〔台本〕赤部屋〜犯罪者座談会〜 作:吉谷しな
2023年12/25に過去ボイコネに掲載していたものとはセリフ構成を一新しております。お気をつけください。
前書き
主人公、エトの元に届いたのは一通の招待状。
殺し屋業を営んでいる友人、伊藤からの誘い文だった。
気取った文体の彼からの誘い文句は一文…否、三文だけ。
「君の好きそうな集いがある。参加者は人の死に鈍感な人間ばかりだけれど。僕含め、そいつらが楽しめるような”体験談”をお願いするよ。」
登場人物
(女)エト:伊藤の招待で『赤部屋』を訪れる。無口な不思議ちゃん。と、思いきや。
(男)鷹司(たかつかさ):『赤部屋』の主催者。糸目でスーツを着ているイメージ。胡散臭い話し方。
(女)給仕:鷹司の元で家事などをして働いている。おっちょこちょいなおばかさん。ふわふわした話し方。赤部屋世界線唯一の癒し。やわらかい話し方。
(男)バレット:『赤部屋』提案者。赤部屋参加者唯一の未成年。飲み込みは早いけれど学校に行ってないのでおバカ。銃の扱いはピカイチ。乱暴な話し方。
(男)伊藤:鷹司とエトとは旧い仲。馬鹿な人、というかそこまで好きじゃない系統の人に対して敬語で話す。知的で落ち着いた話し方。
上演時間
20分
使用SE
扉の開く音
飲み物を置く音
撃鉄を起こす音
撃つ音(重要)
作者の遊び心溢れるなんちゃってレビュー
レビュー⭐️⭐️⭐️☆☆
江戸川乱歩の「赤い部屋」を登場人物がキャラ立ちするようアレンジしたもの。凝った仕掛けはないもののびっくりポイントが2回あり、緩急のついてて話としても演るにしてもそれなりに楽しめる作品なのでおすすめです。上演時間も短く、この作者の作品の中では比較的気軽にやりやすい。しかし、他作品と同じようにSEありきのシーンがあるため、準備してとりかからないと少々物足りなさを感じる。声劇台本というよりかは舞台台本ぽい。シリーズ作となっている三毒三巴や摩天楼、心理的アノミー、釘台本等と併せて読むとキャラの掘り下げができ、より楽しめる。はず。
本編
0:暗転
0:部隊中央に重厚感のある机。その上に一通の手紙。
エト:叩く。叩く。
エト:脳みそに染み込んだ記憶を絞り出すように。
エト:指先に怒りと殺意を込めて。
エト:エンター。
エト:左から右へ。上から下へ視線を滑らせ、天を仰ぐ。
0:木造椅子の軋む音
エト:(ため息)
エト:木造の部屋に嵌められた窓からは灰色の冬空が見える。
エト:…
エト:退屈はよくない。想像力が腐っていく。
0:スポットライトフェードイン、手紙を照らす。
エト:私の元に届いた一通の招待状。
エト:友人、伊藤からの誘い文だった。
エト:気取った文体の彼からの誘い文句は一文…否、三文だけ。
伊藤:「君の退屈を殺すような集いがある。参加者は死に鈍感、いや、或いはその対局にあるような人間ばかりだけれど。僕含め、そいつらが楽しめるような…
0:暗転
伊藤:「”体験談”をお願いするよ。」
0:場転。「扉前」
0:赤い壁紙に包まれた、高級感のある部屋。目の前には木造の扉と、一人の少女。
0:給仕、下手に立つ。上手からエト入り。
給仕:ようこそいらっしゃいました。赤部屋へ。(お辞儀)
給仕:この部屋は会員制となっております。お名前をうかがってもよろしいでしょうか?
エト:エト。
給仕:エト様…伊藤様からのご招待を受けた方でよろしいですか?
エト:はい。
給仕:では、お部屋へ入る前にこれをつけてください。
エト:これは…お面?
給仕:はい。伊藤様からご招待とのことで、制度はご存知かと思いますが。
給仕:エト様は初めてのご利用なので、入室前に規則を再度確認させていただきます。
エト:ええ。
給仕:読み上げます。
給仕:一、有意義な話をすること。
給仕:二、赤部屋会員のものから招待を受けた者以外、入室不可。
給仕:三、会員のプライベートについて詮索しない。
給仕:四、この部屋で起こったことは他言無用。
給仕:五、素性を明かせない者が多くいるため、入室者は全員お面をつける。
エト:終わり?
給仕:はい。以上となります。それでは、皆様すでにお集まりです。
給仕:どうぞ、”赤部屋”をお楽しみください。
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