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中国人少年が、日本の医療機関で差別を受けたと訴えている件について
はじめに:アベプラに出させてもらいました
先日Abema Primeの方からnote経由でご連絡いただき、外国人を診療する医療機関の置かれた現状などについて取材をしていただき、その流れでコメンテーターとしてリモート出演までさせていただきました!
「完全に差別だ」中国人少年が“日本の医療機関”で愕然 「患者向けアンケート」の中身とクリニック側の“切実な”事情(弁護士JPニュース) - Yahoo!ニュース
いわずと知れた人気番組で、僕もよくYoutubeで移動中に聴いているので、とても光栄でした。(公式で観てないんかい!)
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この件については今回連絡いただくまで知りませんでしたが、Xでも割と話題になってたみたいですね。
番組内では短い時間で答える必要があったこと、また影響力の強い媒体ということからも、わりと限定的で無難なコメントとなってしまいました。
今回のことであまり調子に乗ってはいけませんが、せっかくの機会なので、番組では言えてない部分について記事にしてみました。
なにが問題で、今後どういった変化が望まれるのでしょうか。
ぶっちゃけ根深過ぎて一つの記事ですべてを深堀りはできませんので、今回は放送内容の半分程度?について、問題の背景や筆者の意見を述べていきます。
個人的な感想や考察に加え、外国人診療が難しい理由や実際のトラブルにすいてなど、医療者ではない方でもわかりやすいように書きました。
医療者の方にとっても、外国人を診療する機会が増加しているなかで、多少は参考になるかなとは思います。
興味がありましたら、ご一読いただけるとありがたいです。
また、出演のきっかけとなった、『医療機関における外国人患者の受入れに係る実態調査』についての記事は無料ですので、ぜひご覧ください(むっちゃ長いですが)。
事案の概要
詳細はリンクから元の記事を読んでいただきたいですが、まずはいったん、今回の事案についての概要をまとめます。
2024年11月に14歳の中国人の少年が、サッカーで負傷したため叔母と都内の整形外科クリニックを受診したことが始まりです。
的確な診療で治療内容には満足したとのことですが、診療前に要求されたアンケートが差別的であるとして、番組でも共演させていただいた戸館弁護士に相談し、クリニックと厚生労働省に抗議文を送ったとのことです。
公開されているそのアンケートの内容は、以下のとおりです(原文ママ)
本日折角ご来院されましたがご自分の症状を正確に医師に伝える事や、医師からの指示を理解する自信が無いため、今日の受診は取りやめますか?
あなたは今日の診察に対してご自分が納得行かなかったら、騒いだり、場合によっては診察料も払わずに帰ってしまう、などという事は絶対しませんか?
本日の診療において必要な事を、正確に医師に伝える自信がなくて、適当な話を伝えて取り合えずほしい薬だけを貰っておこうという気持ちですか?
自分が本日とても急いでいるので、順番を守らず他の人を飛ばしてでも自分の診察を優先すべきだのような、利己的な考えはお持ちではないですか?
貰った薬に関しては、指示通りには服用せず、場合によっては人に売りつけるなどの事を考えていますか?
日本語でのコミュニケーションについてはあまり自信はないが、上手く言い逃れして、出来ないのに出来るふりをして診察を受けようと思っていますか?
薬の飲み方については、基本的には調剤薬局で口や書面で説明を受けるのであって、 医院内や診療中に必ずしも説明が無くてもいいのはご存じですか?
診療では医師が医療上必要と言っていても、患者が自分勝手にレントゲンを拒否したり固定装具や投薬を拒否したり、自由にしていいと思っていますか?
ネット記事の内容については、いったんここまでとします。
ちなみにこの記事を書かれたのは別の弁護士さんであり、非常に中立的で良質な内容だと感じました。
世間の反応についての考察
さて、ここまでの内容をみてどう思われましたでしょうか?
