形態、構造別に見る遠州・三河の看板建築1
今までの記事を読み返すと、やはり全体に分かりづらかったと感じるので、現在も手元にあるRM MODELS誌や鉄道模型趣味誌などの連載記事を参考に今後はよりわかりやすくなるように模型やちょっとしたイラスト等を用いることとし、地域ごとでは無く、形態や構造による分類とすることとしてみた。
そもそも看板建築とは何か。
皆様方も「看板建築」という言葉自体は聞いたことがあるかもしれないが、どういう建築様式を指すのか、深く考えた事はない方々が多いであろう。
看板建築という言葉が生まれたのは一般的には1975年(昭和50年)、現在の江戸東京博物館館長の藤森照信氏(1946〜)、建築史家の堀勇良氏(1949〜)らによって発表されたとされているが、一言で表すと日本家屋の正面部分を一枚の看板の如く装飾を施した建築様式である。とはいえ、言葉だけではピンと来ない方々もいらっしゃるだろう。まあ早い話、こういう形の建物のことだ。
昔からの商店街や古い町並みが残る地域には必ず存在している建物だが、時代と共に商店街の衰退や地域の再開発等により、都市部ではその姿を消しつつある。
看板建築には法則性がある?
古い町並みが多く残るエリアを歩いてみたりすると、ふたつとして同じ形態が無いとも言えるような、個性豊かな看板建築の数々を見ることができるが、じっくり観察してみると、そんな中でもある程度形態等に法則性のようなものがあることに気付くことがある。ただ、これは私がモデラー時代に導き出したものであり、必ずしも学術的には正確なものではないではないかもしれないという点はご了承願いたい。
看板建築の標準形態?
まず看板建築の類いの中でも恐らく一番多く存在するであろう、こちらの模型のような、ファザードが建物正面部分のみにある形態である。
ファザードとは、写真の模型で説明すると、建物正面部分の淡緑色の部分のこと。素材はモルタルやタイル、トタン等、多種多様である。ここに文字や屋号が入れられることで何のお店かがわかるようになっていることが多い。
そして、そこからさらに建物の規模ごとに分類して見ていこうと思う。
平屋建ての看板建築
平屋建ての建物の正面部分のみにファザードが設けられている。大抵は建物の前寄りが店舗、奥が住居という形態である。
平屋建て看板建築の例
山本クリーニング店
まるいわ商店
奥山電化
理容室シライ
さわらや
二階建ての看板建築
二階建ての建物の正面部分のみにファザードが設けられている。基本的に1階が店舗で2階が住居、もしくは1階前寄りが店舗で1階奥及び2階が住居という形態が多い。
二階建て看板建築の例
村田屋(現存せず)
やまや商店
池きストアー(現存せず)
l豊寿園
鈴木畳製造所
おもちゃのピノキオ(冒頭の写真の別アングル)
三階建ての看板建築
三階建てという巨大な看板建築、私も見たことは数えるほどしかない。愛知県蒲郡市、そして、遠州・三河からは逸れるが、名鉄神宮前駅そばにあった三階建ての看板建築をご紹介したい。何の商売をしていたのかは不明だが、前者はかつて形原歓楽荘という遊郭だったエリアだった場所であり、その遊郭建築の生き残りではないか、後者に関しては、神宮前駅に近い所から見て、駅前旅館、今で言うステーションホテルの類いと推測する。
おわりに
ということで、色々と試行錯誤しながら、よりわかりやすくなるような内容へと刷新してみたが、如何だっただろうか。かつてグリーンマックスのキットのパッケージイラストを多数手掛けた小林信夫さんのような立派なものを仕上げるだけの画力は私には無いので、せいぜい簡素なものではあるがイラストを描いてみたり、解説用のモデルとしてジオコレのキットを3年半ぶりに組んだりと、なるべく内容を濃くしつつもわかりやすくした所存である。拙い部分もあるが、最後までご覧頂いた方々には感謝申し上げたい。
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