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生て遺す 第10節
最上位学年になった冬樹、マサシとはクラスが分かれてしまったが親交は深かった、冬樹と同様マサシもまた周りに上手く馴染む事が出来ず、嫌われ者の称号を獲得していた、だからこそお互いの親交は途切れる事はなかった。
冬樹の小学6年生時代を一言で表すなら正に修羅であった、上学年ともなると男子生徒同士の衝突は熾烈な物となり、血を流す事も珍しく無くなった、校門で3人組に待ち伏せされた事も有った。
毎日違う人間と殴り合いをして居ると心も自然に荒む物で、冬樹は一層人間不審を募らせた、また剣術の才もそこそこに有った為、同級生に冬樹を打ち負かす相手が居なかったのもまた不運に、次々に嫌悪する相手を引き寄せたが、学校生活を続ける事が出来たのは親友のお陰だ。
日々生傷を作りながらも唯一の親友のマサシと遊ぶ時間はとても楽しく、しかし友達同士の喧嘩も相応にした、自分より体格の小さなマサシに手を出す事は絶対に無かったが、コントローラーの1Pか2Pどっちを使うかと言う究極詰まらない理由で大喧嘩をした事が1番記憶に残っている、ソフトは冬樹が持参し本体はマサシの物、どちらが1Pコントローラーかで言い合いになったが、今では最高に楽しかった時の思い出だ。
そしてそんな小学生時代も終わりに近づき、やがて冬樹も次のステージにランクアップする時が来た、そう、ウキワクの中学校進学だ。
第11節に続く