ちなみに、Yahooニュースの3,000件以上のコメント欄やXでの投稿をみるに、全力でクリニックを批判する意見や、条件反射的に「差別ガーーー!」とったような意見はほとんどないようでした。
さすがに文言が悪いといった意見はありますが、その点に関しても意外なほど少ない印象です。
あくまでネット上のことなのでバイアスが大きいですが、こういった反応についてはこれらの要因があるのではと考えました。
個別の医療機関や地域の医療提供体制がひっ迫していること、その要因が過剰でアンバランスな社会保障システムであること、在留外国人にも日本の保険証が与えられていること、日本の社会保障システムを確信犯的に利用している外国人がいることなどが広く知られるようになり、今回の記事をネット上で閲覧する多くの人のリテラシーレベルが、そこに到達している。
中国人である。
あくまで個人的な見方ですが、この2つかなと思いました。
筆者の個人的な意見
今回の事案の本質は、クリニックと中国人のどちらがどう悪いかといったことではないと考えています。
あくまで個人的な意見ですが、番組でもコメントしたように、このようなことが起きるのは両方が制度の犠牲になった結果だと考えています。
まずはこの少年やご家族が精神的にショックを受けたこと、またアンケートが差別であるという議論が起きることは、大いに理解できます。
また、安全な診療やクリニックの危機管理のために行うにしても、個人的な感情が過度に乗ってしまっている文面であり、好ましくないとは思います。
しかしながら、「内容はすべて、実際に当院であったことなんです。」というクリニック側のコメントには非常にリアリティがあります。
実際にこれと同等かそれ以上の被害が、全国各地で頻発しています。
このようなことが起きればクリニックにとっては大きな損害であり、二度と繰り返したくないという強い気持ちを抱くのは当然です。
一方で議論にもなった『応召義務』や『言語・文化・国民性の違い』、また『医療制度の構造上の問題』や『外国人の保険の問題』などから、医療機関側は外国人患者によるトラブルに対して、予防や対策の手段を取ることが非常に難しいです。
このため、たとえ相手に不快な思いをさせたとしても自衛するために、こういった手段を取っているものと考えます。
次に、「中国人だからといって、外国人だからといってこういう対応を行うことは差別である。」という意見は、理屈としては正しいと思います。
しかし正直なところ、中国人に関しては個人から国家のレベルに至るまで、日本人あるいは日本国に対して他の国とは異なる次元で迷惑、損害、悪影響を与え続けていることは、純然たる事実です。
個人でも事業でも、経験に基づき自衛のための対策を取ること自体は当然です。
このため、日本人や中国以外の国籍の方と違う警戒レベルを敷かれ、別の対応をされてもやむを得ないでしょうとは考えます。
また、中国人から迷惑や損害を受けているのは日本だけではなく、他の国でも中国人が、倦厭されている場合があります。
そもそも国籍でも人種でもなんでも、とくに商売やサービスにおいては、相手によって対応を変えられるというのは、どこへ行っても当たり前のはずです。
ネット上でも「文句があるなら同胞に」といった意見は数多くあり、日本人の立場からすれば自然な反応だと思います。
もちろんこの少年は迷惑行為をしていないし、するつもりもなかったということ、ショックを受けたということは事実でしょうし、それに対して声を上げようとすることは、当然の権利ではあると思います。
繰り返しになりますが、今回の文面ややり方が良い方法だとは、個人的に思いません。
外国人患者の診療が難しい背景
医療者じゃない方も多少は想像できるとは思いますが、外国人患者さんの診療は、本当にいろいろと難しいことが多いです。
これには患者さん側の要素と、日本の医療の構造上の問題とが絡み合っており、それぞれについて解説します。
言語の問題
医師を含め、日本人の医療従事者は英語を含む外国語が十分に、あるいは全く話せない場合がほとんどです。
文書の類はある程度事前に準備することも可能でしょうが、あらゆる言語や場面に文書で対応することは困難です。
