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音速のドラ猫15

 音速のドラ猫15


〜三沢基地 駐機場〜

キィィィィィィィィィィィィィィィィィン

理樹「外部点検終了」

豊「こっちもOKだ。」

整備員「それじゃ、直枝2尉 書類確認とここにサインをお願いします。」

理樹「分かりました。」カキカキ

僕は整備員からバインダーを受け取り書類に目を通しサインを書く。

理樹「はい、ご苦労様です。」

整備員「ありがとうございます。それじゃ、お気をつけてッ」

理樹「ありがとう。搭乗ッ」

豊「あいよ」

僕らは機体に乗り込む。
座席に座り整備員にシートベルトとハーネス類を固定してもらう。

カチャガチャ

理樹「スーハーッ…startup 」

一度、深呼吸をし起動準備に入る。

豊〔roger〕

ハンドサインで整備員に指示を送り、コンプレッサー(圧縮電源車)を起動してもらう。

ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥン

コンプレッサーが出力を上げ唸る。

理樹「Power ON ignition…start」ポチッ
 (電源on イグニッション…点火ッ)

キュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン

JFS(Jet Fuel Starter)を入れた瞬間…機体の後部でプラット&ホイットニー社製のTF30-P-414Aエンジンが唸りを上げながら起動する

「engine Fire Right…engine Fire Right」

コクピット内の警報音声と共にエンジンの出力をが上がる。その間、僕はハンドサインを使い
エンジン出力を整備員に伝える。

豊〔火器管制装置on 自動航法装置on ジャイロコンパスセット、 GPS装置、衛星通信装置ok システムオールグリーン〕

理樹「roger 1.2エンジン起動完了」

豊がシステムチェックを終えるのと同時に僕もエンジンの起動を終えた。

理樹「ground. 機外チェックを行う。」

整備員〔roger〕

理樹「主翼、full open …65..30...15.」

ブーーーーーーーーンッブーーンッ

最初にF-14戦闘機の最大の特徴でもある可動翼の動作テストを行う。

整備員〔full open…65...30.....15 ok〕

理樹「flap 25...20..15.」

ウィィィィィィィィィィン

次は離着陸時に揚力抗力を発生させるためのフラップ装置を確認する。

整備員〔flap ok〕

理樹「aileron Right check」

aileron(エルロン)とは機体を左右に動かすための装置だ。

整備員「aileron Right ok」

理樹「Left check」

整備員〔Left ok〕

理樹「elevator down check」

elevator(エレベーター)は飛行中に上昇や下降する際に使う装置だ。

整備員〔elevator down ok〕

理樹「up check」

整備員〔up ok〕

理樹「air brake open... close」

air brake(エアブレーキ)は着陸時に侵入速度を抑えたり、減速する際に使うブレーキのこと。

整備員〔air brake ok〕

理樹「Burner nozzle check」

機体を加速させるために使うバーナノズルの点検を行う。

ウィィィィン

整備員〔burner nozzle ok〕

理樹「機外チェック終了」

整備員〔roger. 異常ナシ〕

全ての機外チェックを終え管制塔と交信する。
今回は僕が編隊長を務めるため、管制塔との交信は僕が行う事になっている。

理樹「TWR.this is Altair06 request 」
(タワー、こちらアルタイル06  )

TWR〔Altair06 this is TWR go ahead〕
(こちら管制塔 要件をどうぞ)

理樹「request taxy and runway」
(誘導路と滑走路知らせ。)

TWR〔roger taxy by a E2 runway25L   cleared for take off.read back〕
(了解、誘導路はE2 滑走路は25Lを使用 し
離陸 復唱せよ)

理樹「taxy by a E2 runway25L  cleared for take off」
(誘導路はE2 滑走路は25Lを使用し離陸)

TWR〔Altair06 read back is correct〕
(アルタイル06 その通り)

理樹「roger」

TWR〔Altair06 startup taxiing〕
(アルタイル06 滑走路への移動をを開始せよ。)

理樹「roger Altair06」

ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ

パーキングブレーキを解除し甲高いエンジン音と共に機体が駐機場を離れ滑走路へと向かう。
整備員達が敬礼で僕らを見送る…それに対し同じように答礼する。

豊〔理樹、手ぐらい振ってやろうや〕

理樹「そうだね。」

滑走路へ向かう途中、駐機場で見送る114飛行隊の皆、玄武と葉留佳さんは114飛行隊のロゴ入り横断幕を掲げている。

樹〔んじゃ、空母までの道案内は頼んだで〜〕

理樹「了解、班長」

班長のいつも通り緩い感じの無線が入る。

TWR〔Altair06 wind 220 at 3  cleared for take off〕
(アルタイル06、風は220°方向から3k
 離陸を許可します。)

理樹「roger Altair06」

誘導路から滑走路の終端部へさしかかった時

豊〔final check clear〕
(最終確認終了)

