お礼に頂いた小さな物語
七田苗子さんの、呼びかけに
空の写真を一枚投稿しました・・
その写真のお礼にと、『小さな物語』を
私の記事のコメントに、残して下さいました。
こんな素晴らしい、お礼を頂けたことに感動しました。
その作品が、あまりにも素敵な物語でしたので、、、
私へのコメント欄に埋もれさせるのは、もったいないと思い、
今回、紹介をさせて頂くことに致しました。
タイトルは勝手に付けさせて頂きました。
『秋風に舞う恋心』
作:七田 苗子さん
「あの方に見てもらいたいのです」丘の上に立つ紅葉は、枝を空高く伸ばしながら呟きます。それを耳にした秋風が、彼女の耳もとにそっと吹き付けます。
「誰にだい?」
「遠く彼方にいる、青空の君です」その赤葉を、より鮮やかにしながら紅葉が答えます。ふと悲し気に地面に目を落とすと紅葉はぽつりとこぼしました。
「でも……果てしなきあのお方に私は届かない。あの方の瞳に映ることもないでしょう」
風に揺られる赤葉は、寂し気にカサリと音をたてます。すると秋風が優しく紅葉の頬を撫でました。
「では、私が君を届けよう」
そう言うと、秋風はその身を翻しクルクルと回り始めます。まるで演舞のような秋風の姿。見入っていると、紅葉の赤葉がざわめき始めました。秋風がその両腕を高く空へと放った瞬間、地に落ちた紅葉の赤葉が宙に舞い、渦を巻きながら高く高く昇っていきます。
「空よ、私が吹くこの地の美しさを見よ」
赤葉は秋風に乗り、いつしか点となり、そして空に姿を消してゆきます。
すると空を見上げた紅葉の頭上からゆっくりと声が振り降てきます。
「美しい」
それは紅葉が恋した青空の君の声でした。
あれから何百年もの月日が経った今も、丘の上の紅葉は美しき赤を空に届け続けているのです。
※七田苗子さん
勝手に掲載致しまして、
申し訳ありません。
不都合あらば、削除致します。
お知らせ下さいませ。