外国人患者さんとコミュニケーションを取るためには、現在であれば何らかのデバイス、アプリ、生成AIなどを用いた翻訳・通訳を用いるか、通訳者の助けを借りることになるでしょう。
通訳は、患者の家族や知人友人、ボランティアの方が務めることが多かったのが現状です。
しかしながら、医療の現場では専門的な用語やセンシティブな内容が多く含まれています。
誤訳があれば間違った情報を患者さんに伝えてしまい、しかも言った方は誤訳に気づけない場合もあり、トラブルのきっかけとなります。
このため、医療現場での通訳は訓練を受けた医療通訳が行うことが望ましいとされています。
しかしながら、実際にはそのような通訳者を利用しようとすれば、時間帯やタイミング、対応言語の制約があったり、コストがかかったりします。
現在では、医療通訳に特化したデバイスやサービスを提供している企業が2社あります。
メディフォン:mediPhone社
MELON:コニカミノルタ社
医療通訳としての信頼性を担保したいと考えれば、これらのサービスを利用できるとよいかもしれません。
しかしながら、ChatGPTをはじめとする生成AIの進歩は著しく、これらの利用で十分であると考える医師もおられます。
一方で、コミュニケーションを担保するための金銭的コストは、いったい誰が支払うのかといった問題もあります。
一応、厚生労働省からの通知(2005年発令、2008年最終改定)にて、外国語の通訳や翻訳に係る費用は、保険医療においても追加で請求できるとされています。
しかし、追加費用について患者へ十分に説明して同意を取る必要があるとされ、患者が拒否すればそれまでです。
医療機関も保険診療以外の仕組みづくりやオペレーションに慣れていなかったり、そもそもこのような通知を知らない可能性すらあります。
文化・慣習・宗教による問題
特にセンシティブな観点であるため、はじめに断っておくべきことがあります。
今回の件で僕が重要だと思っている『他者や他者の権利、異国のルールを尊重できるか』といったことは、人種や国籍で決まるものではありません。
一概に特定の人種や国籍の方がダメだとか悪だとか、皆同じような行動を取ると判断することは誤りであり、そこまでくれば差別であると指摘されて然るべきです。
しかし、人格や行動というものはそれこそ文化•慣習•宗教、そして教育といった生まれ育った環境要因で決まってくることであり、そういう意味では国籍が大きな要素であることは間違いないでしょう。
また、いろんな人がいるから全部を一緒にするなという意見は最もですが、きちんとカテゴライズしない限り、建設的な検討や議論もできないという場合はあります。
そういったことを踏まえつつ、実際に存在している現象や傾向でもって論じていることを、くれぐれもご了承ください。
このような前提を無視して切り取る人がいるとするのであれば、そこには悪意があるか無教養であると指摘せざるを得ません。
我々日本人には、『恥の文化』であったり、『和を以て貴しとなす』といったような文化的・精神的なバックグラウンドがあります。
これはもちろん日本人全員に共通して強いわけではないでしょうが、一般的にある程度共有された価値観とされています。
一方で、隣国のいくつかの国ではは大きく異なります。
自分や親族を大事にするのは大いに結構ですが、代わりに他者の権利は度外視し、自分たちの主義を大声で主張したり、実力を行使して権利を勝ち取るものだと考え、実際そのように行動する人が多くみられます。
このような行動をとる人間は甚だ迷惑であり、自国だけでやっといてくださいという感じです。
どんな人でも異国にいるのであれば、郷に従って行動すべきだと考えます。
日本でなければ、郷に従わない人は暴行されたり殺されてもおかしくありません。
なかでも宗教については、基本的に最大限の尊重が必要だと考えています。
日本人からすると理解し難くても、いくつかの宗教においてとくに厳格な方では、教えに反することは死んでもできないといったことはあり得ます。
