音速の鷲乗りα 36 (最終回1)
〜病室〜
理樹「ん…っ…ここは?」
沙耶「理樹君!」
理沙「パパっ!」
目を覚ますと、隣に沙耶と理沙が立っていた…何でだろう?
沙耶「心配したんだからッ!バカっ!」
理沙「パパのバカっ!」
理樹「ちよ…ちょっと待ってよ…ん?一体どういうこと?僕は…確か…うッ…」ズキッ
思い出そうとしても思い出せない…その代わり身体のあちこちが痛む。
良樹「目が覚めたか…直枝2尉…」
理樹「貴方は確か、303の…」
良樹「すみません…奥様…少し外でお待ちいただいてよろしいでしょうか?」
沙耶「わ、分かりました…理沙、行くわよ」
理沙「うん…」
ガラガラ
2人が病室から出て行ったのを確認すると、
大崎2尉は小さく語り始めた…
良樹「早速だが…君を拉致した組織は…」
理樹「やはり…僕は拉致されてたんですねアイツらは何者なんですか…?」
良樹「防衛省技術研究本部…つまり防衛技研本部の人間だ…。」
理樹「なぜ、僕を拉致する必要が?」
良樹「直枝2尉…君は、熊岡3佐の死亡事故について疑問を持ち単独で調べてたな?」
理樹「えぇ…そうですが…もしかして、それがマズかったんですか…?」
良樹「あぁ…あの事故については我々の方でも調べたが、奴らが関わっていて…それに…君の行動は目立ちすぎていた…」
理樹「そうか…3佐の死の真相を知られるのを恐れた奴らが僕の命を狙ったと…」
良樹「そういう事になるな…」
理樹「なるほど…ところで大崎2尉…貴方の正体は…何者なんですか?」
そう問いただしたところで病室の扉が開き…
見知った顔が数名入ってきた。
神田「理樹、元気そうだな。」
沙都子「無事で何よりですわ…直枝さん…」
スズ「ほんと、昔から危なっかしいわね…」
理樹「神田隊長…沙都子さん…それに、スズちゃんまで?どうして…」
良樹「実は…」
神田「待て、良樹…俺から話す…理樹、今から言うことは全て他言無用で頼む。」
理樹「分かりました。」
僕は息を呑んで神田隊長の話を聞いた。
神田「まず、俺たちの正体だが…お前は防衛省情報本部(DIH)は知っているな?」
理樹「名前だけなら聞いたことがあります。」
神田「やはり、そのレベルか…まぁ良い。次に俺たちの正体だ…」スッ
神田隊長は僕に1枚の身分証を見せてきた。
一見普通の身分証に見えるがよく見ると違う。
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防衛省情報本部 情報工作担当課長
1等空佐 神田哲雄
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と記されていた。
理樹「神田隊長…貴方は…」
神田「見ての通り…俺達は情報本部の人間だ。」
理樹「そ、それじゃあ大崎2尉の他に沙都子
さん、スズちゃんもですか…?」
沙都子「そうですわ…同じく情報本部 準軍事工作担当課 潜入工作班 北条2尉ですわ。」
良樹「自分も同じく、準軍事工作担当課
潜入工作班 大崎2尉だ。」
スズ「私は違うわ…情報本部通信統括担当課 主任通信担当官 柳本2尉よ…表向きは海幕広報室広報官だけどね」
理樹「す、凄い…本当にあったんですね…防衛省の中にあるスパイ…」
僕は驚きが隠せなかった…
神田「まぁな…家族にも自分の身分を明かせん…それで…お前の元上司である樹なんだが…」
理樹「熊岡3佐は…」
沙都子「私たちの直属の上司でしたわ…つまり準軍事工作担当課長でしたの…」
理樹「でも、何故あの人が殺されなければ…」
神田「お前と一緒だ…俺たちが調べる前にアイツは1人で突っ走り過ぎたんだ…それで、奴らに殺された…」
理樹「そうだったんですね…僕を狙った奴らはどうなったんですか?」
神田「機密だ…と言いたいところだがお前も関係者だしな。結論だけ言うと、技研本部主任開発官の太田は捉えている。室長の岡本、副長の鈴木、小松基地司令の中田は死亡した。その他メンバーも同じタイミングで俺たちとは別の課が身柄を拘束した。その場に居た、韓国人は逃走後に謎の死を遂げている。恐らくハムの連中だろう…」
理樹「そうですか…まさか、基地司令の中田空将まで関与していたとは思いませんでした…」
沙都子「世の中にはいろんな欲深い人間が居るって事ですわね…」
スズ「とにかく無事で何よりだわ…安静にしてなさい。それと、今聞いたことは絶対に他の人に口外しないでよ…」
