音速のドラ猫33

 

〜DIH(情報本部)〜

対外特別情報収集部 (SiCO)

玄武「ふぅ…」カタッ

俺が席に座ると同時に後ろから声をかけられた

⁇?「お疲れ様です。松原君」

玄武「入江さん…」

入江「ここでは部長と呼んでください。」

彼は対外特別情報収集部 ことSiCOの部長である入江 京介1等陸佐
上司部下関係なく敬語で接するのが特徴だ。

玄武「すいません。癖で…」

入江「進捗どうですか?」

玄武「現在、二木本家と今回の事故の関係性について調査しています。」

入江「そうですか…あまり根詰めしないようにして下さいね?」

玄武「ありがとうございます…」

入江「元気出してください。松原君」

玄武「はい…」

事故から2ヶ月が経ったが…仕事がいまいち捗らない。本来なら俺の隣の机で先輩が仕事していた筈なのに…その先輩が突然居なくなった…

玄武「早すぎますよ…先輩」

俺はポツリと呟いた。

ガチャ

諜報員「松原さん、調査の結果です。」スッ

玄武「ありがとう。そこに置いておいてくれ」

諜報員「分かりました…あの…」

玄武「ん?どうした?」

諜報員「大丈夫ですか?顔色が…」

玄武「問題ない…君は仕事に戻れ」

諜報員「分かりました。」

114飛行隊でパイロットとして勤務する傍ら裏の顔であるSiCOでの仕事…正直、疲れているのは否定できない。あの時…本当に佳奈ちゃんに話すべき事だったのか…

玄武「先輩の遺言でもあるんだよな…」

「俺の身に何かあれば、佳奈多やみゆき達を頼む。そして…俺が死ぬ時は二木本家が…二木源蔵が関わっていると伝えてくれ」
先輩は生前そう語っていた…

玄武「さて、今回の内容は…」

先程、部下から渡された資料に目を通すと信じ難い事が書かれていた。
その内容とは…

「今回の事故を起こした機体の電子機器は中国軍情報局外事3課(闇の執行部)内にて研究及び製造されているのを確認。」

「中国軍情報局外事3課及び防衛省技術研究本部(技研本部)は裏取引きをしている。」

玄武「部長ッ」

入江「どうしました?松原君」

玄武「これを…」

俺は報告書を部長に見せた…部長の顔が青ざめていくのが分かった。
それもそのはず…この内容は
防衛省内の一部組織と中国軍が手を組んでいると言うリーク情報だったからだ…

入江「すぐさま、本部長に確認を」

玄武「私もいきますッ」

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〜陸幕2部〜

真人「まさか…本当に奴らが噛んでいるのか?」

宗介「自分も最初は目を疑いました。しかし、確度の高い情報です。」

チヒロ「こちらも探りを入れましたが…やはり黒でした。」

航英「二木本家の人間と技研本部…そして闇の執行部…」

梨花「混沌としてますね…」

航英「だな。DIHの動きは?」

チヒロ「対外特別情報収集部 もこの件の情報を入手した様です。ですが、これと言って目立った動きはありませんね…」

航英「奴らは急に動き出すからな…逐一奉告を頼む。魚見2尉」

チヒロ「分かりました。」

航英「DIHはアイツを失ったが、そんな事で折れる様な連中じゃない。」

真人「そうですね。」

航英「事故後に我々の他にも動いている組織があるだろう?」

チヒロ「はい、現在確認できているのは英国MI6、米国CIAそして外務省のSgSです。」

真人「他国の諜報機関なら兎も角…外務省の特別調査室まで動き出したか。」

航英「もう、引けぬところまで来てしまったのかもしれないな…DIHのSが動く前に何とかせねばならん。さもなくば…我々は蚊帳の外に追いやられてしまう…」

課長の言葉にはいつも以上に重みがあった。

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〜霞ヶ関 外務省〜

対外特別調査室(SgS)

ピロン

J〔DIH 特殊部隊を召集した模様〕

私のデスクトップに送られてきたメール
それは、防衛省情報本部内に送り込んだスパイからの連絡だった。
スパイと言っても映画などで出てくるスパイではなく外務省から出向という形で情報本部に在籍している諜報員のことだ。

朱音「妙な部隊が動き出したわね…」

謙吾「妙な部隊…?」

室長「恐らくタイミング的にDIHの"S"が召集されたのだろう」

朱音「DIHのS…」

謙吾「噂で聞いた事がある。情報本部の情報保全隊 正式名称:特殊情報保全隊 通称:SiSG」

朱音「SiSG…」

謙吾「Special information Security Guard」

朱音「物々しい部隊ね…」

室長「情報保全のためなら標的を殲滅する。それがSiSGのやり口だ。」

朱音「そうなれば戦争はになるのでは…?」

室長「抗争は避けられない…だから、奴らが作戦行動に出る前に森を止めなければならない。」

あくまで我々の標的は 森 篤(本名チャグ・テヨン)であり、この男を捕らえるのが我々の任務だ。

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〜北部SOC〜

佳奈多「jaguar 16 recleared direct "KOWT" comply with restriction」
(ジャガー16 KOWTへの直行を許可します。高度制限を遵守してください。)

T-4〔direct"KOWT"comply with restriction jaguar16〕
(KOWTへの直行許可確認しました。高度制限を遵守して飛行します。)


佳奈多さんはいつも通り淡々と交信している。
レーダー画面上を確認すると…KOWTに向かって飛行するT-4の機影が映っていた。
ボクの方にもE-2Cから交信が入る。

E-2C〔 Trello.thisis Terry04 request heading〕
(トレロ、こちらテリー04 進路変更の許可を)

あゆ「Terry04.recleared direct "JCOM"」
(テリー04 JCOMへの進路変更を許可します。)

E-2C〔roger Terry04〕

佳奈多「jaguar16 contact 陸奥Control  118.65」
(ジャガー16 陸奥コントロールにコンタクトしてください。周波数は118.65です。)

T-4〔contact 陸奥Control goodday.〕
(陸奥コントロールにコンタクトします。さよなら。)

佳奈多「goodday. ふぅ…」

佳奈多さんの交信が終わるタイミングを見計らってボクは声をかけた。

あゆ「佳奈多さん大丈夫?」

佳奈多「ん?何が…?」

あゆ「最近はちゃんと寝れてる?」

佳奈多「ええ…」

返事にも正直、覇気がない…ただ惰性で居るようにも感じられた。ご主人が亡くなられてから前より元気が無い。

あゆ「何かあったら話してね。頼りないと思うけど力になるから…」

佳奈多「ええ…ありがとう。」

あゆ「ねぇ、佳奈多さん」

佳奈多「何かしら?」

あゆ「今度、お家に行ってもいいかな?」

佳奈多「構わないけど…急ね?」

あゆ「ボク、なゆきちゃんに会ってみたいんだ」

佳奈多「そう言う事…分かったわ。今度の日曜日で良いかしら?」

あゆ「うん!ありがとう。」



         続く…







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