その結果、医学的に間違っていたとしても本国においては当然であり、患者個人に不利益が起こったとしても当然と解釈されるでしょう。
しかし、ひとたび日本において医療を受けるとなった場合、我々日本の医療者は、患者さんの心身にとって医学的に、また人道的に最も良いと考えられることを選択します。
このため、明らかに医学的に誤っており患者さんの身を危険にさらすような要求があった場合、判断や対応に難渋します。
可能な限りの説明や説得を行っても診療の合意形成が得られない場合は、診療を止めてもよいのではという意見もあるかもしれません。
病状が軽かったり、本国に帰る余裕があればそれでもいいでしょう。
しかし、中等症~重症で死亡や後遺症につながり得る場合、妊娠出産に関わることなどでは、人道的にもそのような決定はできないでしょう。
そもそも患者が放り出されたとすれば、続いて他の医療機関なりが再度対応することになりかねません。
そして実際にあとで訴えられたとすれば、医療側に不利な司法判断が下る可能性は十分にあります。
逆に、妥当な診療を提供できて結果が良かったとしても、宗教的に受け入れられないことであったと後に訴えられた場合も、それはそれでトラブルとなります。
よって、患者さんの宗教的なバックグラウンド、厳格さがどの程度で絶対に受け入れられないことはなにかといったことは、最初の確認や診療中の継続的配慮を十分行うことが重要と考えられます。
しかしながら、実際我々には外国の宗教に関する知識もなければ、一般的な診療の現場に人的余裕もなく、容易ではありません。
基本的に、他国の重要なインフラを利用する場合や非常事態においては、自分たちの宗教や考えよりも他国のルールが尊重されるということは受け入れてもらう必要があるでしょう。
それが無理なら発生する不利益もすべて受入れてもらい、究極的には自国にお帰りいただく他ないかと考えます。
さらに言えば、宗教や文化的な違いを背景に医療現場で起きたことについて訴えられたとき、医療機関に不利な司法判断が下れば、判例としてその後に計り知れない悪影響を与え、国益を大きく損なうことだと思います。
日本の医療側のアップデートが必要なことは当然ですが、法律が適切に整備されず警察や司法が無茶苦茶な行動を取るようなら、重要なインフラを担う医療者はいつまでも安心して仕事をできず、将来にわたって日本にいるすべての人の権利を侵害していることに他なりません。
医療費に関わる制度の問題
これは、医療費が回収できない『未収金』の問題に直結します。
日本の医療機関では、外来であればその日の外来が終了するとき、入院で荒れば退院するときに初めて医療費が計算され、患者への請求額がわかります。
これは、保険診療であること、患者が自己負担分の医療費を支払うということを前提としています。
一方で、海外では診療の最初からステップごとに代金が提示ないし請求され、支払わなかったり支払い能力がないと判断された時点で、泣いてもわめいても死んだとしても、診療が終了します。
このため、求める医療の内容に足る保険やクレジットカードを有しているか、現金をかき集めてくる必要があります。
国や地域によっては、公的な施設で提供される医療が無料やごく低額である場合もありますが、診療の質やアクセスについてはかなり制限があるはずです。
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外国人が日本で診療を受けるとき、以下のようなことがよく発生します。
医療者側が、医療費や患者の支払い能力について意識しないまま診療を進め、患者に説明や相談をしない。
診療に対して医療費や支払い方法が提示されないため、不安を感じたり、医療費も考えて受ける内容を決めたいという希望が叶わない。
そもそも、医療費が無料であると勘違いしている場合もある。
最後に支払額を提示されたとき、自身の支払い能力をそもそも超えていたり、支払い能力自体はあるが、日本円やクレジットカードの上限額が不足している。
医療費自体や、自己決定できなかったことに不満を持つ。
そもそも、支払う意思がない場合がある。
加入している民間保険で支払えると思っていたら、まずは自分で支払う必要があったり、保険の対象外ということが判明する。