理樹「roger ...take off 」グッ

スロットルレバーを80%の位置に固定し足元のフットブレーキを解除する。
その瞬間、機体が加速を始め…

ゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ

空港施設が一瞬にして後ろに過ぎ去り。
僕達は離陸した。

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〜北部防空司令所(SOC)〜

部長「各部、異常ないか?」

さゆり「Gエリア 異常ナシ」

男「Jエリア 異常ナシ。現在、小松のOliver(オリバー)が訓練飛行中です。」

部長「了解した。沢田君、付近に民航機が居ないか注意して見てくれ。」

沢田「了解」

私の勤務している。北部防空司令所…通称
北部SOCは1等空佐の部長を筆頭に20人程のオペレーターが3交代で勤務している。
今日、一緒に勤務するのは。


安村 さゆり 1等空尉 
樹くんと同じ部隊に所属する安村3佐(2佐)の奥さん。同じ階級だが年齢は確か私の2つ上だったと記憶している。クールで物静かな人だ。

もう1人は… 沢田 康平 3等空佐
この北部SOCの班長で樹くん達と同期だ。
冷静沈着で真面目な人である。
ただ…仕事が終わると天然になる…

その他にも空曹の監視員達も勤務している。
(女性空曹も数名勤務)

ピッピッピッ

空曹「三沢から3機上がりました。」

部長「所属は?」

レーダー画面上に3つの光点が写る。

空曹「三沢114SQ Altair03.04.06 です。フライトプランでは…福島県沖の海上自衛隊の護衛艦〔さつま〕に向かう予定ですね。」

部長「了解した。佳奈多くん、彼らと無線交信を頼むよ。」

佳奈多「了解しました。」

早速、私は無線で彼らに呼びかけた。

佳奈多「Altair03 this is Trello
  How do you read? 」
(アルタイル03 こちらトレロ 無線感度どうか?)

樹〔Trello Altair03 reading you five〕
(トレロ こちらアルタイル03 感度は5)

樹くんから返答が来る。受信感度は5…
つまり完全に聞き取れている事になる。
それを聞いて、私も安心した。

佳奈多「roger. you'r under my Control
stair 170 maintain angel 35」
(貴機を誘導します。方位170° 高度35000ft(約10500m)へ向かってください。)

樹〔roger〕

レーダー画面を確認すると。Altairは順調に行動を上げ予定高度の35000ftに到達した。
あと、数分で私の担当する空域エリアから離れて中部SOCの管轄に入る。

数分後…

樹〔Trello this is Altair03 request change
Frequency〕
(トレロ、無線周波数の変更許可を求める。)

佳奈多「Altair03 this is Trello Frequency change approved.  contact "Epoch"116.5」
(アルタイル03 無線周波数の変更を許可します。Epoch(中部SOC)116.5MHzとコンタクトしてください。)

樹〔roger Altair03  ありがとう佳奈多〕

佳奈多「樹くんこそ…気をつけてね。(////)」

樹〔おうよ!out Altair03〕
  (交信を終了)

ーーーーーーーーーーーーーーー

佳奈多「ふぅ…」

無線の交信を終え一息つくと同時に
女性空曹が話しかけてきた。

空曹「あの、佳奈多さん」

佳奈多「どうしたの?あゆさん」

彼女は…相沢あゆ 3等空曹 女性であるが一人称は「ボク」のボクっ娘だったと記憶している。
階級は3等空曹だが私の同期だ。

あゆ「今の交信してた人って旦那さん?」

佳奈多「そうだけど…どうして?」

あゆ「いいなぁ、一度でいいからボクも裕一君と交信してみたいなぁ〜」

佳奈多「確か、警戒飛行隊の相沢1尉だったわね?貴方の旦那さん。」

あゆ「そうそう、E-2Cの機長さんなんだけど…うぐぅ…裕一君はボクが非番の時に限ってフライトしてるんだよぉ…」

佳奈多「私も旦那と交信したのは今回が初めてよ?タイミングってなかなか合わないものよ」

あゆ「そうなの?」

佳奈多「ええ、そうよ。」

さゆり「私も主人とは交信した事無いですね」

その時、私達の間にさゆりさんがわって入ってきた。全く気配がなかった…

2人「うにゃッ!?」

沢田「部長、仲良いですねぇ彼女たち」

部長「そうだな。彼女達は同期だからね」

沢田「同期が身近にいるって羨ましいですよ」

部長「私もつくづくそう思うよ。私の周りの連中は皆、飛行隊の隊長もしくは司令クラスの人間ばかりで正直妬んだよ…」

沢田「あれ?部長って今おいくつなんです?」

部長「今年で57だよ。空将補になる話も来て無いね。忘れられてるんじゃ…ははっ」

部長は乾いた笑いでどこかを見つめる。
防大出のエリートでもやはり運次第ではこうなるのかと俺は思った。

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〜三沢基地〜

葉留佳「いや〜行っちゃいましたネ 樹くん」

玄武「そうだな。」

葉留佳「あれ?いつもよりテンション低い?」

玄武「そんな事無いさ。俺はいつも通りだよ」

葉留佳「そうデスか?」

玄武「さ、仕事や仕事 俺たちもやる事はよっけあるんやから。後、書類も早めに見せろよ?」

葉留佳「うへぇ…玄武くんの鬼ッ」

玄武「鬼じゃありませ〜ん」

葉留佳「待て〜ッ」

玄武「鬼はお前の方じゃねぇか!?」

人の事を鬼と言いつつ追いかけてくる…
葉留佳とのこのやり取りは理樹が居ない時に
よく行われている。葉留佳の人懐っこい所が俺たちにとっても心地いのかもしれない。

朋也「玄武 葉留佳 遊んでないで仕事するぞ」

2人「は〜い」

沙都子「を〜ほっほっほっ。相変わらずですわね2人とも」

三沢基地は今日も平和です。
  

         続く…

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