理樹「う、うん…」
神田「それじゃ、そろそろ…」
理樹「待ってくださいッ!最後に一つだけ…安村隊長は大丈夫なんですか…?」
神田「柊甫なら無事だ…危険な状態は脱したが絶対安静が必要だ…」
理樹「そうですか…ありがとうございました…」
良樹「それじゃ、自分達はこれで」
スズ「じゃあね…早く治すのよ」
沙都子「失礼しますわ。」
神田「んじゃ、早く治せよ。」
理樹「はい!」
全ての真相を聞けて俺はスッキリした気分だった。これで、熊岡3佐の無念も少しは…
神田隊長達が出て行った後入れ替わりで再び、沙耶と理沙が病室に入ってきた。
沙耶「理樹君ッ!もう、2度と無茶はしないって約束してッ!」
理沙「パパ!ゆびきりげんまん!」
理樹「はははっ…仕方ないなぁ」
3人「♪ ゆびきりげんまん、嘘ついたら針千本飲〜ます…指切った。」
沙耶「はい、これで大丈夫ね。」
理樹「2人とも心配かけてごめんね…」
沙耶「良いのよ、貴方さえ無事で居てくれたら…本当によかったわ…」
沙耶の目には涙が溜まっていた。
理沙は今にも泣き出しそうだった…
いや、もう限界か2人は僕の胸の中に飛び込んできて泣いた。
本当にいい家庭を持つことができた…
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〜都内某所〜
舞「まさか、先輩が動いていたとは…」
田所「俺も、お前の差し金だと気づくのに時間がかかったよ。舞」
舞「お互い歳をとりましたね。」
田所「ふッ…何を言う、お前はまだ20代だろ。まさかお前が外事第2課長やってるとはね
…先輩として後輩の成長は嬉しいよ。」
舞「そうですね。まさか自分もここまでの地位になるとは思いませんでした…
しかし、先輩はいつからあの韓国人テロリストに目をつけてたのですか?」
田所「それは企業秘密だ…」
舞「そうですか…でも、助かりました。公安を代表して御礼申し上げます…ありがとうございました…田所先輩」
田所「よせやい…組織のメンツなど俺の知った事じゃねぇよ。」
舞「そうですか…先輩は昔と変わりませんね。」
田所「るせぇやい…」
舞「そういえば、木村君の姿が見えませんが…」
田所「ああ、アイツは恐らく…葛城局長の説教を受けてるだろうよ。」
舞「あぁ…いつものですか…」
田所「ああ…」
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〜警察庁〜
木村「す、すいません叔父さんッ…!」
葛城「お・じ・さ・ん だとッ!? お兄さんだろぉ!?直樹ッ!」
木村「すいませんすいません…」
葛城「で、直樹よ例の韓国人テロリスト共は始末できたんだろうな?」
木村「はい、ボートで逃走を図ろうとした所を狙い始末しました。」
葛城「そうか…良くやってくれた。
田所君にも伝えてくれ。しばらく休暇をやるから羽を伸ばしてこいと」
木村「え、良いんですか!?」
葛城「ああ、羽は伸ばして良いが…ハメは外すなよ…?次は無いからな?」
木村「分かりました!叔父さん!」
葛城「お前はまた…まぁ良いか。以上だ業務に戻りたまえ。」
木村「はい!失礼します。」ガチャッ
葛城「まったく…いつまで経っても子供だなぁアイツは…ま、そこが可愛いんだけどな。」
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〜梨花・沙都子の居室〜
梨花「ほんと…無事に終わって良かったわ…」
沙都子「本当ですわね。」
羽入「3佐の無念が晴れせて嬉しいのですよ あぅ」
梨花「やらかしてたじゃ無い。まったく…アンタって子は…」
羽入「うっ…それを言われるとぐうの音も出ないのですよ…」
沙都子「まぁまぁ、2人ともなにわともあれ無事に任務遂行お疲れ様ですわ。カンパーイ!」
梨花「ふふっ…カンパーイ!」
羽入「カンパーイ! なのです⭐︎」
本当、沙都子や羽入に何事もなくて良かったわ
川澄警視にも今日は休むように言われたし…
ふふっ、久しぶりに飲みつぶれようかしら。
羽入「梨花…呑み潰れるつもりなのですか?」
梨花「さぁどうかしらね?フフフッ」
沙都子「今日は無礼講ですわ!3人で呑み潰れるまで飲みますわよ!」
続く…(最終回2へ)
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