このような結果として、事務スタッフを中心に説明や民間保険の手続きに労力がかかり、最悪の場合失踪やクレームをつけるなどして踏み倒されます。
このようなトラブルを防ぐための対策は幅広く、院内の体制整備を多職種できっちり行っておく必要があります。
診療のリーダーとなる医師についても、初めから事務スタッフなどと連携して、医療費や患者の支払い能力を意識した診療を組み立てることが求められます。
実際に、未収金の問題は深刻です。
患者数から、未収金の絶対数や金額は日本人の方が圧倒的に多く、外国人については現状でごく一部です。
しかし、厚生労働省の実態調査では、2022年度で全国約660の病院において、外国人からの未収金は総額約8.8億円であったとのことです。
全国に病院は約8,100施設あり、クリニックに至っては10万施設ありますし、同調査ではそもそも外国人の受診状況等について十分把握できていない病院も多いため、これは氷山の一角といえます。
このあたりは、以前の記事に詳しく書いてます。
外国人患者によるトラブルの実例
外国人患者さんの診療やトラブルへの対策について、共通した考えや準備すべきことはありますが、それすらできていない医療機関が多いことは、以前の記事で述べています。
僕自身は外国人患者さんを診療する機会がこれまで少なく、おおむね皆さんルールを守って大きなトラブルなくやってこれました。
しかし、外国人患者さんのトラブルがどのように発生するかは地域、医療機関、診療科などで千差万別であり、条件が揃えば本当に頻発し、医療現場に深刻なダメージを与え得ます。
番組でも述べましたが、例えば病院では診療の現場と他の場所で、他のスタッフがトラブルシューティングに当たることが可能かもしれませんが、クリニックでひとりの患者とトラブルになれば、診療のすべてがストップします。
もちろん病院であっても相当大変ですし、未収金の問題においては額が大きいでしょうが、クリニックの場合はその日の診療にとってより深刻な損害を被ります。
例え本国では当たり前のことであったとしても、日本においては甚だ身勝手な、あるいは非常識な行動でトラブルを起こす人は、医療機関に実質的な損害を与え、他の患者さんの権利を侵害しているということは、明確にされるべきです。
トラブルの事例については、ネットで検索可能なニュースや公開資料がいくつか存在しますので、文末に置いておきます。
このほか、筆者が所属するコミュニティの医師からお聞きした話を、いくつかご紹介します。
待てない、順番を守ろうとしない。
大声で文句を言ったり、自分の予想と違うと怒り出し、外来がストップする。
重症の状態から改善し、医療費の支払いを約束して退院したが支払われず、数千万円の未収金が発生した。
心肺停止による低酸素脳症で、医師が「意識はもう戻らない」と家族に説明したのに、通訳者が「明日くらいに目が覚める」と誤訳してしまった。あとから別の通訳者の協力で、一週間くらいかけて改めて理解してもらった。
いかがでしょうか。
怖いですね~・・・。
何が怖いって、現状では予防もその場の対応も難しいことが多く、どれだけ対策しても、いつでも何度でも同じことが発生し得るんですよね。
ついでですが、「中国人の行動やそれによる被害が突出している」という意見は共通しています。
これは日本在住の外国人の数としては中国人が圧倒的に多く、診療の機会が多くなることも大きな要素でしょうが、実際に彼らの行動が、日本人とも中国以外の外国人とも一線を画していることはあるようです。
まとめ
今回の記事のまとめです。
都内のクリニックにて診療前に中国人の少年に対して要求されたアンケートが差別的であるとして、少年側と戸館弁護士とで、クリニックと厚生労働省に抗議文を提出した。
ネット上での反応はクリニックを擁護する意見が多く、外国人に対する保険診療への反発、また対中感情の表れと考える。
中国人については、このクリニックと同等以上の医療機関への迷惑行為や損害、また医療現場に限らず日本人・日本国が被ってきた迷惑や損害を鑑みれば、日本人や他の国籍の人と異なる警戒や対策を取られても、おかしくはないと考える。
