2012年のストリートビューを見たところ、確かに「小池堂書店」の看板が掲げられていた。2015年のストリートビューでは撤去されていた。
遅くとも2015年以前までは営業中だったとみられる。
キムラ薬局(静岡県湖西市鷲津)
こちらも湖西市鷲津「みのわ通り」近くにあった「キムラ薬局」。すでにこちらも営業はしておらず、ファザード部分にツタが生い茂っている。
洋装のちぐさ(静岡県湖西市鷲津)
上記の「キムラ薬局」の2軒隣にあった「洋装のちぐさ」。この建物も少なくとも10年近く前からシャッターが閉ざされたままの状態であった。
鈴木畳製造所(静岡県湖西市鷲津)
湖西市鷲津「みのわ通り」にあった畳屋さん。
グーグルマップには名前が出ているが、営業しているのかは不明。ファザードはタイル貼り。
フラワー美容室&COFFEEくるみ
(静岡県湖西市新所原)
JR東海道本線、新所原駅から北へ徒歩数分の場所にあった「フラワー美容室」と「COFFEEくるみ」グーグルマップの情報によれば2022年12月末時点で2軒ともに営業中。前者は灯りが灯っており、お客さんらしき人影も見える。
HOMEMADE SANDWITCH COOK33
(静岡県湖西市新所原)
こちらも上記の2軒のほど近くにあったお店。店名から見て、パン屋さんだったのだろう。
グーグルマップでも情報は出てこず、すでに営業していないとみられる。
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