保険制度や応召義務などを背景として、外国人を含む患者からの迷惑行為に対する医療機関の防衛策は限られており、アンケートが自衛手段として講じられたものということは、十分理解できる。
一方で、文面や運用には過度に院長の感情が含まれており、個人的に良いやり方とは思わず、少年がショックを受けたことや差別か否かという議論になることは、十分理解できる。
一般的に外国人の診療は、言語、文化・慣習・宗教、医療費に関わる制度の違いなどから、日本人とは異なる難しさがある。
全国各地で、実際に外国人診療におけるトラブルは頻発し続けている。
そしてくどいようですが、重要な点を付記します。
元になったネット記事、番組、本記事に関わられた方のどなたについても、外国人、あるいは特定の国籍の方やルーツのある方が、全てダメだとか悪いとか迷惑行為を行うものだ、などということを言ってはいません。
今回の事案の少年とご家族は、当事者であるから声を上げる権利があります。
その他で全か無かでしか考えられない人、条件反射で相手を攻撃する人などがこのようなセンシティブな議論を荒らしたり、都合よく切り抜いて拡散することがあれば、非常に好ましくないでしょう。
ついでに:アベプラに出演した感想
今回ディレクターさんからメールをいただいたのが12/6の夜で、そこから12/8に取材と出演依頼をいただき、12/9の夕方から台本のやり取りをして出演するという感じでした。
正直、こちらもチャンスをものにしたいと思い、ちょうど当直で暇だったのもあり資料をいくつか準備して、提供したりしてました。
当日にシリアの革命のニュースによって放送の時間が変わったり、ギリギリまで画面に表示する内容を修正しながら打ち合わせさせてもらったりと、ディレクターさんと一緒に番組作りの裏側を体験できたのが、まず貴重でした。
あと、実名で出るわけにいかなかったとはいえ、こんなふざけたハンドルネームで出してもらいすいません。
事前に所属するコミュニティのLINEグループで取材もらったのを報告して、注意点などを相談してたのですが、最初に変換間違えて『Abana Prime』なるパチモン番組みたいになってました(笑)。
多分グループ内でも??な状態でしたが、改めてアベプラということをお伝えしたところ、お祭り状態で皆さん応援してくださり、とてもありがたかったです。
本番はリモートではありましたが、ほぼ露出経験のない僕からすれば、アベプラという日本有数のネットメディアはハンパない飛び級案件でしたので、そこそこ緊張しました。
初めてのメディア出演にしてはまずまずやれたのではという自己評価ですが、ひとつひとつのコメントが長すぎたのと、「えー、」とか「あのー」などのいわゆる『フィラー』がまんさいだったのが反省です・・・。
あと、本題からやや離れて戸館先生のお話が少なかったのは竹中さんとMC仁科さんのせいですが(笑)、別の特集につながる話題提起になったかもしれないですね。
僕を見つけてくださったディレクターさんも非常にフレンドリーかつ礼儀正しい方で、いろいろ裏側の様子も教えてくださりました。
今後も僕やコミュニティを医療関係で使ってもらいたいので、アベプラはこれまで以上にチェックして、機会があれば取り上げたり連絡取ったりしてアピールしていこうと思います!
おわりに
冒頭に書いたように、今回は番組出演についてと、この根深い問題についての一部を考察しました。
まだまだ問題の本質には迫れていませんので、近いうちに次の記事で語らせてもらいます。
放送をご覧いただいた方、初めてのメディア出演を応援してくださったコミュニティの皆様、アベプラの皆様、そしてこの記事を購入してお読みいただいた方に、深くお礼申し上げます。
ではまた次回!
リンク
医師の立場から見た外国人患者受入れの留意事項と対応事例:りんくう総合医療センター 国際診療科
外国人患者対応(トラブル)事例集:北海道保健福祉部
外国人受け入れ病院、2割で未払い発生 最高1846万円も:日本経済新聞
外国人医療の現場で起きていること:nippon.com